科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 哲学
科目番号 0159 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気電子工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 ジョン・ロック『知性の正しい導き方』(ちくま学芸文庫)
担当教員 佐藤 勇一

到達目標

A. 哲学的文献にたいする読解能力を養うとともに、発表分担、係分担、討論などの活動に参加し、講読記録簿やコミュニケーションペーパーを通じて、自分の読解過程や授業参加過程を自覚することができる。

B. 哲学や哲学史に関する知識を得るとともに、現代的な哲学的諸問題について多様な観点から考察し、コミュニケーションペーパーを通じて文章にまとめることができる。

C. 対話によって問いを自分の世界に引き付けて考察し、自分や他人の論証を理解することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1哲学的文献にたいする読解能力を養うとともに、発表分担、係分担、討論などの活動に参加し、講読記録簿やコミュニケーションペーパーを通じて、自分の読解過程や授業参加過程を自覚することが十分にできる。哲学的文献にたいする読解能力を養うとともに、発表分担、係分担、討論などの活動に参加し、講読記録簿やコミュニケーションペーパーを通じて、自分の読解過程や授業参加過程を自覚することが或る程度できる。哲学的文献にたいする読解能力を養うとともに、発表分担、係分担、討論などの活動に参加し、講読記録簿やコミュニケーションペーパーを通じて、自分の読解過程や授業参加過程を自覚することが全くできない。
評価項目2哲学や哲学史に関する知識を得るとともに、現代的な哲学的諸問題について多様な観点から考察し、コミュニケーションペーパーを通じて文章にまとめることが十分にできる。哲学や哲学史に関する知識を得るとともに、現代的な哲学的諸問題について多様な観点から考察し、コミュニケーションペーパーを通じて文章にまとめることが或る程度できる。哲学や哲学史に関する知識を得るとともに、現代的な哲学的諸問題について多様な観点から考察し、コミュニケーションペーパーを通じて文章にまとめることが全くできない。
評価項目3問いを自分の世界に引き付けて考察し、自分や他人の論証を理解することが十分にできる。問いを自分の世界に引き付けて考察し、自分や他人の論証を理解することが或る程度できる。問いを自分の世界に引き付けて考察し、自分や他人の論証を理解することが全くできない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RA1 説明 閉じる
JABEE JA1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 近代以降の哲学や科学、社会制度に大きな影響を与えたロックの『知性の正しい導き方』を講読し、この著作と関連する哲学的テーマに関する講義および哲学対話(p4c)を行う。

A. 受講者は、『知性の正しい導き方』をロックの論の展開とともに理解し、技術に関する自分の考えを深めたり、自分の読解過程や授業参加過程を自覚したりすることができる。

B. 講義では、ロックを中心とした近代の哲学史に関する知識を伝授するとともに、「機械」「医療」「科学」「観念」「他者」「言語」など、できるだけ多角的な視点から講義することによって、受講者に現代的な諸問題について考えるヒントを与えることを目指す。

C. 哲学対話を通じて、自分や世界に問いをひきつけて講読や講義で扱った内容や哲学的な問題について考察したり、自分や他人の論証を理解したりすることができる。

授業の進め方・方法:
3つの授業形態がある。

A.講読形式:
受講者は、発表分担、係分担、討論などを通じて授業に参加し、各自の読解過程をふりかえる「レポート」を作成する。係活動には1「発表係」、2「書記・司会係」、3「質問係」、4「前回の講読まとめ報告係」、5「コミュニケーションペーパーのまとめ係」がある。係活動は毎回違うグループがそれぞれの係を分担する。講読の全回を通じて、すべてのグループがすべての係を担当する。毎回の講読の最後には、「講読記録」と「コミュニケーションペーパー」を記入し、自分の学習過程を自覚する。

B.講義形式:
デカルトと同時代からそれ以降の現代までの哲学者におけるデカルトの身体論や心身関係に関する捉えなおしを、できるだけ多角的な視点から紹介する。講義の理解や各自の思索の深化を促すために、受講者には、毎講義ごとにさまざまな事柄について考察する「コミュニケーションペーパー」を作成してもらう。講義形式で使用するレジュメやテキストは授業ごとに適宜配布する。

C.哲学対話形式:
哲学対話は、コミュニティーボールを用いたp4c(子どもの哲学)スタイルで行い、知的な安心感のもと、受講者は問いの作成や問いの探求を行う。対話後には、対話をふりかえる「ワークシート」を作成し、自分の参加過程を自覚する。

注意点:

