電子物性論

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 電子物性論
科目番号 0133 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 エコデザイン工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 新版「電子物性」 松澤剛雄・高橋清・斎藤幸善 共著 森北出版
担当教員 多田 和広

到達目標

1. 格子振動の様態を理解できる。
2. 固体比熱の理論を理解できる。
3. 古典的電気伝導モデルを理解できる。
4. 自由電子モデルにより金属の電子状態を理解できる。
5. 固体のエネルギーバンドの概念を理解できる。
6. 真性半導体、不純物半導体の成り立ちを理解できる。
7. pn接合の成り立ちと性質を理解できる。
8. トランジスタの動作原理が理解できる。
9. 固体の光吸収の仕組みが理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1格子振動の様態を適切に理解できる。格子振動の様態を理解できる。格子振動の様態を理解できない。
評価項目2固体比熱の理論を適切に理解できる。固体比熱の理論を理解できる。固体比熱の理論を理解できない。
評価項目3古典的電気伝導モデルを適切に理解できる。古典的電気伝導モデルを理解できる。古典的電気伝導モデルを理解できない。
評価項目4自由電子モデルにより金属の電子状態を適切に理解できる。自由電子モデルにより金属の電子状態を理解できる。自由電子モデルにより金属の電子状態を理解できない。
評価項目5固体のエネルギーバンドの概念を適切に理解できる。固体のエネルギーバンドの概念を理解できる。固体のエネルギーバンドの概念を理解できない。
評価項目6真性半導体、不純物半導体の成り立ちを適切に理解できる。真性半導体、不純物半導体の成り立ちを理解できる。真性半導体、不純物半導体の成り立ちを理解できない。
評価項目7pn接合の成り立ちと性質を適切に理解できる。pn接合の成り立ちと性質を理解できる。pn接合の成り立ちと性質を理解できない。
評価項目8トランジスタの動作原理が適切に理解できる。トランジスタの動作原理が理解できる。トランジスタの動作原理が理解できない。
評価項目9固体の光吸収の仕組みが適切に理解できる。固体の光吸収の仕組みが理解できる。固体の光吸収の仕組みが理解できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-6 説明 閉じる
JABEE 1(2)(d)(1) 説明 閉じる
JABEE 1(2)(e) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 原子、電子、イオンと言った粒子が集まって物質特有の構造が形成され、そこでの粒子の微視的な運動の集積結果として物質の様々な性質が形作られています。電子物性は電気材料のマクロ的性質を原子、電子、イオンなどのミクロ的な構造と運動状態から理解しようとする学問です。
  勿論、理解にとどまるものではありません。現代生活においては人工的に製作された材料を利用していないものは無いと言っても良い状態です。今後の科学技術の発展のためには新しい機能を持った新材料の開発が不可欠です。そのためにも電子物性の理解が必要であり、また近年著しく変わりつつある電子装置や電子素子を理解する上でも欠かすことが出来ないものです。材料の性質をミクロな粒子の振る舞いから説明するための物理的イメージを描けるようになってください。
授業の進め方・方法:
教員単独による講義
注意点:
中間期に課題を出しレポートの提出を求めます。
定期テスト(期末試験)はペーパー試験で実施します。
授業計画は,学生の理解度に応じて変更する場合がある。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 結晶構造 電子物性の舞台である結晶の周期構造と対称性について説明できる。
2週 格子振動 結晶中の原子・分子の振動と音波の伝播特性について説明できる。
格子振動の量子フォノンについての定性的な説明できる。
3週 固体の熱的性質 固体の比熱についての格子振動による説明ができる。
固体の熱伝導についての格子振動による説明ができる。
4週 古典的電子伝導モデル 電界中の電子運動からドリフト速度,緩和時間,移動度を導出できる。
5週 金属の自由電子モデル 金属の自由電子モデルにより量子論的に電子状態を説明できる。
6週 固体のエネルギーバンド構造 クローニッヒ・ペニーの井戸形ポテンシャルモデルを用い量子論による固体中の電子状態を説明できる。
7週 固体のエネルギーバンド構造 固体中の電子に適用されるフェルミ分布関数、状態密度関数について説明できる。
8週 半導体 半導体におけるキャリア分布について説明できる。
2ndQ
9週 不純物半導体 不純物半導体のキャリアと電気伝導について説明できる。
10週 pn接合 pn接合のエネルギーバンド構造を説明できる。
11週 pn接合の動作特性 pn接合の電圧・電流,電圧・容量特性を説明できる。
12週 接合型トランジスタ 接合型トランジスタの動作を説明できる。
13週 電界効果トランジスタ 電界効果トランジスタの動作を説明できる。
14週 固体の光学的性質 半導体の光物性について説明できる。
15週 期末テスト 第6回~第14回の内容に関する試験。
16週 期末テストの解答、アンケート テストの回答、授業アンケートの実施。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合60000040100
基礎的能力60000040100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000