流れ学ＩＩ

科目基礎情報

学校	石川工業高等専門学校	開講年度	令和02年度 (2020年度)
授業科目	流れ学ＩＩ
科目番号	15890	科目区分	専門 / 必修
授業形態	講義	単位の種別と単位数	履修単位: 2
開設学科	機械工学科	対象学年	4
開設期	通年	週時間数	2
教科書/教材	西海孝夫「図解 はじめて学ぶ流体の力学」（日刊工業新聞社）／西海孝夫他「演習で学ぶ「流体の力学」入門」（秀和システム）
担当教員	寺本 裕志

到達目標

1. 層流と乱流の違いを説明できる．
2. レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し，流れの状態に適用できる．
3. ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる．
4. ムーディ線図を用いて管摩擦係数を求めることができる．
5. 各種管路要素で構成される管路システムの計算ができる．
6. 境界層，はく離，後流など流れの中に存在する物体の周りで生じる現象を説明できる．
7. 抗力について理解し，抗力係数を用いて抗力を計算できる．
8. 揚力について理解し，揚力係数を用いて揚力を計算できる．
9. 平板上の境界層を理解し，力や速度分布を計算できる．
10. 流れの相似則を理解し，実験を行うための計算ができる．

ルーブリック

	理想的な到達レベルの目安	標準的な到達レベルの目安	未到達レベルの目安
到達目標 項目1	層流と乱流の違いを説明でき，せん断応力等を計算することができる	層流と乱流の違いを説明し，ニュートンの粘性法則を説明できる	層流と乱流の違いを説明できない
到達目標 項目2	レイノルズ数と臨界レイノルズ数を説明し，レイノルズ数から流れの状態を求めることができる	レイノルズ数と臨界レイノルズ数を説明することができる	レイノルズ数と臨界レイノルズ数を説明することができない
到達目標 項目3	ダルシー・ワイスバッハの式を導出することができ，管摩擦損失を計算できる	ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を求めることができる	ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を求めることができない
到達目標 項目4	ムーディ線図がどのような式から作成されるかを理解し，管摩擦係数を求めることができる	ムーディ線図を用いて管摩擦係数を求めることができる	ムーディ線図を用いて管摩擦係数を求めることができない
到達目標 項目5	ポンプなどの流体機械と管路要素などが含まれた管路システムの計算ができる	管路要素などが含まれた管路システムの計算ができる	管路要素などが含まれた管路システムの計算ができない
到達目標 項目6	境界層，はく離や後流など流れの中に存在する物体の周りで生じる現象及びその原理を説明することができる	境界層，はく離や後流など流れの中に存在する物体の周りで生じる現象を説明することができる	境界層，はく離や後流など流れの中に存在する物体の周りで生じる現象を説明できない
到達目標 項目7，8	抗力・揚力について説明し，各係数を用いて力を計算できる	抗力・揚力係数を用いて力を計算できる	抗力・揚力を計算できない
到達目標 項目9	平板上の境界層に関する運動量方程式を導出でき，力や速度分布の式を求め，計算を行うことができる	平板上の境界層を説明し，力や速度分布を計算できる．	平板上の境界層を説明し，力や速度分布を計算できない
到達目標 項目10	ダランベールの定理から導出される流体力学に関する相似則を理解し，実験を行うための計算ができる	無次元数を用いて，流体実験を行うための計算ができる	無次元数を用いて，流体実験を行うための計算ができない

学科の到達目標項目との関係

本科学習目標 1 （基礎学力と専門的知識）

本科学習目標 2 （課題の解決）

創造工学プログラム A1 （デザインと創造(基礎工学)）

創造工学プログラム B1専門(機械工学) （問題の提起と解決（専門工学の知識と能力））

教育方法等

概要:

3年次に学んだ1次元の流れに引き続き，2次元及び3次元的な流れの現象についての物理的理解を深める．流れの問題解決の糸口となる数理解析方法を加味した基礎学力を身に付ける．流体摩擦，管路内の流れ，境界層・物体周りの流れ，次元解析と相似則に関する専門的知識を身に付け，各種の流れ場における問題解決の方法を習得する．

授業の進め方・方法:

【事前事後学習など】随時，講義内容の復習のための演習課題を課す．
【関連科目】流れ学 I，機械設計製図 II，解析学，応用数学，物理学

注意点:

