法と社会秩序

科目基礎情報

学校 石川工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 法と社会秩序
科目番号 17270 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子情報工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材
担当教員 舟橋 秀明

到達目標

1.「法学」とはどのような学問分野であるかを理解できる。
2.日常生活にもっとも密着した法律である「民法」の全体像について理解できる。
3.日常生活において生じうる「民事責任」について理解できる。
4.「消費者」に関係する法律問題を理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標 項目1理科系の学問分野との違いを明確に意識することで、「法学」の特徴を正しく理解する。理科系の学問分野との違いが意識でき、「法学」の特徴を理解する。理科系の学問分野との違いが意識できず、「法学」の特徴を理解していない。
到達目標 項目2民法が規定する条文を通じて、「民法」の全体像について正しく理解する。民法が規定する条文を通じて、「民法」の全体像について理解する。民法が規定する条文を通じて、「民法」の全体像について理解していない。
到達目標 項目3自分が民事責任を負担しなければならない場合であっても、法的に正しく対応できる。自分が民事責任を負担しなければならない場合であっても、対応できる。自分が民事責任を負担しなければならない場合であっても、対応できない。
到達目標 項目4悪徳商法などの消費者問題に対して、法的に正しく対応できる。悪徳商法などの消費者問題に対して、対応できる。悪徳商法などの消費者問題に対して、対応できない。

学科の到達目標項目との関係

本科学習目標 3 説明 閉じる
本科学習目標 4 説明 閉じる
創造工学プログラム C1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 私たちは、日常生活を営む中で様々なトラブルに遭遇する。買ったはずの物が届かない、借りたアパートで雨漏りがする、交通事故に遭うなどが想定されるが、その場合、法治国家に生まれた私たちには、実力行使によるトラブル解決が認められないことは当然のことであり、最終的には法律に従って処理していくことが求められる。ただし、その法律にもそれぞれ守備範囲というものがあり、それが正しく理解できていないと適正にトラブルは解決できない。いわば、法律に関する基礎的な知識は、私たちが市民社会の構成メンバーとして平穏無事に生活していくための必須のスキルと言ってもよいであろう。とりわけ、日常生活にもっとも密着した法律である民法の知識は、是非とも身に付けておきたい知識のひとつである。
 そこで、この授業では、まず初めに、わが国における法体系の全体像についてその歴史から概観し、法解釈の方法、法解釈の実際の場である判例の読み方を勉強する。その後、契約、民事責任、そして消費者問題に関する実際の法律問題を素材として、民法等が規定する条文に関する理解を深めていく。
 最終的には、法律学の面白さに触れてもらうことを通じて、「法的なものの考え方」を涵養することを目指す。
授業の進め方・方法:
 特定の教科書等を使わず、授業の際に配布するレジュメや資料を利用して授業をすすめる。授業では、抽象的な法的知識を一方的に教授するようなことは極力避け、日常生活に生じうる身近な事例を素材にして、具体的に問題を考え、反対意見との衝突を想定した議論の場を提供できるよう心がけたい。
注意点:
 法律学には「唯一の正解」なるものは存在しない。法律学は、理科系の学問のように「真理」を追及・発見する科学ではないのである。これが、私たちが法律学を学ぶにあたっての出発点であり、もしかしたらもっとも理解しがたい点かもしれない。また、法律専門用語も難しく感じるかもしれないが、決して外国語ではない、れっきとした日本語である。専門分野とはそういうものだと思って欲しい。
 法律を学ぶにあたって重要なことは、結論それ自体を覚える、暗記することではなくて、その結論に至るまでの思考プロセスであり、どのように根拠付けるかである。この点を授業を通じて強調していきたいと思うが、具体的な事案について実際に皆さんがどのように考えているかを聞く機会をたくさん設けることで、「法的なものの考え方」の定着度を測っていきたいと思う。

