ディジタル信号処理

科目基礎情報

学校 石川工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 ディジタル信号処理
科目番号 20334 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子情報工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 貴家仁志「ディジタル信号処理」(オーム社) / 関連のプリントを配布する。
担当教員 山田 洋士

到達目標

1.ディジタル信号処理が身近でどのように利用されているか例を挙げることができる。
2.エリアジングがどのような現象か説明できる。
3.インパルス応答の定義を説明できる。
4.畳み込み演算の式を導出できる。
5.畳み込み演算とインパルス応答の関係を説明できる。
6.ディジタルフィルタ処理を実行できる。
7.離散フーリエ変換結果が何を表しているか説明できる。
8.サンプリング定理を説明できる。
9.ディジタルフィルタ設計時の設計仕様の指定方法を理解している。
10.画像の空間周波数を説明できる。
11.二次元畳み込み計算を実行できる。
12.二次元伝達関数から振幅特性が計算できる。
13.分離・非分離伝達関数とは何か説明できる。
14.MATLABを用いて簡単なプログラムを作成できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標 項目1,2,8サンプリングに伴う信号スぺクトルの変化を説明できる。サンプリングに伴う信号スぺクトルの変化の概要を説明できる。サンプリングに伴う信号スぺクトルの変化を理解することができず,説明することが困難である。
到達目標 項目3,4,5,6,14インパルス応答と畳み込み演算やブロック図、特性計算を説明できる。また,MATLABなどのプログラミング言語を用い計算ができる。インパルス応答と畳み込み演算やブロック図、特性計算の概要を説明できる。また,MATLABなどのプログラミング言語を用いて基礎的な計算ができる。インパルス応答と畳み込み演算やブロック図、特性計算を理解することができず,それらの説明が困難である。また,MATLABなどのプログラミング言語を用いて初歩的な計算を行うことが困難である。
到達目標 項目7離散フーリエ変換と離散時間フーリエ変換の関係と相違点を説明できる。離散フーリエ変換と離散時間フーリエ変換の関係と相違点の概要を説明できる。離散フーリエ変換と離散時間フーリエ変換の関係と相違点を理解することができず、説明が困難である。
到達目標 項目9ディジタルフィルタの設計仕様の指定方法を説明できる。ディジタルフィルタの設計仕様の指定方法の概略を説明できる。ディジタルフィルタの設計仕様の指定方法の理解することができず,説明が困難である。
到達目標 項目10,11,12,13画像の空間周波数を説明でき,二次元畳み込み計算を実行できる。二次元伝達関数の特性計算ができる。画像の空間周波数の基礎を説明でき,簡単な二次元畳み込み計算を実行できる。簡単な二次元伝達関数の例を挙げることができる。画像の空間周波数や二次元畳み込み計算,簡単な二次元伝達関数についての初歩的な計算を行うことが困難である。