・テストは行わず、発表やそのレジュメ(20%)、発表以外の係活動(20%)、対話への参加(p4cワークシート 30%)などの活動、および、レポート(15%)やそれ以外の提出物(コミュニケーションペーパー、講読記録など 15%)を総合して成績を判断する。授業への参加度や各自の読解過程や哲学的な探求の過程への振り返りを重視する。100点満点で60点以上を合格とする。

A. 講読形式
1)遅刻・欠席をしない:講読や哲学対話は、積極的な参加が絶対条件である。欠席・遅刻や積極性の欠如により係活動や授業における活動を行わない場合、単位の取得を困難にする。

2)レジュメ提出の締め切り厳守:講読形式においては、「発表係」、「前回の講読まとめ報告係」、「コミュニケーションペーパーのまとめ係」は事前にレジュメを作成・提出する必要がある。これが滞ってしまうと、グループメンバーの単位取得を困難にするだけではなく、その回の講読全体にも支障をきたす。次の回の講読の際に自分がどの係になっているかを意識しておく必要がある。

3)予習・復習をすること:各回の講読で担当するさまざまな係活動は、どれも予習や復習が必要なものである。毎回予習しておかなければ、講読への参加が困難である。

4)レポート提出:自分の読解を振り返るレポートを課す。必ず提出すること。レポートでは(コミュニケーションペーパーも同様であるが)、自分の意見と他人の意見を明確に区別し、引用や参考文献については明記するなどの最低限の形式を厳守する必要がある。

B. 講義形式
講義形式の場合にも欠席や遅刻をせずに参加するだけではなく、コミュニケーションペーパーに何を書くか、簡単にでも頭に浮かべて講義に臨む積極的な姿勢が必要である。コミュニケーションペーパーの内容があまりに不足している場合は評価しないので注意すること。

C. 哲学対話形式
問いの提出や対話への積極的な参加が必要である。授業への参加度は、各自対話終了後に振り返る。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業概要シラバスの説明とガイダンス ロックとその作品
(コミュニケーションペーパー作成。)
シラバスの内容、係活動の理解。
ロックの生涯について概観する。
2週 講読形式:第1節~第4節(15-33頁)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「はじめに」「才能」「推論」「練習と習慣」を読解し、発表、議論を行う。
3週 講読形式:第5節~第7節(34-50頁)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「観念(その1)」「原理」「数学」を読解し、発表、議論を行う。
4週 講義形式:哲学史講義
(コミュニケーションペーパー作成)
近代思想について、現代の問題の特質と共に理解することができる。
5週 講読形式:第8節~第12節(51-68頁)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「宗教」「観念(その2)」「偏見」「不偏不党性(その1)」「検討」を読解し、発表、議論を行う。
6週 講読形式:第13節~第19節(69-85頁)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「観察に基づく一般化」「偏向した判断」「議論」「性急さ(その1)」「散漫さ」「生かじり」「全領域での知識」を読解し、発表、議論を行う。
7週 講読形式:第20節~第24節(86-101頁)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「読書」「中間原理」「偏愛(その1)」「神学」「偏愛(その2)」を読解し、発表、議論を行う。
8週 哲学対話形式:p4c
(振り返りワークシート作成)
講読や講義の内容や哲学的な問題に関し、対話を通じて探究することができる。
4thQ
9週 講読形式:第24節~第28節(101-119頁)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「偏愛(その2)」「性急さ(その2)」「予断」「判断放棄」「練習」を読解し、発表、議論を行う。
10週 講読形式:第29節~第32節(120-136頁)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「言葉」「さまよう心」「区別」「喩え」を読解し、発表、議論を行う。
11週 講読形式:第33節~第38節(137-153頁)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「同意」「不偏不党性(その2)」「不偏不党性(その3)」「問い」「根気」「思い上がり」を読解し、発表、議論を行う。
12週 講読形式:第39節~第42節(154-169頁)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「意気阻喪」「類推」「観念連合」「詭弁」を読解し、発表、議論を行う。
13週 講読形式:第43節~第45節(170-185頁)
(係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー)
「基礎をなす真理」「基礎をなす問い」「思考の方向付け」「慣習」を読解し、発表、議論を行う。
14週 哲学対話形式:p4c
(振り返りワークシート作成)
講読や講義の内容や哲学的な問題に関し、対話を通じて探究することができる。
15週 哲学対話形式:p4c
(振り返りワークシート作成)
講読や講義の内容や哲学的な問題に関し、対話を通じて探究することができる。
16週 評価物返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3後1,後4,後8,後9,後10,後11,後14,後15

評価割合

発表係活動対話への参加(ワークシート)レポート提出物(講読記録、コミュニケーションペーパーなど)その他合計
総合評価割合20202015250100
基礎的能力20202015250100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000