科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 哲学
科目番号 0072 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 バートランド・ラッセル『ラッセル幸福論』(岩波書店)
担当教員 佐藤 勇一

到達目標

A. 哲学的文献にたいする読解能力を養うとともに、発表分担、係分担、討論などの活動に参加し、講読記録簿やコミュニケーションペーパーを通じて、自分の読解過程や授業参加過程を自覚することができる。

B. 対話によって問いを自分の世界に引き付けて考察し、自分や他人の論証を理解することができる。

C. 哲学や哲学史に関する知識を得るとともに、現代的な哲学的諸問題について多様な観点から考察し、コミュニケーションペーパーを通じて文章にまとめることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1哲学的文献にたいする読解能力を養うとともに、発表分担、係分担、討論などの活動に参加し、講読記録簿やコミュニケーションペーパーを通じて、自分の読解過程や授業参加過程を自覚することが十分にできる。哲学的文献にたいする読解能力を養うとともに、発表分担、係分担、討論などの活動に参加し、講読記録簿やコミュニケーションペーパーを通じて、自分の読解過程や授業参加過程を自覚することが或る程度できる。哲学的文献にたいする読解能力を養うとともに、発表分担、係分担、討論などの活動に参加し、講読記録簿やコミュニケーションペーパーを通じて、自分の読解過程や授業参加過程を自覚することが全くできない。
評価項目2問いを自分の世界に引き付けて考察し、自分や他人の論証を理解することが十分にできる。問いを自分の世界に引き付けて考察し、自分や他人の論証を理解することが或る程度できる。問いを自分の世界に引き付けて考察し、自分や他人の論証を理解することが全くできない。
評価項目3哲学や哲学史に関する知識を得るとともに、現代的な哲学的諸問題について多様な観点から考察し、コミュニケーションペーパーを通じて文章にまとめることが十分にできる。哲学や哲学史に関する知識を得るとともに、現代的な哲学的諸問題について多様な観点から考察し、コミュニケーションペーパーを通じて文章にまとめることが或る程度できる。哲学や哲学史に関する知識を得るとともに、現代的な哲学的諸問題について多様な観点から考察し、コミュニケーションペーパーを通じて文章にまとめることが全くできない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
20世紀前半のイギリスを代表する哲学者、バートランド・ラッセルの『ラッセル幸福論』(原題The Conquest of Happiness)を講読し、この著作と関連する哲学的テーマに関する哲学対話(p4c)や講義を行う。
A.受講者は、『ラッセル幸福論』をラッセルの論の展開とともに理解し、幸福や現代社会、愛情や仕事に関する自分の考えを深めたり、自分の読解過程や授業参加過程を自覚したりすることができる。
B. 哲学対話を通じて、自分や世界に問いをひきつけて講読や講義で考察した内容や哲学的な問題について考察したり、自分や他人の論証を理解したりすることができる。
C.講義では、ラッセルの生涯やその思想に関連した知識を伝授するとともに、できるだけ多角的な視点から講義することによって、受講者に現代的な諸問題について考えるヒントを与えることを目指す。


授業の進め方・方法:
3つの授業形態がある。
A.講読形式:
受講者は、発表分担、係分担、討論などを通じて授業に参加し、各自の読解過程をふりかえる「レポート」を作成する。係活動には1「発表係」、2「書記・司会係」、3「質問係」、4「前回の講読まとめ報告係」、5「コミュニケーションペーパーのまとめ係」がある。係活動は毎回違うグループがそれぞれの係を分担する。全回の講読を通じて、すべてのグループがすべての係を担当する。毎回の講読の最後には、「講読記録」と「コミュニケーションペーパー」を記入し、自分の学習過程を自覚する。

B.哲学対話形式:
哲学対話はコミュニティーボールを用いたp4c(子どもの哲学)スタイルで行う。受講者は、互いへの経緯を尊重する限りで自由に発言し、それを全員に聞いてもらえるという知的な安心感のもと、問いの作成や問いの探求を行う。対話後には、対話をふりかえる「ワークシート」を作成する。

C.講義形式:
ラッセルの生涯やその思想と関連する知識を、できるだけ多角的な視点から紹介する。講義の理解や各自の思索の深化を促すために、受講者には、毎講義ごとにさまざまな事柄について考察する「コミュニケーションペーパー」を作成してもらう。講義形式で使用するレジュメは授業ごとに適宜配布する。


注意点:
・テストは行わず、発表やそのレジュメ(20%)、発表以外の係活動(20%)、対話への参加(p4cワークシート20%)などの活動、および、レポート(15%)やそれ以外の提出物(コミュニケーションペーパー、講読記録など 25%)を総合して成績を判断する。授業への参加度や各自の読解過程や哲学的な探求の過程への振り返りを重視する。
100点満点で60点以上を合格とする。

