到達目標
1. 古典論と量子論の違いを理解できる
2. 量子論の理論体系を理解し,ブラ・ケットを用いた計算ができる
3. 正準量子化を理解し,演算子を微分演算子で表現できる
4. 一次元を運動する粒子の量子論を理解し,基礎的な問題に適用できる
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
到達目標
項目1 | 古典論と量子論に違いを十分理解している | 古典論と量子論の違いを理解している | 古典論と量子論の違いを理解できていない |
到達目標
項目2 | 量子論の理論体系が十分理解できており,ブラ・ケットを用いた計算も十分できる | 量子論の理論体系がおおむね理解できており,ブラ・ケットを用いた計算もおおむねできる | 量子論の理論体系が理解できておらず,ブラ・ケットを用いた計算もできない |
到達目標
項目3
| 正準量子化が十分理解できており,物理量に対応する微分演算子を導出できる | 正準量子化がおおむね理解できており,物理量を微分演算子で表現できる | 正準量子化が理解できておらず,演算子を微分演算子で表現できない |
到達目標
項目4 | 1次元空間を運動する粒子の量子論が十分理解できており,基礎的な問題に適用して解析できる | 1次元空間を運動する粒子の量子論が理解できており,基礎的な問題におおむね適用できる | 1次元空間を運動する粒子の量子論が理解できておらず,基礎的な問題に適用できない |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
科学技術を利用して創造することに喜びを知り,たゆまず努力するには基礎的な工学の知識が必要である.本科目では,ミクロな世界を記述するのに必要な量子力学と呼ばれる理論体系について学ぶ.量子力学は,量子力学とそれ以外という形で物理の諸分野を分けられるほど,基本的な考え方が大きく異なる.通常,物理量は測定する・しないに関わらず各時刻で定まった値を持つと考えているが,量子力学ではこれを否定するところから始まる.この授業では,量子力学特有の基本仮定と枠組みを中心に学習していき,応用としてスピンという物理量と1次元空間を運動する粒子を取り上げる.これらの学習を通して,物理学によって理論的に問題を解析し,解決までできる力を養成する.
授業の進め方・方法:
前半は線形代数の学習と平行してスピンを題材に量子力学の理論体系を学ぶ.後半は正準量子化に基づいて1次元空間を運動する粒子の量子力学について学ぶ.線形代数の学習は,主に事前学習としてワークシートに取り組んでもらい,授業で解説する形で進める.その他は,授業で解説してから事後学習で授業内容の理解を深めてもらう.
履修の先修条件:行列の固有値・固有ベクトルを求められること.線形代数(専攻科1年共通)
授業時間外の学修として,課題への取り組みと,次に学修する範囲の予習が必要.
注意点:
毎回授業外学修時間に相当する分量の予習・復習課題を与えるので必ず提出すること.
前期中間試験と前期末試験を実施する.
前期中間試験(40%),前期末試験(40%),課題への取り組み (20%)
課題への取り組みは,提出状況により評価する.
成績の評価基準として60点以上を合格とする.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
古典物理の破綻から量子論へ |
古典論と量子論の違いを理解することができる
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2週 |
ヒルベルト空間(その1) |
ブラ・ケットを用いた表記を理解し,ベクトル空間の公理に基づいた計算ができる
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3週 |
ヒルベルト空間(その2) |
演算子を理解し,演算子に関する様々な計算ができる
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4週 |
量子論の要請(離散固有値の場合) |
量子論における「要請」を理解することができる
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5週 |
期待値とゆらぎ,量子論の要請(連続固有値の場合) |
量子論における「要請」を理解し,ブラ・ケットを用いた計算をすることができる.
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6週 |
不確定性原理 |
不確定性原理を理解することができる
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7週 |
時間発展 |
時間発展に関する量子論における「要請」を理解することができる
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8週 |
演習 |
1週から7週までの学習内容に関する問題が解ける
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2ndQ |
9週 |
ハミルトン形式の解析力学 |
簡単な一次元運動についてハミルトニアンを構成し,運動方程式を立てることができる
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10週 |
正準量子化 |
正準量子化の方法を理解し,シュレディンガー表示でベクトルや演算子を表現することができる
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11週 |
自由粒子 |
自由粒子のシュレディンガー方程式を解くことができる
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12週 |
井戸型ポテンシャル(その1) |
無限に深い井戸型ポテンシャルに対するシュレディンガー方程式を解くことができる
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13週 |
井戸型ポテンシャル(その2) |
有限の深さの井戸型ポテンシャルに対するシュレディンガー方程式について,その解や解の物理的意義について理解することができる
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14週 |
調和振動子 |
調和振動子のエネルギー固有値が,ブラ・ケットを用いて求められることを理解し,エネルギー固有値の性質や意義を理解することができる
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15週 |
前期復習 |
第1週から14週までに学習した内容をふり返り,学習内容を包括的に理解できる
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 80 | 20 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 |