【評価方法・評価基準】
中間試験(50%)、期末試験(50%)を実施する。
成績の評価基準として60点以上を合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 イントロダクション・法学概論1(近代法の歴史) 到達目標1
2週 法学概論2(法解釈論) 到達目標1
3週 法学概論3(判例) 到達目標1
4週 民法総論 到達目標1,2
5週 所有権法 到達目標1,2
6週 契約法1(総論) 到達目標1~3
7週 契約法2(売買) 到達目標1~3
8週 中間試験 到達目標1~3
4thQ
9週 契約法3(賃貸借) 到達目標1~3
10週 民事責任法1(債務不履行法) 到達目標1~3
11週 民事責任法2(不法行為法1) 到達目標1~3
12週 民事責任法3(不法行為法2) 到達目標1~3
13週 消費者法1 到達目標1~4
14週 消費者法2 到達目標1~4
15週 後期復習(全体レビュー) 到達目標1~4
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会地歴産業活動(農牧業、水産業、鉱工業、商業・サービス業等)などの人間活動の歴史的発展過程または現在の地域的特性、産業などの発展が社会に及ぼした影響について理解できる。3
人間活動と自然環境との関わりや、産業の発展が自然環境に及ぼした影響について、地理的または歴史的観観点から理解できる。3
社会や自然環境に調和した産業発展に向けた現在までの取り組みについて理解できる。3
日本を含む世界の様々な生活文化、民族・宗教などの文化的諸事象について、歴史的または地理的観点から理解できる。3
国家間や国家内で見られる、いわゆる民族問題など、文化的相違に起因する諸問題について、地理的または歴史的観点から理解できる。3
文化の多様性を認識し、互いの文化を尊重することの大切さを理解できる。3
公民哲学者の思想に触れ、人間とはどのような存在と考えられてきたかについて理解できる。4
諸思想や諸宗教において、自分が人としていかに生きるべきと考えられてきたかについて理解できる。4
諸思想や諸宗教において、好ましい社会と人間のかかわり方についてどのように考えられてきたかを理解できる。4
民主政治の基本的原理、日本国憲法の成り立ちやその特性について理解できる。4
資本主義経済の特質や財政・金融などの機能、経済面での政府の役割について理解できる。4
現代社会の政治的・経済的諸課題、および公正な社会の実現に向けた現在までの取り組みについて理解できる。4
地歴・公民現代科学の考え方や科学技術の特質、科学技術が社会や自然環境に与える影響について理解できる。4
社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について理解できる。4
今日の国際的な政治・経済の仕組みや、国家間の結びつきの現状とそのさまざまな背景について理解できる。4
環境問題、資源・エネルギー問題、南北問題、人口・食糧問題といった地球的諸課題とその背景について理解できる。4
国際平和・国際協力の推進、地球的諸課題の解決に向けた現在までの取り組みついて理解できる。4
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能相手の意見を聞き、自分の意見を伝えることで、円滑なコミュニケーションを図ることができる。3
相手を理解した上で、説明の方法を工夫しながら、自分の意見や考えをわかりやすく伝え、十分な理解を得ている。3
集団において、集団の意見を聞き、自分の意見も述べ、目的のために合意形成ができる。3
目的達成のために、考えられる提案の中からベターなものを選び合意形成の上で実現していくことができ、さらに、合意形成のための支援ができる。3
ICTやICTツール、文書等を基礎的な情報収集や情報発信に活用できる。3
ICTやICTツール、文書等を自らの専門分野において情報収集や情報発信に活用できる。3
現状と目標を把握し、その乖離の中に課題を見つけ、課題の因果関係や優先度を理解し、そこから主要な原因を見出そうと努力し、解決行動の提案をしようとしている。3
現状と目標を把握し、その乖離の中に課題を見つけ、課題の因果関係や優先度を理解し、発見した課題について主要な原因を見出し、論理的に解決策を立案し、具体的な実行策を絞り込むことができる。3
事象の本質を要約・整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。3
複雑な事象の本質を整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。結論の推定をするために、必要な条件を加え、要約・整理した内容から多様な観点を示し、自分の意見や手順を論理的に展開できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性身内の中で、周囲の状況を改善すべく、自身の能力を発揮できる。 3
集団の中で、自身の能力を発揮して、組織の勢いを向上できる。3
日常生活の時間管理、健康管理、金銭管理などができる。常に良い状態を維持するための努力を怠らない。3
ストレスやプレッシャーに対し、自分自身をよく知り、解決を試みる行動をとることができる。日常生活の管理ができるとともに、目標達成のために対処することができる。3
学生であっても社会全体を構成している一員としての意識を持って、行動することができる。3
市民として社会の一員であることを理解し、社会に大きなマイナス影響を及ぼす行為を戒める。人間性・教養、モラルなど、社会的・地球的観点から物事を考えることができる。3
チームワークの必要性・ルール・マナーを理解し、自分の感情の抑制、コントロールをし、他者の意見を尊重し、適切なコミュニケーションを持つとともに、当事者意識を持ち協調して共同作業・研究をすすめることができる。3
組織やチームの目標や役割を理解し、他者の意見を尊重しながら、適切なコミュニケーションを持つとともに、成果をあげるために役割を超えた行動をとるなど、柔軟性を持った行動をとることができる。3
先にたって行動の模範を示すことができる。口頭などで説明し、他者に対し適切な協調行動を促し、共同作業・研究をすすめことができる。3
目指すべき方向性を示し、先に立って行動の模範を示すことで他者に適切な協調行動を促し、共同作業・研究において、系統的に成果を生み出すことができる。リーダーシップを発揮するために、常に情報収集や相談を怠らず自身の判断力をも磨くことができる。3
法令を理解し遵守する。基本的人権について理解し、他者のおかれている状況を理解することができる。自分が関係している技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を理解し、技術者が社会に負っている責任を認識している。3
法令を理解し遵守する。研究などで使用する、他者のおかれている状況を理解できる。自分が関係している技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を理解し、技術者が社会に負っている責任を認識し、身近で起こる関連した情報や見解の収集に努めるなど、技術の成果が社会に受け入れられるよう行動できる。3
未来の多くの可能性から技術の発展と持続的社会の在り方を理解し、自らのキャリアを考えることができる。3
技術の発展と持続的社会の在り方に関する知識を有し、未来社会を考察することができるとともに、技術の創造や自らのキャリアをデザインすることが考慮できる。3
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3
クライアントの要求を解決するための設計解を作り出すプロセス理解し、設計解を創案できる。さらに、創案した設計解が要求を解決するものであるかを評価しなければならないことを理解する。3
クライアントの要求を解決するための設計解を作り出すプロセスを理解し、設計解を創案できる。さらに、創案した設計解が要求を解決するものであるかを評価しデザインすることができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力10000000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000