A. 講読形式
1)遅刻・欠席をしない:講読や哲学対話は、積極的な参加が絶対条件である。欠席・遅刻や積極性の欠如により係活動や授業における活動を行わない場合、単位の取得を困難にする。
2)レジュメ提出の締め切り厳守:講読形式においては、「発表係」、「前回の講読まとめ報告係」、「コミュニケーションペーパーのまとめ係」は事前にレジュメを作成・提出する必要がある。これが滞ってしまうと、グループメンバーの単位取得を困難にするだけではなく、その回の講読全体にも支障をきたす。次の回の講読の際に自分がどの係になっているかを意識しておく必要がある。
3)予習・復習をすること:各回の講読で担当するさまざまな係活動は、どれも予習や復習が必要なものである。毎回
予習しておかなければ、講読への参加が困難である。
4)レポート提出:自分の読解を振り返るレポートを課す。必ず提出すること。レポートでは(コミュニケーションペーパーも同様であるが)、自分の意見と他人の意見を明確に区別し、引用や参考文献については明記するなどの最低限
の形式を厳守する必要がある。

B. 哲学対話形式
遅刻・欠席をしない:問いの提出や対話への積極的な参加が必要である。授業への参加度は、各自対話終了後に振り返る。

C. 講義形式
講義形式の場合にも欠席や遅刻をせずに参加するだけではなく、コミュニケーションペーパーに何を書くか、簡単にでも頭に浮かべて講義に臨む積極的な姿勢が必要である。コミュニケーションペーパーの内容があまりに不足している場合は評価しないので注意すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業概要シラバスの説明とガイダンス ラッセルの生涯
(コミュニケーションペーパー作成。)
シラバスの内容、係活動の理解。
ラッセルの生涯について概観する(ラッセルの生涯については、オンデマンド動画にて行う場合もある)。
2週 講読形式:第1部「不幸の原因」第1章~第2章(pp.11 - 34. l.2)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「何が人々を不幸にするのか」「バイロン風の不幸」を読解し、発表、議論を行う。
3週 講読形式:第1部「不幸の原因」第2章~第3章(pp.34. l.5 - 57. l.3)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「バイロン風の不幸」「競争」を読解し、発表、議論を行う。
4週 講読形式:第1部「不幸の原因」第3章~第5章(pp. 57.l.4 - 80 )
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「競争」「退屈と興奮」「疲れ」を読解し、発表、議論を行う。
5週 講読形式:第1部「不幸の原因」第5章~第6章(pp.81 - 104)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「疲れ」「ねたみ」を読解し、発表、議論を行う。
6週 講読形式:第1部「不幸の原因」第7章~第8章(pp.105 - 129. l.7)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「罪の意識」「被害妄想」を読解し、発表、議論を行う。
7週 講読形式:第1部「不幸の原因」第8章~第9章(pp.129. l.8 - 153)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「被害妄想」「世評に対するおびえ」を読解し、発表、議論を行う。
8週 講読形式:第2部「幸福をもたらすもの」第10章~第11章(pp.157 - 181. l.2)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「幸福はそれでも可能か」「熱意」を読解し、発表、議論を行う。
2ndQ
9週 講義形式:哲学史講義
(コミュニケーションペーパー作成)
ラッセルや幸福論と関連する思想について現代の問題の特質とともに理解できる。
10週 講読形式:第2部「幸福をもたらすもの」第11章~第12章(pp.181. l.3 - 205)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「熱意」「愛情」を読解し、発表、議論を行う。
11週 講読形式:第2部「幸福をもたらすもの」第13章(pp.206 - 229)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「家族」を読解し、発表、議論を行う。
12週 講読形式:第2部「幸福をもたらすもの」第14章~第15章(pp.230 - 251. l.4)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「仕事」「私心のない興味」を読解し、発表、議論を行う。
13週 講読形式:第2部「幸福をもたらすもの」第15章~第17章(pp.251. l.5 - 273)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「私心のない興味」「努力とあきらめ」「幸福な人」を読解し、発表、議論を行う。
14週 哲学対話形式:p4c
(振り返りワークシート作成)
講読や講義の内容や哲学的な問題に関し、対話を通じて探究することができる。
15週 哲学対話形式:p4c
(振り返りワークシート作成)
講読や講義の内容や哲学的な問題に関し、対話を通じて探究することができる。
16週 評価物返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3前1,前4,前8,前9,前10,前11,前14,前15

評価割合

発表係活動対話への参加(ワークシート)レポート提出物(講読記録、コミュニケーションペーパーなど)その他合計
総合評価割合20202015250100
基礎的能力20202015250100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000