授業とテスト前の学習のみでなく，平時の予習と復習が大切である．
授業時には関数電卓を持参し，演習課題は必ず提出すること．
【評価方法・評価基準】
前期末試験，後期中間試験，学年末試験を実施する．
前期の成績は前期末試験(60%)，演習課題(40%)で評価する。
後期の成績は後期中間・学年末の定期試験(60%)，演習課題(40%)で評価する．
学年末の総合成績評価は，前期と後期の成績を算術平均して総合成績とする．演習課題は提出の有無のみならず内容も評価する．
成績の評価基準として60点以上を合格とする．

授業計画

		週	授業内容	週ごとの到達目標
前期
	1stQ
		1週	流体摩擦とせん断応力	ニュートンの粘性法則を説明できる
		2週	平行平板間の流れ（１）	平行平板間の運動方程式を作成できる
		3週	平行平板間の流れ（２）	平行平板間流れの運動方程式を解き，速度や圧力などを求めることができる
		4週	円管路内の流れ	円管路内流れの運動方程式が記述でき，速度や圧力などを求めることができる
		5週	傾斜すき間の流れ	傾斜すき間の流れの運動方程式が記述でき，速度や圧力などを求めることができる
		6週	層流と乱流	レイノルズの実験などから層流と乱流の違いを説明できる
		7週	円管の管摩擦損失（１）	管摩擦の原理を理解し，実験式から管摩擦損失を求めることができる
		8週	円管の管摩擦損失（２）	ムーディ線図から管摩擦係数を求め，管摩擦損失を計算することができる
	2ndQ
		9週	円管形状でない管路の損失およびタンクから水平管路への流れ	水力直径を理解し，円管形状でない管路の損失を求めることができる． 助走区間が説明でき，この区間での損失を求めることができる
		10週	２次元の乱流	レイノルズ応力を理解し，乱流内に発生するせん断応力を説明することができる
		11週	円管内の速度分布	乱流状態における円管内の速度分布を説明し，計算することができる
		12週	管路要素の損失（１）	拡大，縮小する管路内の流れについての損失に関する式を導出することができ，損失の原理を説明することができる
		13週	管路要素の損失（２）	曲がり管路やバルブの損失係数を求めることができる
		14週	管路システムの損失	管路システムの状態を求めることができる
		15週	前期復習
		16週
後期
	3rdQ
		1週	物体に作用する力（１）	物体に作用する力の名称や，境界層と剥離に関して説明することができる
		2週	物体に作用する力（２）	複雑な形状をした物体に作用する力を求めることができる
		3週	円柱や球などに作用する力	円柱や球周りの流れを説明でき，作用する力を求めることができる
		4週	ストークスの抵抗則	レイノルズ数が非常に小さい流れ場にある球周りの流れを説明することができる
		5週	揚力と抗力（１）	物体に作用する揚力と抗力について説明することができる
		6週	揚力と抗力（２）	クッタ・ジューコフスキーの定理とマグナス効果を説明することができる
		7週	平板における境界層	平板上流れの原理や層流境界層と乱流境界層の違いを説明することができる
		8週	層流境界層（１）	境界層厚さや運動量厚さを説明することができる
	4thQ
		9週	層流境界層（２）	層流境界層内の速度分布，局所レイノルズ数と摩擦抵抗係数を求めることができる
		10週	乱流境界層（１）	層流境界層と乱流境界層の違いを説明することができる
		11週	乱流境界層（２）	乱流境界層内の速度分布，局所レイノルズ数と摩擦抵抗係数を求めることができる
		12週	相似則と模型実験（１）	ダランベールの原理からレイノルズの相似則を導出することができる
		13週	相似則と模型実験（２）	レイノルズ数，フルード数やマッハ数などの無次元数を用いて模型実験に関する条件を求めることができる
		14週	次元とレイリーの方法	物理量のSI単位と次元を理解し，レイリーの法則から流体力学に関する式を導出することができる
		15週	後期復習
		16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類		分野	学習内容	学習内容の到達目標	到達レベル	授業週
専門的能力	分野別の専門工学	機械系分野	熱流体	層流と乱流の違いを説明できる。	4
				レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。	4
				ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。	4
				ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。	4
				境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。	4
				抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。	4
				揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。	4

評価割合

	試験	ポートフォリオ(レポート等)	合計
総合評価割合	60	40	100
基礎的能力	0	0	0
専門的能力	60	40	100
分野横断的能力	0	0	0