電気回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電気回路Ⅰ
科目番号 0010 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 基礎からの交流理論(電気学会)
担当教員 米田 知晃,福嶋 宏之

到達目標

電気回路は電気磁気学と並んで電気工学の基礎科目で、電気回路Ⅰはその入門部分に当たるため、数学、物理の知識を基にして、直流・交流の性質と数式表現法、電気現象と回路表現法、直並列直流・交流回路の三角関数を用いた計算法および複素数を用いた計算法など回路に関する基礎事項の理解を図る。また、電気創作コンテストとして「電気で動く、鳴る、光る」をテーマとした各自のアイディアで作品を発表する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
直流回路に関連する問題解法能力直流回路の内容に関して、充分に理解出来、解法が示せる。直流回路の内容に関して、一部理解できない部分があるものの、大半に関しては解法が示せる。直流回路に関して、充分な理解が示せない。
正弦波交流回路に関連する問題解法能力正弦波交流回路の内容に関して、充分に理解出来、解法が示せる。正弦波交流回路の内容に関して、一部理解できない部分があるものの、大半に関しては解法が示せる。正弦波交流回路に関して、充分な理解が示せない。
授業態度と授業ノート授業を真摯な態度で受講できており、授業ノートが十分に適切に記述されている。一部問題はあるものの充分に授業を受講できており、授業ノートがある程度適切に記述されているが、一部不充分である。授業を受講する態度に達しておらず、授業ノートが適切に記述されていない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RB2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
教科書に基づいた講義を中心とするが、数学の復習を行うことにより電気現象の回路表現、数式表現法の理解を図る。また、多くの例題、演習を取り入れることにより直流・交流回路の解析、計算能力を養成する。
授業の進め方・方法:
電気回路の基礎として特に重要と思われる内容を精選し、オームの法則、キルヒホッフの法則を用いて回路を分析し計算する能力を身につける。そのため、適宜演習を織り交ぜながら講義を進める。
講義は、必ずしも教科書に沿った順序・内容とはなっていないので注意すること。
注意点:
講義時の授業態度および講義への遅刻に対して減点を課す場合がある。
定期試験時に授業ノートの提出を求め、ノートの内容を評価点とする。
定期試験において60点に満たない場合は、追試験を実施する場合があるが、学年末成績に対する追試験は行わない。
100点満点で60点以上を合格とする。
本科(準学士課程):RB1(○),RB2(◎)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスの説明、電気回路の諸量とオ-ムの法則 電荷と電流、起電力と電圧降下を説明できる。
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。
2週 抵抗の直列接続・並列接続 直列接続、並列接続の法則を理解する。
3週 直並列接続の計算とブリッジ回路 直並列接続の計算ができる。
分流器と倍率器を理解する。
ホイートストンブリッジの動作について理解する。
4週 電圧源・電流源と抵抗の性質 理想電圧源、理想電流源の概念と内部抵抗を理解する。
電気抵抗の性質や種類について理解することができる。
5週 キルヒホッフの電流測、電圧則 電流則を適用し、回路の電流を求めることができる。
電圧則を適用し、回路の電流を求めることができる。
6週 キルヒホッフの法則を用いた回路の計算 キルヒホッフの電流則・電圧則を連立して簡単な回路の枝電流を求めることができる。
キルヒホッフの電圧則から閉路における回路の電流を求めることができる。
キルヒホッフの電圧則から節点の電圧を求めることができる。
7週 重ね合わせの原理とテブナンの定理 Y結線とΔ結線について説明でき、Y-Δ変換を行うことができる
重ね合わせの理により回路解析を行うことができる。
テブナンの定理により回路解析を行うことができる。
ノートンの定理について説明できる
8週 電力とエネルギ- 抵抗で発生した熱エネルギーの関係性について理解できる。
回路の消費電力を計算できる。
電流による物体の温度上昇と許容電流について理解できる。
熱電気現象について理解できる。
2ndQ
9週 中間試験 1~8週の内容の理解度を確認する。
10週 中間試験の解説、交流回路のための基礎知識 交流回路のための基礎知識として三角関数について理解する。
11週 正弦波交流の発生 正弦波交流の発電原理について説明できる。
12週 正弦波交流の用語 振幅・位相・周波数・周期の概念を理解する。
角周波数の概念を理解する。
正弦波交流の足し算・引き算ができる。
交流の表し方を理解する。
13週 位相差とベクトル 位相差とベクトルを理解する。
14週 位相差とベクトル、抵抗だけの交流回路 ベクトルによる合成電圧と静止ベクトルを理解する
抵抗素子における正弦波交流電圧と電流の関係を説明できる。
15週 インダクタンスだけの交流回路 インダクタンスを理解する。
インダクタンス素子における正弦波交流電圧と電流の関係を説明できる。
16週 期末試験の解説
電気電子創作コンテストの作品発表
自身が作ってきた作品を簡潔にプレゼンテーションできる。
後期
3rdQ
1週 静電容量だけの交流回路 静電容量を理解する。
静電容量素子における正弦波交流電圧と電流の関係を説明できる。
2週 RL直列・並列回路 RL直列・並列回路における電圧と電流の位相差を計算できる。
3週 RC直列・並列回路 RC直列・並列回路における電圧と電流の位相差を計算できる。
4週 RLC直列回路・並列回路
共振回路
RLC直列・並列回路における電圧と電流の位相差を計算できる。
RLC直列回路・並列回路の共振を理解する。
5週 交流の電力と力率
交流電力の測定
交流の電力と力率を理解する
皮相電力・有効電力・無効電力について説明できる
3電圧法・3電流法について説明できる。
6週 複素数とその計算 複素数の計算とガウス平面での表示が説明できる。
7週 交流の複素数表記 オイラーの公式を用いて、正弦波と複素数の関係を説明できる。
複素数によってV,I,Zを表現することができる
8週 中間試験 1~7週の理解度を確認する。
4thQ
9週 中間試験の解説と記号法による計算1 RLC直列回路について複素インピーダンスの演算ができる。
複素インピーダンスを用いてRLC直列回路の計算ができる。
RLC直列回路の共振を理解する
10週 記号法による計算2 RLC並列回路について複素インピーダンスの演算ができる。
複素インピーダンスを用いてRLC並列回路の計算ができる。
インピーダンス表現からアドミタンス表現へ変換できる。
11週 共振回路 RLC直列回路・並列回路の共振を説明することができる
12週 交流ブリッジ 交流ブリッジの平衡条件を計算できる。
13週 交流回路に関する定理1 キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の回路解析ができる
14週 交流回路に関する定理2 重ね合わせの理を用いて、交流回路の回路解析ができる
鳳・テブナンの定理を用いて、交流回路の回路解析ができる
15週 非正弦波交流回路の実効値 非正弦波交流回路の実効値が計算できる
16週 期末試験の解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4前1,前2
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4前1,前2
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4前5,前6
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4前2,前3
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。4前3
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4前8
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4前11,前12,前13,前14
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4前12,後15
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4後7,後9,後10
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4前14,前15,後1,後2,後3,後4
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4前15,後1
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4後7,後9,後10
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4後10
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4後13
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4後3,後4,後9,後10
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4後4,後9,後11,後12
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。4前7,後14
網目電流法を用いて回路の計算ができる。4前6,後13
節点電位法を用いて回路の計算ができる。4前6,後13
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。4前7,後14

評価割合

試験創作力ノート合計
総合評価割合801010000100
基礎的能力600000060
専門的能力200000020
分野横断的能力0101000020