工学倫理(M)

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 工学倫理(M)
科目番号 0073 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材
担当教員 金田 直人,中谷内 悠,川畑 弥生,板倉 信一郎,蓑輪 泰造

到達目標

(1)社会や環境に影響を与える科学技術に携わる技術者を目指す者として、技術者が倫理的に配慮すべきもの(公衆の安全・健康・福利、説明責任、平和の構築、自然資源の維持など)について、自らに引き付けて理解している。
(2)将来世代にわたる持続可能な地球社会の構築に努めるために、技術者として知っておくべき環境倫理や環境問題の現状についての基本的な知識を自らに引き付けて理解している。
(3)受講者が、技術者として社会で活躍するに際して、倫理的に行動するために知っておくべき概念(コンプライアンス、リスクマネジメント、社会貢献)を習得するとともに、それを基に自ら考える習慣を身に着ける。
(4)あらゆる技術には、必ずベネフィットとリスクが共存することや、リスクはあとで明らかになることも多いことを理解すること。
(5)新技術の開発に当たっては、科学的・客観的な視点から、そのリスクを回避または最小化することの重要性を体得すること。
(6)現実にリスクに直面したとき、その情報と対応策を組織の内外に説明・伝達・コミュニケートできる能力を開発すること。
(7)日本技術士会や電気学会等の「倫理要綱」の趣旨と意義が理解でき、また、その内容を第三者に説明できること。
(8)特許制度の概要を理解すること。
(9)特許出願書類(クレーム、明細書、図面等)の相互間の関連付けを理解し、明細書等を読み書きできるようにすること。
(10)特許侵害の意義を理解すること。

学習・教育到達度目標 RB2
JABEE JA3

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1科学、技術が社会や自然に与える影響と技術者の責務に関連した問題を正確に解くことができる。科学、技術が社会や自然に与える影響と技術者の責務に関連した問題をほぼ正確に解くことができる。科学、技術が社会や自然に与える影響と技術者の責務に関連した問題を解くことができない。
評価項目2知的財産権(職務発明を含む)に関連した問題を正確に解くことができる。知的財産権(職務発明を含む)に関連した問題をほぼ正確に解くことができる。知的財産権(職務発明を含む)に関連した問題を解くことができない。
評価項目3各当該分野の基礎専門知識を十分に身につけ、先人たちの倫理問題への対応を深く理解し、様々な倫理問題に対し適切に対応できる。各当該分野の基礎専門知識を身につけ、先人たちの倫理問題への対応を理解し、様々な倫理問題に対し対応できる。各当該分野の基礎専門知識を身につけたり、先人たちの倫理問題への対応を理解できない。様々な倫理問題に対し対応できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RA1 説明 閉じる
JABEE JA3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
現代社会において、技術者が社会的責任を問われる背景を理解し、講義および事例研究を通して、工学倫理に関する基礎知識を修得し、技術者が社会的責任を果たし、工学倫理に関わる問題に適切に対応できるようにする。
この科目は、技術士(建設部門(道路))の資格をもち、建設コンサルタント会社に勤務している者、および企業にて知的財産に関する業務に従事していた者が授業の一部を担当し、その経験を活かし、技術者としてのあり方、身につけるべき素養などを含め工学倫理等について多面的に授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
地球の環境倫理や倫理規定の必要性、事故の事例を踏まえた教育を行うとともに、環境、生命、安全、失敗や創造など多面的な視点から、工学倫理について教授する。Powerpointを用いた講義、プレゼンテーションやグループワーク、ケースメソッドなどの活動により授業を進める。
注意点:
定期試験は行わなず、提出されたレポートのみで成績を評価する。授業の内容を確実に身につけるために、予習・復習が必須である。講義中はパワーポイントや板書の内容だけでなく、口頭による説明についても各自メモをとる習慣を身につけること。内容を深く理解するため、また実践的工学倫理力を高めるため、参考文献やTV、新聞、インターネット等のメディアを活用し、近年話題となった工学倫理上の問題についてむ自身で調べ、分析すること。また、教科書に記載されている内容を一通り目を通し、技術的文書の展開方法、作成方法など、技術レポート作成の参考にすること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 倫理的な問題の考え方(担当:中谷内) ガイダンス。事実と価値の区別、倫理的な問題とその考え方について理解する。
2週 技術者の社会的責任、コンプライアンス(担当:板倉) 技術者と社会的責任、コンプライアンスとは何か、コンプライアンス違反の事例について理解すること
3週 製造物責任、リスクマネジメント(担当:板倉) 製造物責任とは何か、製造物責任が問われた事例、リスクとクライシス、コントロールとマネジメントについて理解すること
4週 2030SDGsの体験と振り返り(1)(担当:川畑) SDGsが設定された背景や達成目標を知り、ゲームを通して自らの行動が社会に与える影響について理解し、技術者として目指すべき社会について考える。
5週 社会貢献(地域貢献)(担当:板倉) 技術者の本来的使命、「この時」「この場所」との関わりについて理解すること
6週 2030SDGsの体験と振り返り(2)(担当:川畑) SDGsが設定された背景や達成目標を知り、ゲームを通して自らの行動が社会に与える影響について理解し、技術者として目指すべき社会について考える。
7週 技術者の配慮すべきもの:公衆の利益(担当:中谷内) 公衆の利益とは何か、どうして配慮すべきなのか、公益通報について理解する。
8週 技術者の配慮すべきもの:持続可能性について(担当:中谷内) 持続可能性、将来世代への影響、自然環境への影響について配慮すべき理由について理解する。
4thQ
9週 技術の社会的利用1(担当:中谷内) 開発された技術を一般的に普及させることの是非について、どのように考えればよいのかを理解する。
10週 2030SDGsの体験と振り返り(3)(担当:川畑) SDGsが設定された背景や達成目標を知り、ゲームを通して自らの行動が社会に与える影響について理解し、技術者として目指すべき社会について考える。
11週 技術の社会的利用2(担当:中谷内) 開発された技術を一般的に普及させることの是非について、どのように考えればよいのかを理解する。
12週 学会などに示されている倫理規定・倫理要領について 機械系技術者に求められる倫理・行動規範について説明できる
13週 事例学習「自動車メーカーのクレーム隠し」「素材メーカーのデータ改ざん」「チャレンジャー事故」 事例を通して、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる
14週 知的財産権概観に関する講義 知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる
15週 産業界および自然界での課題をグループワークで調査し,機械工学の観点から目標達成に向けた解決策を提案する 持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3後4,後6,後10
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3後1,後7,後8,後9,後11
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3後4,後6,後10
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3後4,後6,後10
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3後4,後6,後10
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
目標の実現に向けて計画ができる。3
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。3
企業には社会的責任があることを認識している。3
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。3
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。3
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。3
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。3
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3

評価割合

試験小テスト課題発表態度その他合計
総合評価割合00100000100
基礎的能力00100000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000