化学II

科目基礎情報

学校 石川工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 化学II
科目番号 15500 科目区分 一般 / 必修
授業形態 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 環境都市工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 「化学基礎」,「化学」(東京書籍),エクセル化学 総合版(実教出版),スクエア最新図説化学(第一学習社),プリント
担当教員 畔田 博文

到達目標

1.溶解,溶解度,モル濃度を理解できる。
2.コロイドの性質を理解できる。
3.化学反応式と熱化学方程式の違いを理解できる。
4.ヘスの法則を理解できる。
5.化学反応の速さに影響を及ぼす原因を理解できる。
6.活性化エネルギーとは何かを理解できる。
7.化学平衡の移動について理解できる。
8.酸と塩基の定義を理解できる。
9.中和反応について理解できる
10.塩の生成とその性質を理解できる。
11.酸化と還元の定義を理解できる。
12.化学電池の原理を理解できる。
13.電気分解の原理を理解できる。
14.有機化合物の特徴と性質について理解できる。
15.飽和,不飽和炭化水素の性質について理解できる。
16.芳香族炭化水素の性質について理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
溶液溶液の濃度に関する算出ができるとともに溶質を溶かした際の凝固点効果ならびに沸点上昇について説明できる。溶液とはどのような状態かの解説ができ,濃度の算出ができる。溶液とはどのような状態化が説明できない。
化学反応・変化とエネルギーヘスの法則を理解し,熱化学方程式を組み合わせて,未知の反応熱の算出ができる。化学反応もしくは変化とエネルギーとの関係が理解るとともに,それを熱化学方程式と反応座標を用いて説明できる。化学反応もしくは変化とエネルギーとの関係が理解できない。
反応速度と平衡反応速度をもとに化学平衡の解説ができるとともにルシャトリエの原理について解説できる。反応速度とは何かを理解し,速度式を立式できるとともに,速度に影響を与える要因について理解できる。化学速度とは何か,速度式の作成について説明できない。
酸と塩基・中和滴定酸・塩基が区別し,中和反応式を考えられ,さらに各中和における各終点のpHについて説明できる。酸・塩基の定義を理解しており,酸塩基を区別できるとともに中和反応式を作成できる。酸と塩基の定義,酸塩基の区別ができていない。
酸化と還元酸化還元の説明,酸化還元反応式の作成ができるとともに,それを活用し電池や電気分解についての解説できる。酸化と還元の定義の説明、酸化 剤と還元剤の半反応式を導くことができ,そこから酸化還元反応式を作成できる。酸化と還元の定義の説明、酸化 剤と還元剤の半反応式を導くことができない。
有機化合物と官能基有機化合物を官能基から見分けることができ,各官能基ごとの化合物の性質について説明できる。有機化合物と無機化合物の区別および有機化合物の構造式を描くことができる。有機化合物と無機化合物の区別および有機化合物の構造式を描くことができない。

学科の到達目標項目との関係

本科学習目標 1 説明 閉じる
本科学習目標 3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
講義や化学実験を通して,身の回りにある物質の性質,分類,構造をさぐり,それらの間に成り立つ法則を調べる。 その中で,専門科目の理解に必要な基礎学力を養い,得られた化学的な知識や考え方を用いた様々な問題解決の方法を学ぶ。さらに,化学実験においては,適切な試薬使用量を守ること,廃液をむやみに流さないことなど,環境に配慮する態度を養う。
授業の進め方・方法:
化学Ⅱは化学Ⅱα(通年)と化学Ⅱβ(半期)に分けて行う。化学Ⅱαは予習を軸とした協調学習と講義で学びます。化学Ⅱβは講義で学びます。
【事前事後学習など】化学Ⅱαの部分は予習を軸として行います。指定された箇所の予習をしっかり行い,自分が分かる点とわからない点を明確にしてください。授業でわからなかった点が明確になったら、これを事後学習で補ってください。演習書はこのために活用します。
【関連科目】化学Ⅰ,物理学Ⅰ,物理学ⅡA,物理学ⅡB
注意点:
 記憶する事項が多いですが,単なる丸暗記ではなく,理屈を考えて記憶し、説明ができるように努めてください。自分が理解できることと理解できないことを明確にすることが大切です。座学だけでなく,実験を通じて,注意力,観察力,思考力,技術力を獲得するように努めてください。
 化学Ⅱαでは適宜グループで教えあう学習方法をとりますので、積極的に参加してじぶん分野横断的能力も磨いてください。社会においても人と関わりながら学ぶことはとても重要となります。
 化学Ⅱαの授業資料は、各自ダウンロードし事後学習に役立てられるよう綴るなど整理してください。また,化学Ⅱβについては,プリントによって行うので,絶対に忘れてこないこと。

