流れ学II

科目基礎情報

学校 石川工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 流れ学II
科目番号 20125 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 西海孝夫「図解 はじめて学ぶ流体の力学」(日刊工業新聞社)/西海孝夫,一柳隆義「演習で学ぶ「流体の力学」入門 第2版」(秀和システム)
担当教員 寺本 裕志

到達目標

1. 層流と乱流の違いを説明できる.
2. レイノルズ数と臨界レイノルズ数について説明でき,流れの状態に適用できる.
3. ダルシー・ワイスバッハの式を用いた管摩擦損失の計算ができる.
4. ムーディ線図から管摩擦係数を求めることができる.
5. 種々の管路要素により構成される管路システムの損失の計算ができる.
6. 境界層・はく離・後流などの物体周りの流れの現象を説明できる.
7. 抗力・揚力について説明でき,抗力係数・揚力係数を用いて力の計算ができる.
8. 平板上の境界層を説明でき,速度分布・境界層厚さ・力の計算ができる.
9. 流れの相似則について説明でき,実験を行うための条件を設定できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1層流と乱流の違いを明確に説明でき,せん断応力などを計算できる.層流と乱流について説明できる.層流と乱流について説明できない.
到達目標2レイノルズ数と臨界レイノルズ数について説明でき,流れの状態を判定できる.レイノルズ数と臨界レイノルズ数を説明できる.レイノルズ数と臨界レイノルズ数を説明できない.
到達目標3ダルシー・ワイスバッハの式を導出でき,管摩擦損失を計算できる.ダルシー・ワイスバッハの式を用いた管摩擦損失を計算できる.ダルシー・ワイスバッハの式を用いた管摩擦損失の計算ができない.
到達目標4ムーディ線図がどのように作成されるか説明でき,管摩擦係数を求めた上で管摩擦損失を計算できる.ムーディ線図から管摩擦係数を求めることができ,管摩擦損失を計算できる.ムーディ線図から管摩擦係数を求めることができない.
到達目標5管路要素による損失の原理を説明でき,管路システム全体の損失を計算できる.管路システム全体の損失を計算できる.管路システム全体の損失を計算できない.
到達目標6境界層・はく離・後流など物体周りの流れの現象及びその発生原理を説明できる.境界層・はく離・後流など物体周りの流れの現象について説明できる.境界層・はく離・後流など物体周りの流れの現象について説明できない.
到達目標7抗力・揚力について説明でき,抗力係数・揚力係数を用いた力の計算ができる.抗力係数・揚力係数を用いた力の計算ができる.抗力係数・揚力係数を用いた力の計算ができない.
到達目標8平板上の境界層について説明でき,運動量方程式から力や速度を計算できる.平板上の境界層について説明できる.平板上の境界層について説明できない.
到達目標9流れの相似則について明確に説明でき,相似則を考慮した実験条件を適切に設定できる.流れの相似則を考慮した実験条件を設定できる.流れの相似則を考慮した実験条件を設定できない.

