技術者基礎

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 技術者基礎
科目番号 0145 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気電子工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 産業財産権標準テキスト(特許庁)
担当教員 栗田 道信,増田 建,米田 知晃

到達目標

(1)あらゆる技術には、必ずベネフィットとリスクが共存することや、リスクはあとで明らかになることも多いことを理解すること。
(2)新技術の開発に当たっては、科学的・客観的な視点から、そのリスクを回避または最小化することの重要性を体得すること。
(3)現実にリスクに直面したとき、その情報と対応策を組織の内外に説明・伝達・コミュニケートできる能力を開発すること。
(4)日本技術士会や電気学会等の「倫理要綱」の趣旨と意義が理解でき、また、その内容を第三者に説明できること。
(5)特許制度の概要を理解すること。
(6)特許出願書類(クレーム、明細書、図面等)の相互間の関連付けを理解し、明細書等を読み書きできるようにすること。
(7)特許侵害の意義を理解すること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
科学、技術が社会や自然に与える影響と技術者の責務に関連した問題を正確に解くことができる。科学、技術が社会や自然に与える影響と技術者の責務に関連した問題をほぼ正確に解くことができる。科学、技術が社会や自然に与える影響と技術者の責務に関連した問題を解くことができない。
知的財産権(職務発明を含む)に関連した問題を正確に解くことができる。知的財産権(職務発明を含む)に関連した問題をほぼ正確に解くことができる。知的財産権(職務発明を含む)に関連した問題を解くことができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RB2 説明 閉じる
JABEE JA3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
技術者倫理:今日の私たちは、様々な科学技術の産物に取り囲まれ、それらの恩恵を享受しつつ暮らしている。一方で、技術・サービスを提供する側の人為的な判断ミスや倫理観に劣る行動が、ユーザの日常生活におけるリスクを拡大していることを踏まえ、科学技術に携わる技術者の基本的な資質として、社会への技術・サービスの提供に当たって、適切な行動をとるための判断に資する倫理観を養うことを目標とする。 この科目は、企業で技術者倫理等のコンサルティングを行っている講師が、実例を基に講義およびグループワークで授業を行う。
知的財産権:知的財産権、特に特許権制度について学習し、その意義について理解を図る。そして、いくつかの発明例について、特許権取得のための書類(特許請求の範囲・明細書等)を実際に作成し、技術を権利化する方法を身に着けることを目標とする。
授業の進め方・方法:
技術者倫理:過去に技術者としての倫理観が問われた事例について、Web教材を用いた講義を行い理解を深める。また、その中から代表的な事例を抽出し、グループ討論及び結果の発表を通じて、倫理観に基づく思考方法やプレゼンテーション能力を養うとともに、小テストを行って理解度を確認する。
知的財産権:知的財産権の法体系における位置づけ、知的財産権の概観、諸制度に関する講義を行い、次いで特許出願書類の書き方について説明し、続いていくつかの発明例について特許出願書類を作成する演習を行う。また特許侵害訴訟例について解説をし、特許権の効力について理解を深める。
注意点:
技術者倫理:
 小テスト30%、試験70%として、総合評価する。
知的財産権:
 レポート50%、試験50%として、総合評価する。   
中間試験(技術者倫理)と期末試験(知的財産権)の平均を成績とする。なお、60点未満の学生に対しては、追加試験を課すこととし、その場合の最終評価は60点とする。
評価基準:60点以上を合格とする.
本科(準学士過程) :RB2(◎),環境生産システム工学プログラム : JA3(◎)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス、シラバスの説明、 組織と技術者、注意義務違反 組織と技術者、注意義務違反について理解すること
2週 技術者の能力と倫理、設計不備の公表 技術者の能力と倫理、設計不備の公表について理解すること
3週 点検記録の不正な取扱い、倫理規定の例 点検記録の不正な取扱い、倫理規定の例について理解すること
4週 科学技術と倫理、倫理実行の方法 科学技術と倫理、倫理実行の方法について理解すること
5週 科学技術のリスクと安全・安心 科学技術のリスクと安全・安心について理解すること
6週 技術者と環境倫理、循環型社会 技術者と環境倫理、循環型社会について理解すること
7週 低炭素社会、環境コミュニケーション 低炭素社会、環境コミュニケーションについて理解すること
8週 中間試験
4thQ
9週 知的財産権概観に関する講義 知的財産権概観について理解すること
10週 特許出願から裁判に至るまでの手続に関する講義 特許出願から裁判に至るまでの手続について理解すること
11週 特許請求の範囲の意義に関する講義 特許請求の範囲の意義について理解すること
12週 特許出願書類の作成方法に関する講義あ 特許出願について理解すること
13週 特許出願書類(クレーム、明細書、図面)の作成演習 特許出願書類(クレーム、明細書、図面)について理解すること
14週 特許出願書類(クレーム、明細書、図面)の作成演習 特許出願書類(クレーム、明細書、図面)について理解すること
15週 特許侵害裁判に関する講義 特許侵害裁判について理解すること
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3後1,後2,後3,後4,後5
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3後6,後7
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3後6,後7
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3後6,後7
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3後9
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3後9
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3後1,後9,後10,後11
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3後1,後4,後10,後11
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3後4,後5,後6
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3後4,後5,後6,後7,後11,後15

評価割合

試験小テスト課題発表態度その他合計
総合評価割合601525000100
基礎的能力601525000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000