概要:
我々が社会生活を送る上で従うべきルールである法がどのような内容を持っているか,また法が設計している各種の社会制度がどのようなしくみになっているかを知ることは,「社会人」として活躍するならば,法学を専門としない人にとっても不可欠なことです。この授業では,社会科(特に「政治・経済」)で学んだ法やルールに関する知識を前提に,学生生活の中で巻き込まれそうなさまざまなトラブルや,新聞などで目に触れる身近な社会問題を例にして,法律特に,民法,刑法,行政法の3つが,それをどのように解決しているのかについて,表現と対話を通じて理解を深めます。これにより,社会と自分の様々な関わりに気づき,社会の中で生きる人間としての自分を理解し,社会や環境に配慮できるようになるでしょう。また,法を学ぶ際には法やルールそれ自体の内容を知るだけでなく,その背後にある,法やルールが守ろうとする「価値」を理解する必要があります。国際社会には多様な価値観を持つ人々が生活しており,そんな人々と共生するには,法(ルール)の視点から社会を考え,合意によって自律的にルールを形成するスキルが求められるからです。
授業の進め方・方法:
【授業の進め方など】テキストをベースにして講義形式で進めますが,折に触れて参加者にテキストを音読してもらう,参加者に質問を投げかける等の機会を設けます。なお,法律を勉強する場合,条文を参照することが不可欠ですが,条文集(いわゆる「六法」)を用意してもらうのは,少々大変なので,必要な条文は抜粋して配布します。
【事前事後学習など】あらかじめテキストの該当範囲を一読し,質問を考えてくること。
【関連科目】政治・経済
【MCC対応】Ⅲ-C 社会、Ⅶ 汎用的技能、態度・志向性(人間力)、Ⅷ 態度・志向性(人間力)、Ⅸ 総合的な学修経験と創造的思考力
注意点:
法学というと六法全書の丸暗記というイメージが強いかもしれませんが,このイメージは根本的に誤っています。既存の法(ルール)や制度についての知識を詰め込むのではなく,それらが「何のためにあるのか」,あるいは「なぜそうなっているのか」を常に考える習慣をつけてください。また,「政治・経済」の授業で学んだ内容を復習しておくことは,この授業の理解を助けることにつながるでしょう。
【評価方法・評価基準】成績の評価基準として60点以上を合格とする。
小テスト(30%)、中間試験(30%),期末試験(40%)を実施する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
プロローグ(教科書p1~20) |
授業の進め方,内容等についての詳細を把握する。
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2週 |
消費者被害にあう(教科書p23-37) |
消費者と事業者との間の契約をめぐって発生する問題に,民法,刑法,行政法がそれぞれどのように対処しているのかを理解する。
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3週 |
お金を借りる(教科書p39-48) |
お金の貸し借りをめぐって発生する問題に,民法,刑法,行政法がそれぞれどのように対処しているのかを理解する。
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4週 |
交通事故にあう(教科書p49-67) |
交通事故をめぐる問題に,刑法,民法,行政法がそれぞれどのように対処しているのかを理解する。
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5週 |
路上喫煙(教科書p69-81) |
路上喫煙をめぐる問題に,行政法,刑法,民法がそれぞれどのように対処しているのかを理解する。
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6週 |
アルバイトをする(教科書p83-97) |
アルバイトをめぐる問題に,民法,刑法,行政法がそれぞれどのように対処しているのかを理解する。
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7週 |
生活保護(教科書p99-114) |
生活困窮者をめぐる問題に,民法,行政法,刑法がそれぞれどのように対処しているのかを理解する。
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8週 |
不法投棄(教科書p115-131) |
不法投棄をめぐる問題に,民法,行政法,刑法がそれぞれどのように対処しているのかを理解する。
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4thQ |
9週 |
格差社会(行政法から考える)(教科書p134-147) |
行政法の視点から,格差社会をめぐる問題を,理解する。
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10週 |
格差社会(刑法から考える)(教科書p148-159) |
刑法の視点から,格差社会をめぐる問題を,理解する。
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11週 |
格差社会(民法から考える)(教科書p160-172) |
民法の視点から,各社社会をめぐる問題を,理解する。
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12週 |
家族(行政法から考える)(教科書p173-184) |
行政法の視点から,家族をめぐる問題を,理解する。
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13週 |
家族(民法から考える)(教科書p185-195) |
民法の視点から,家族をめぐる問題を,理解する。
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14週 |
家族(刑法から考える)(教科書p196-205) |
刑法の視点から,家族をめぐる問題を,理解する。
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15週 |
前期復習(教科書p206-217) |
全体総括
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 公民的分野 | 人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。 | 4 | |
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。 | 4 | |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 4 | |
工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。 | 3 | |
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。 | 3 | |
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。 | 3 | |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 3 | |
分野横断的能力 | 態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 3 | |
目標の実現に向けて計画ができる。 | 3 | |
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。 | 3 | |
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。 | 3 | |
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。 | 3 | |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 3 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 3 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 3 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 3 | |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 3 | |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 3 | |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 3 | |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 3 | |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 3 | |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | |
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。 | 3 | |
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。 | 3 | |
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。 | 3 | |
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。 | 3 | |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。 | 3 | |
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。 | 3 | |
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。 | 3 | |
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。 | 3 | |
企業には社会的責任があることを認識している。 | 3 | |
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。 | 3 | |
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。 | 3 | |
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。 | 3 | |
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。 | 3 | |
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。 | 3 | |
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。 | 3 | |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。 | 3 | |
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。 | 3 | |
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。 | 3 | |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。 | 3 | |
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。 | 3 | |