【評価方法・評価基準】前期中間試験,前期末試験,後期中間試験,学年末試験を実施する。
前期末:中間試験(40%),期末試験(40%),レポート(20%) 学年末:前期中間試験(20%),前期末試験(20%),後期中間試験(20%),学年末試験(20%),レポート(20%) レポートはABC評価を行い、すべてA評価の場合には20%を与える。化学Ⅱα(70%)と化学Ⅱβ(30%)の割合で総合的に評価する。成績の評価基準として50点以上を合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 上段化学Ⅱα:溶液(1)
下段化学Ⅱβ:有機化合物(1)
 溶液とはどのような状態か,濃度の算出,溶解度について理解できる。
 有機化合物と無機化合物が区別できる。
2週 溶液(2)
有機化合物(2)
 沸点上昇,凝固点降下の仕組みについて理解できる。
 有機化合物の構造を共有結合数をもとに書くことができる。
3週 溶液(3)
有機化合物(3)
 コロイドと透析について理解できる。
 官能基を理解し,構造式から有機化合物の分類ができる
4週 化学実験(1)
飽和・不飽和炭化水素(1)
 コロイドと透析についての知識をもとに現象を説明できとともに器具の扱いを安全に正しく行うことが出来る。
 アルカン,アルケン,アルキン,アルキル基の名前における規則性を理解できる。
5週 化学反応と熱(1)
飽和・不飽和炭化水素(2)
 反応熱と化学反応および変化との関係を熱化学方程式で示すことができる。
 アルカンの反応について理解できる。
6週 化学反応と熱(2)
飽和・不飽和炭化水素(3)
 ヘスの法則をもとに未知の化学反応の熱変化量を既知の熱化学方程式から導くことができる。
 アルケン,アルキンの反応について理解できる。
7週 復習
鎖式炭化水素の誘導体(1)
 これまでの知識を総合的に活用することができる。
 アルコールの命名,性質および反応について理解できる。
8週 反応速度(1)
鎖式炭化水素の誘導体(2)
 反応速度とは何かを説明でき,反応速度式を立式することができる。
 アルデヒド,ケトン,カルボン酸の命名,性質および反応について理解できる。
2ndQ
9週 反応速度(2)
鎖式炭化水素の誘導体(3)
 反応速度に影響を与える因子について説明ができる。
 エステルの合成と加水分解反応について理解できる。
10週 化学実験(2)
芳香族炭化水素(1)
 反応速度に関する知識をもとに実験結果を説明できとともに器具の扱いを安全に正しく行うことが出来る。
  芳香族化合物とアルケンとの違いを理解することができる。
11週 化学平衡(1)
芳香族炭化水素(2)
 化学平衡とは何かを説明することができるとともに平衡定数を算出することができる。
 芳香族化合物の名前と構造が理解できる。
12週 化学平衡(2)
芳香族炭化水素(3)
 ルシャトリエの原理をもとに外部刺激にたいして平衡がどのように変化するかを説明することができる。
 芳香族化合物の反応について理解できる。
13週 酸と塩基(1)
芳香族炭化水素誘導体(1)
 アレニウスの定義,ブレンステッド-ローリーの定義について例を用いて説明ができる。
 フェノール,アニリン,安息香酸の性質を理解できる。
14週 酸と塩基(2)
芳香族炭化水素誘導体(2)
 水の解離平衡とpHとのかかわりについて理解することができる。
 酸性,塩基性,中性の芳香族炭化水素の分離法について理解することができる。
15週 前期復習
前期復習
 これまでの知識を総合的に活用することができる。
16週
後期
3rdQ
1週 中和反応(1)  中和反応式を立式できるとともに反応式において量的関係を考えることができる。
2週 中和反応(2)   中和反応式から量的関係の算出ができる。
3週 塩の性質(1)  塩の加水分解を理解し,その液性の推定ができる。
4週 塩の性質(2)  塩の加水分解をもとに中和滴定における指示薬の選択ができる。
5週 塩の性質(3)  塩の加水分解と化学平衡をもとに緩衝溶液の性質について理解できる。
6週 化学実験(3)  中和反応で学んだ知識をもとに実験結果を説明できとともに器具の扱いを安全に正しく行うことが出来る。
7週 復習  これまでの知識を総合的に活用することができる。
8週 酸化と還元(1)  酸化と還元の定義が理解でき,半反応式を作成することができる。
4thQ
9週 酸化と還元(2)  半反応式をもとに酸化還元反応式を作成することができ,そこから量的関係について考えることができる。
10週 電池(1)  イオン化傾向をもとに電池の仕組みを説明することができる。
11週 電池(2)  ボルタ電池とダニエル電池との違いを説明することができる。
12週 電気分解(1)  電気分解と電池の違いについて理解することができる。
13週 電気分解(2)  ファラデー定数を用い電気分解における電流量と電気分解量との関係について理解できる。
14週 化学実験(4)  酸化還元,電池で学んだ知識をもとに実験結果を説明できとともに器具の扱いを安全に正しく行うことが出来る。