学科の到達目標項目との関係

本科学習目標 1 説明 閉じる
本科学習目標 2 説明 閉じる
創造工学プログラム A1 説明 閉じる
創造工学プログラム B1専門(機械工学) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
2次元及び3次元的な流れの現象についての物理的理解を深め,数理解析方法を加味した基礎的な分析力を涵養する.流体摩擦,管路内の流れ,境界層,物体周りの流れ,次元解析と相似則に関する専門的知識を習得し,種々の流れ場における問題解決方法を学習する.
授業の進め方・方法:
【事前・事後学習】随時,講義内容の復習のための演習課題を与える.
【関連科目】流れ学I,機械工学実験I及びII,機械設計製図II,解析学,応用数学,物理学
【MCC対応】V-A-4 熱流体
注意点:
【履修上の注意,学習上の助言】
授業時間中,試験前の学習のみならず,問題集等を活用した平時の予習・復習を心掛けること.
授業時には関数電卓を持参のこと.また,演習課題は必ず提出のこと.
【評価方法及び評価基準】
定期試験は,前期中間・前期末・後期中間・学年末の4回実施する.また,その他に演習課題を課す.
前期総合成績は,前期中間・前期末試験成績(70%) + 演習課題(30%)で評価する.
後期総合成績は,後期中間・学年末試験成績(70%) + 演習課題(30%)で評価する.
学年末総合成績は,前期・後期総合成績を算術平均することで評価する.
演習課題は提出の有無のみならず内容も評価する.
成績の評価基準として60点以上を合格とする.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 流体摩擦とせん断応力 ニュートンの粘性法則を説明できる.
2週 平行平板間の流れ 平行平板間の流れの速度分布,圧力降下,せん断応力を求めることができる.
3週 円管路内の流れ 円管路内の流れの運動方程式を記述でき,速度分布,圧力降下,せん断応力を求めることができる.
4週 傾斜すき間の流れ 傾斜すき間の流れの運動方程式を記述でき,圧力分布,負荷容量を求めることができる.
5週 層流と乱流及び円管内流れの損失ヘッド レイノルズ数を説明でき,層流と乱流の違いを説明できる.また,円管内流れの損失ヘッドを説明できる.
6週 円管の管摩擦損失(1) 管摩擦の原理が説明できる.また,実験式から管摩擦係数を求めることができ,管摩擦損失を計算できる.
7週 円管の管摩擦損失(2) ムーディ線図から管摩擦係数を求めることができ,管摩擦損失を計算できる.
8週 円形断面形状でない管路の損失 水力直径を理解し,円形断面でない管路の損失を計算できる.
2ndQ
9週 タンクから水平直管路への流れ 管内流の発達を説明でき,助走区間における損失を計算できる.
10週 二次元流れの乱流 レイノルズ分解及びレイノルズ応力が説明でき,乱流におけるせん断応力を説明できる.
11週 円管内流れの乱流 粘性底層と粗さの関係を説明でき,円管内流れの対数法則と指数法則から速度分布を求めることができる.
12週 管路要素による損失(1) 拡大管及び縮小管による損失の原理を説明でき,損失を計算できる.
13週 管路要素による損失(2) 曲り管及びバルブによる損失を計算できる.
14週 管路システムの総損失 種々の管路要素を含む管路全体の損失を計算できる.
15週 前期復習
16週
後期
3rdQ
1週 物体にはたらく力 境界層,はく離,後流などの流れの構造について説明できる.
2週 物体にはたらく抗力 抗力が作用する原理を説明でき,抗力係数を用いて抗力が計算できる.
3週 物体にはたらく揚力 揚力が作用する原理を説明でき,揚力係数を用いて揚力が計算できる.
4週 円柱・球周りの流れ 円柱や球周りの圧力分布や渦について説明できる.
5週 円柱・球に作用する抗力 円柱などの鈍頭物体に作用する抗力を計算できる.また,球に作用する抗力について,ストークスの定理を併せて説明できる.
6週 円柱・球に作用する揚力 回転円柱や球に作用する揚力について,クッタ・ジューコフスキーの定理やマグナス効果を併せて説明できる.
7週 平板周りの流れ 平板上に発達する境界層を説明でき,摩擦抗力係数を用いて摩擦抗力を計算できる.
8週 境界層厚さと境界層の構造 排除厚さ,運動量厚さ及び境界層の構造について説明できる.
4thQ
9週 運動量の法則と層流境界層 境界層における運動量の法則から壁面せん断応力を計算できる.また,層流境界層を考慮した摩擦抗力を計算できる.
10週 境界層の遷移と乱流境界層 境界層の遷移を考慮した摩擦抗力の計算ができる.
11週 相似則と模型実験(1) 流れの相似則について説明できる.
12週 相似則と模型実験(2) 流れの相似則に関する無次元数を考慮して,模型実験の条件を設定できる.
13週 次元とレイリーの方法 SI基本単位と次元について説明できる.また,次元の同次性を考慮して,流体の運動に関する式を導出できる.
14週 バッキンガムのΠ定理 物理量と基本量を考慮し,無次元数を用いて表される流体の運動に関する式を導出できる.
15週 後期復習
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体層流と乱流の違いを説明できる。4
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。4
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。4
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。4
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。4
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。4

評価割合

試験ポートフォリオ合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000