科目基礎情報

学校 石川工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 法学
科目番号 20027 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 環境都市工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 堀口悟郎・斎藤一久編『図録 法学入門』(弘文堂)
担当教員 福本 知行

到達目標

1.法の基本理念と全体像を理解する。
2.法が社会において果たしている役割を理解する。
3.民法・刑法などによる具体的な問題解決の方法を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標 項目1法の基本理念と全体像を,正確に理解している。法の基本理念と全体像を,一応理解している。法の基本理念と全体像を,理解していない。
到達目標 項目2法が社会において果たしている役割を,正確に理解している。法が社会において果たしている役割を,一応理解している。法が社会において果たしている役割を,理解していない。
到達目標 項目3法による具体的な問題解決の方法を,正確に理解している。法による具体的な問題解決の方法を,一応理解している。法による具体的な問題解決の方法を,理解していない。

学科の到達目標項目との関係

本科学習目標 3 説明 閉じる
本科学習目標 4 説明 閉じる
創造工学プログラム C1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 我々が社会生活を送る上で従うべきルールである法がどのような内容を持っているか,また法が設計している各種の社会制度がどのようなしくみになっているかを知ることは,「社会人」として活躍するならば,法学を専門としない人にとっても不可欠なことです。この授業では,社会科(特に「政治・経済」)で学んだ法やルールに関する知識を前提に,学生生活の中で巻き込まれそうなさまざまなトラブルや,新聞などで目に触れる身近な社会問題を例にして,(特に民法を中心とする)法律が,それをどのように解決しているのかについて,表現と対話を通じて理解を深めます。これにより,社会と自分の様々な関わりに気づき,社会の中で生きる人間としての自分を理解し,社会や環境に配慮できるようになるでしょう。また,法を学ぶ際には法やルールそれ自体の内容を知るだけでなく,その背後にある,法やルールが守ろうとする「価値」を理解する必要があります。国際社会には多様な価値観を持つ人々が生活しており,そんな人々と共生するには,法(ルール)の視点から社会を考え,合意によって自律的にルールを形成するスキルが求められるからです。
授業の進め方・方法:
【授業の進め方など】教科書を参照しつつ、レジュメをベースにして講義形式で進めますが,折に触れて参加者にテキストを音読してもらう,参加者に質問を投げかける等の機会を設けます。なお,法律を勉強する場合,条文を参照することが不可欠ですが,条文集(いわゆる「六法」)を用意してもらうのは,少々大変なので,必要な条文は抜粋して配布します。
【事前事後学習など】あらかじめ教科書の該当範囲を一読する。レジュメをベースに講義内容と教科書の記述を整理・集約する。
【関連科目】政治・経済
【MCC対応】Ⅲ-C 社会、Ⅳ-B 技術者倫理および技術史、Ⅶ 汎用的技能、Ⅷ 態度・志向性(人間力)、Ⅸ 総合的な学修経験と創造的思考力
注意点:
法学というと六法全書の丸暗記というイメージが強いかもしれませんが,このイメージは根本的に誤っています。既存の法(ルール)や制度についての知識を詰め込むのではなく,それらが「何のためにあるのか」,あるいは「なぜそうなっているのか」を常に考える習慣をつけてください。また,「政治・経済」の授業で学んだ内容を復習しておくことは,この授業の理解を助けることにつながるでしょう。
【評価方法・評価基準】成績の評価基準として60点以上を合格とする。
小テスト(30%)、中間試験(30%),期末試験(40%)を実施する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 はじめに 授業の進め方,内容等についての詳細を把握する。
2週 契約の基礎 契約の基本原則である、契約自由の原則と契約の拘束力(なぜ契約は守らなければならないのか)の根拠を理解する。
3週 金銭消費貸借契約 お金の貸し借りに関する契約(金銭消費貸借契約)のしくみと、留意点を理解する。
4週 消費者契約 事業者と消費者との間で結ばれる契約のしくみと、留意点を理解する。
5週 労働契約 使用者と労働者との間で結ばれる契約のしくみと、留意点を理解する。
6週 所有権 所有権の基本原則である、所有権絶対の原則とその限界、物の所有権を取得する様々な方法、不動産登記制度の概要を理解する。
7週 行政法による規制 行政の活動のうち、私人の自由を制限する規制のしくみと、留意点を理解する。
8週 規制以外の行政の活動 生活保護の給付など、規制以外の行政の活動のしくみと、留意点を理解する。
4thQ
9週 不法行為 不法行為法の基本原則である過失責任の原則を理解したうえで、人の生命・身体・財産・名誉等を侵害する行為への法的な対応のしくみと、留意点を理解する。
10週 犯罪と刑罰 刑法の基本原則である、罪刑法定主義を理解したうえで、刑法はあくまで最低限の社会秩序を維持するものであることを理解する。
11週 刑事裁判 裁判員制度を含む刑事裁判のしくみと、留意点を理解する。
12週 民事裁判 刑事裁判との違いを踏まえた民事裁判のしくみと、民事裁判以外の紛争解決方法を理解する。
13週 親族 婚姻関係の成立とその解消、親子関係の成立、親族間の扶養などの家族をめぐる法制度のしくみと、留意点を理解する。
14週 相続 人の死亡に伴う財産の承継をめぐる法制度のしくみと、留意点を理解する。
15週 後期復習 全体総括
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文社会科学社会公民的分野人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。4
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。4
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。4
工学基礎技術者倫理技術者倫理情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
分野横断的能力基盤的資質・能力自己理解自己理解周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
目標の実現に向けて計画ができる。3
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。3
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。3
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。3
企業には社会的責任があることを認識している。3
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。3
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。3
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。3
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。3
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3
創造性・デザイン能力創造性創造性公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3

評価割合

小テスト中間試験期末試験合計
総合評価割合303040100
基礎的能力303040100
専門的能力0000
分野横断的能力0000