15週 後期復習 これまでの知識を総合的に活用することができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。3
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。3
物質が原子からできていることを説明できる。3
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
純物質と混合物の区別が説明できる。3
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。3
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。3
水の状態変化が説明できる。3
物質の三態とその状態変化を説明できる。3
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3
同位体について説明できる。3
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。3
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3
価電子の働きについて説明できる。3
原子のイオン化について説明できる。3
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3
イオン式とイオンの名称を説明できる。3
イオン結合について説明できる。3
イオン結合性物質の性質を説明できる。3
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3
共有結合について説明できる。3
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3
金属の性質を説明できる。3
原子の相対質量が説明できる。3
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。3
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。3
気体の体積と物質量の関係を説明できる。3
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3
中和反応がどのような反応であるか説明できる。また、中和滴定の計算ができる。3
酸化還元反応について説明できる。3
イオン化傾向について説明できる。3
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3
ダニエル電池についてその反応を説明できる。3
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。3
一次電池の種類を説明できる。3
二次電池の種類を説明できる。3
電気分解反応を説明できる。3
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。3
ファラデーの法則による計算ができる。3
化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3
測定と測定値の取り扱いができる。3
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3
ガラス器具の取り扱いができる。3
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3
試薬の調製ができる。3
代表的な気体発生の実験ができる。3
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能相手の意見を聞き、自分の意見を伝えることで、円滑なコミュニケーションを図ることができる。3
相手を理解した上で、説明の方法を工夫しながら、自分の意見や考えをわかりやすく伝え、十分な理解を得ている。3
ICTやICTツール、文書等を基礎的な情報収集や情報発信に活用できる。3
事象の本質を要約・整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性身内の中で、周囲の状況を改善すべく、自身の能力を発揮できる。 3
チームワークの必要性・ルール・マナーを理解し、自分の感情の抑制、コントロールをし、他者の意見を尊重し、適切なコミュニケーションを持つとともに、当事者意識を持ち協調して共同作業・研究をすすめることができる。3
組織やチームの目標や役割を理解し、他者の意見を尊重しながら、適切なコミュニケーションを持つとともに、成果をあげるために役割を超えた行動をとるなど、柔軟性を持った行動をとることができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000