概要:
現代社会において、技術者が社会的責任を問われる背景を理解し、講義および事例研究を通して、工学倫理に関する基礎知識を修得し、技術者が社会的責任を果たし、工学倫理に関わる問題に適切に対応できるようにする。
この科目は、技術士(建設部門(道路))の資格を持っている者、および企業にて知的財産に関する業務に従事していた者が授業の一部を担当し、その経験を活かし、技術者としてのあり方、身につけるべき素養などを含め工学倫理等について多面的に授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
地球の環境倫理や倫理規定の必要性、事故の事例を踏まえた教育を行うとともに、環境、生命、安全、失敗や創造など多面的な視点から、工学倫理について教授する。Powerpointを用いた講義、プレゼンテーションやグループワークなどの活動により授業を進める。
注意点:
定期試験は行わなず、提出されたレポートのみで成績を評価する。講義中はパワーポイントや板書の内容だけでなく、口頭による説明についても各自メモをとる習慣を身につけること。内容を深く理解するため、また実践的工学倫理力を高めるため、参考文献やTV、新聞、インターネット等のメディアを活用し、近年話題となった工学倫理上の問題についてむ自身で調べ、分析すること。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス 倫理的な問題の考え方(担当:中谷内) |
ガイダンス。事実と価値の区別、倫理的な問題とその考え方について理解する。
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2週 |
技術者の社会的責任、コンプライアンス(担当:板倉) |
技術者と社会的責任、コンプライアンスとは何か、コンプライアンス違反の事例について理解する。
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3週 |
製造物責任、リスクマネジメント(担当:板倉) |
製造物責任とは何か、製造物責任が問われた事例、リスクとクライシス、コントロールとマネジメントについて理解する。
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4週 |
2030SDGsの体験と振り返り(1)(担当:川畑) |
SDGsが設定された背景や達成目標を知り、ゲームを通して自らの行動が社会に与える影響について理解し、技術者として目指すべき社会について考える。
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5週 |
社会貢献(地域貢献)(担当:板倉) |
技術者の本来的使命、「この時」「この場所」との関わりについて理解する。
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6週 |
2030SDGsの体験と振り返り(2)(担当:川畑) |
SDGsが設定された背景や達成目標を知り、ゲームを通して自らの行動が社会に与える影響について理解し、技術者として目指すべき社会について考える。
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7週 |
技術者の配慮すべきもの:公衆の利益(担当:中谷内) |
公衆の利益とは何か、どうして配慮すべきなのか、公益通報について理解する。
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8週 |
技術者の配慮すべきもの:持続可能性について(担当:中谷内) |
持続可能性、将来世代への影響、自然環境への影響について配慮すべき理由について理解する。
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4thQ |
9週 |
技術の社会的利用1(担当:中谷内) |
開発された技術を一般的に普及させることの是非について、どのように考えればよいのかを理解する。
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10週 |
2030SDGsの体験と振り返り(3)(担当:川畑) |
SDGsが設定された背景や達成目標を知り、ゲームを通して自らの行動が社会に与える影響について理解し、技術者として目指すべき社会について考える。
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11週 |
技術の社会的利用2(担当:中谷内) |
開発された技術を一般的に普及させることの是非について、どのように考えればよいのかを理解する。
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12週 |
電気学会などで示されている倫理綱領・行動規範について
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電気系技術者に求められる倫理・行動規範について理解すること
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13週 |
事例学習「JR福知山線事故」「シンドラーエレベータ事故」「原子力発電所点検記録の不正な取扱い」 |
事例を通して、電気系技術者に求められる技術者倫理・行動規範について理解すること
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14週 |
知的財産権概観に関する講義 |
知的財産権概観について理解すること
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15週 |
事例学習「日亜化学青色LED特許紛争」「新潟鉄工ソフトウェア持出し事件」「 新日鉄の技術流出訴訟」 |
事例を通して、技術者倫理・知的財産権に関して理解すること
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。 | 3 | 後1,後7,後8,後9,後11 |
説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 3 | 後4,後6,後10 |
社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 3 | 後10 |
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。 | 3 | 後14,後15 |
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。 | 3 | 後12 |
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。 | 3 | 後4,後6,後10 |
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。 | 3 | 後12,後14,後15 |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 3 | 後4,後6,後10 |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 3 | 後4,後6,後10 |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 3 | 後12 |
分野横断的能力 | 態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
目標の実現に向けて計画ができる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。 | 3 | 後12,後13,後15 |
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。 | 3 | 後12,後13,後15 |
企業には社会的責任があることを認識している。 | 3 | 後12,後13,後15 |
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。 | 3 | 後12,後13,後15 |
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。 | 3 | 後12,後13,後15 |
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。 | 3 | 後12,後13,後15 |
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。 | 3 | 後12,後13,後15 |
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。 | 3 | 後12,後13,後15 |