信号処理論

科目基礎情報

学校 石川工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 信号処理論
科目番号 0031 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子機械工学専攻 対象学年 専2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 関連資料を配布する。
担当教員 山田 洋士

到達目標

1.正規化周波数表現を説明できる。
2.画像の空間周波数を説明できる。
3.サンプリングに伴う信号のスペクトル変化を説明できる。
4.バンドパスサンプリング方式での周波数変化を説明できる。
5.アップサンプラ,ダウンサンプラ処理を説明できる。
6.ダウンサンプルに伴うスペクトルの変化を説明できる。
7.信号のレート変換処理における帯域制限の必要性を説明できる。
8.JPEG方式における圧縮率を高めるための工夫を説明できる。
9.特許が成立するために必要な要件を説明できる。
10.特許プール制が期待する効果と成立に必要な要件を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標 項目1,2,3,4サンプリング定理に基づき,バンドパスサンプリングが可能となる原理を説明できる。サンプリング定理に基づき,バンドパスサンプリングが可能となる原理の概要を説明できる。バンドパスサンプリングが可能となる原理を理解できず、その概要を説明できない。
到達目標 項目5,6,7レート変換処理手順を説明できる。レート変換処理手順の概要を説明できる。レート変換処理手順を理解できず,説明を行うことが困難である。
到達目標 項目8,9,10JPEG方式における圧縮率を高めるための工夫を説明できる。JPEG方式において問題となった特許紛争の要点と,対応策の概略を説明できるとともに,講義で紹介した特許に関連した新聞記事などを熟読している。JPEG方式における圧縮率を高めるための工夫の概略を説明できる。JPEGにおいて問題となった特許紛争の要点と,対応策の概略を説明できる。JPEG方式における圧縮率を高めるための工夫を理解できず,説明を行うことが困難である。また,JPEG方式において問題となった特許紛争の概要を把握しておらず,説明を行うことが困難である。

学科の到達目標項目との関係

創造工学プログラム A1専門(電気電子工学&情報工学) 説明 閉じる
創造工学プログラム B1専門(電気電子工学&情報工学) 説明 閉じる
創造工学プログラム F1専門(機械工学) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 この講義では,音声・画像信号圧縮や通信信号処理で重要な役割を果たしているマルチレート信号処理の基礎を学ぶ。マルチレート処理の適用例として,種々の信号のレート変換,スペクトル解析,バンドパスサンプリング方式などについて学ぶとともに,画像圧縮という課題に対してJPEG画像圧縮方式ではどのような技術を組み合わせることで課題の解決を図っているかを学ぶ。また,JPEG画像圧縮方式が標準規格として成立した後に発生した特許紛争を紹介し,特許プール制など技術開発と特許制度との関わりについても目を向けることを目指す。
 この科目は,企業において信号処理技術を用いた電子機器の技術開発ならびに画像処理に関する技術調査を担当していた教員が,その経験を活かし講義形式で実施する。担当教員は,これまで10数社の企業の技術相談にも応じており,担当教員が開発に携わった信号処理関連のプログラムは,東証一部上場企業(2社)や,その他の企業の製品に組み込まれて使用されている。
授業の進め方・方法:
【事前事後学修など】授業内容の理解を深めるため、レポート・演習課題等を課す。講義内容を理解し次回の講義に備えるために,講義の後毎回,時間外学習時間に講義内容を復習すること。
【関連科目】線形数学,音声情報処理,画像工学
注意点:
課題の演習問題は,期限までに必ず提出すること。
【評価方法・評価基準】成績の評価基準として60点以上を合格とする。
後期末:中間試験(40%),期末試験(40%),課題(20%)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 サンプリングと正規化表現 サンプリングと正規化表現を説明できる。
2週 一次元および二次元信号 一次元および二次元信号の表記を説明できる。
3週 空間周波数とCZP (Circular Zone Plate) CZP (Circular Zone Plate)が有する空間周波数を説明できる。
4週 サンプリングと信号のスペクトル サンプリングと信号のスペクトルを説明できる。
5週 バンドパスサンプリング方式によるサンプリング バンドパスサンプリング方式によるサンプリング条件を説明できる。
6週 マルチレート信号処理の考え方 マルチレート信号処理の必要性を説明できる。
7週 周波数領域から見たダウンサンプル処理の効果 周波数領域から見たダウンサンプル処理の効果を説明できる。
8週 アップサンプル処理とスペクトル アップサンプル処理とスペクトルの変化を説明できる。
4thQ
9週 信号のレート変換 信号のレート変換手順を説明できる。
10週 画像圧縮法の分類とJPEG画像圧縮方式 画像圧縮法の分類とJPEG画像圧縮方式の位置づけを説明できる。
11週 離散コサイン変換の定義と量子化テーブル 量子化テーブルのサイズを規定し,値を標準化しないことの得失を説明できる。
12週 カラーサブサンプリングやハフマン符号化などの要素技術 カラーサブサンプリングやハフマン符号化などの要素技術
13週 ランレングス・ハフマン符号化によるデータ圧縮 ランレングス・ハフマン符号化によるデータ圧縮手順を説明できる。
14週 JPEG標準規格と特許紛争およびその後の状況について パテントプール制など,標準化した技術での特許紛争を回避する手法の狙いを説明できる。
15週 復習および演習
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000