学科の到達目標項目との関係

本科学習目標 1 説明 閉じる
本科学習目標 2 説明 閉じる
創造工学プログラム B1専門(電気電子工学&情報工学) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 音声・画像信号などのデータを計算機上で正しく扱い,工学上の種々の課題を解決するために必要となるディジタル信号処理の基本的な概念を修得する。ディジタルフィルタの処理手順および各種特性の評価方法を学ぶとともに,DTFT(離散時間フーリエ変換)とDFT(離散フーリエ変換)の違いとその正しい適用法を理解する。さらに,信号処理を応用する上で特に重要な線形位相ディジタルフィルタの特徴と実現および二次元信号(画像信号)の基本的な取り扱いなどを学ぶ。また,後期には,米国Math Wroks社の数値演算ツールであるMATLABを用いて授業で学んだ処理を実行し,シミュレーション言語としてのMATLABが様々な課題の解決に利用可能であることを学ぶ。
 この科目は,企業において信号処理技術を用いた電子機器の技術開発を担当していた教員がその経験を活かし,処理を実装する上で,ぜひとも理解しておいてほしい内容を含めて講義形式で実施する。担当教員は,これまで10数社の企業の技術相談に応じており,担当教員が開発に携わった信号処理関連のプログラムは,東証一部上場企業(2社)や,その他の企業の製品に組み込まれて使用されている。これらの経験を踏まえ,本授業と同学期に実施する電子情報工学実験Vでは,受講者が信号処理プログラムや特性解析プログラムの実装を行い,その動作を把握する。
授業の進め方・方法:
【事前事後学習など】授業内容の理解を深めるため、レポート・演習課題等を課す。
【関連科目】情報通信I,情報理論I,情報理論II,画像情報処理,電子回路II
【MCC対応】Ⅰ 数学,Ⅴ-D-8 その他の学習内容
注意点:
課題の演習問題は期限までに必ず提出すること。
【評価方法・評価基準】成績の評価基準として60点以上を合格とする。
前期末:中間試験(40%),期末試験(40%),課題(20%)
学年末:前期中間試験(20%),前期末試験(20%),前期課題(10%),後期中間試験(20%),後期末試験(20%),後期課題(10%)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ディジタル信号処理の目的と信号の表記法 ディジタル信号処理の目的と信号の表記法を説明できる。
2週 サンプリング定理と信号のサンプリング 信号のサンプリングで何が生じるかを説明できる。
3週 線形シフト不変システムと畳み込み演算 畳み込み演算を実行できる。
4週 差分方程式とブロック図 差分方程式からブロック図を記述できる。
5週 インパルス応答とシステムの各種特性 インパルス応答からシステムの特性を計算できる。
6週 ディジタルフィルタの実現 ディジタルフィルタを実装したコードを説明できる。
7週 z変換と伝達関数 伝達関数を求められる。
8週 伝達関数とシステムの実現 伝達関数とブロック図の関係を説明できる。
2ndQ
9週 FIRフィルタとIIRフィルタ FIRフィルタとIIRフィルタの特徴と違いを説明できる。
10週 DTFT(離散時間フーリエ変換)とz変換の関係 DTFT(離散時間フーリエ変換)とz変換の関係を説明できる。
11週 DTFTとDFT(離散フーリエ変換)の関係 DTFTとDFT(離散フーリエ変換)の関係を説明できる。
12週 DFTによるスペクトル分析 DFTによるスペクトル分析を実行できる。
13週 サンプリング定理の導出 サンプリング定理の導出を説明できる。
14週 時間-周波数分解能の関係 時間-周波数分解能の関係を説明できる。
15週 前期復習
16週
後期
3rdQ
1週 ディジタルフィルタの分類 ディジタルフィルタの特性を分類できる。
2週 理想フィルタと実際のフィルタ 理想フィルタと実際のフィルタの違いを説明できる。
3週 直線位相フィルタの性質 直線位相フィルタの性質を説明できる。
4週 窓関数法によるFIRフィルタの設計 窓関数法によるFIRフィルタの設計ができる。
5週 MATLABのコマンドウインドウとワークスペース MATLABのコマンドウインドウでのワークスペースの概念を説明できる。
6週 スクリプトM-fileと関数M-file スクリプトM-fileと関数M-fileの違いを説明できる。
7週 課題演習(1) MATLABに関する基礎的な課題を実施できる。
8週 画像信号の表現とMATLABでの画像ファイルの取り扱い 画像信号の表現とMATLABでの画像ファイルの取り扱いの相違を説明できる。
4thQ
9週 画像の空間周波数 画像の空間周波数の定義を説明できる。
10週 二次元畳み込み演算とMATLABでの実行 二次元畳み込み演算をMATLABで実行する関数を説明できる。
11週 2次元z変換と伝達関数 2次元z変換により伝達関数を求められる。
12週 分離・非分離伝達関数と行-列分解法 分離・非分離伝達関数での行-列分解法の処理手順を説明できる。
13週 課題演習(2) MATLABに関する課題を実施できる。
14週 課題演習(3) MATLABに関する課題を実施できる。
15週 後期復習
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。3
専門的能力分野別の専門工学情報系分野その他の学習内容メディア情報の主要な表現形式や処理技法について説明できる。4
ディジタル信号とアナログ信号の特性について説明できる。4
情報を離散化する際に必要な技術ならびに生じる現象について説明できる。4

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000