言語文化特講

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 言語文化特講
科目番号 0160 科目区分 一般 / 選択
授業形態 演習 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気電子工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 授業時にプリントを配布する。
担当教員 門屋 飛央

到達目標

(1)日本語を客観的に分析することで、普段使用している言葉を見つめ直し、日本語を主体的に使用することができるようになる。
(2)他の方言の文法現象を学ぶことで、自分の方言が共通語と違う体系を持っていることを実感し、日本語を重層的に理解できるようになる。
(3)福井の方言について、その方言を知らない相手にもわかりやすく説明することができるようになる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
日本語に対して鋭い視点をもって分析を行い、日本語体系を視野に入れた記述をすることができる。日本語を客観的に分析し、論理的に記述することができる。日本語を分析し、記述することができない。
様々な地域の方言から、それぞれの言語体系を理解し、日本語を重層的に理解できる。様々な地域の方言に触れ、共通語と対照して理解できる。様々な地域の方言に触れても、共通語との違いが理解できない。
福井方言の言語体系を整理し、わかりやすく説明することができる。福井方言の表現を、説明することができる。福井方言の表現を、説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RA1 説明 閉じる
JABEE JA1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 授業のテーマは「方言記述」である。授業を通して、学生が自分自身の手で方言を記述する。学生は、その記述を通して、地域による表現のちがい、共通語とのちがいを探っていき、より深い日本語理解につなげていく。授業では、学生にとって馴染みのある福井方言を主に扱う。
 ことばは、その人自身の持つ性質や背景をよく表す。自分の話すことばを客観視し、自覚的にことばを使う能力は、社会に出てから必要となる能力である。その能力を伸ばす方法を学ぶことを、この授業の目的とする。また、ことばを分析する面白さも感じてもらいたい。
授業の進め方・方法:
 授業は、まず日本語学の基本的な知識に関する講義を行う。授業では説明のために、現代語だけでなく、古典語も扱う。次に、共通語および他地域方言との比較や学生の内省によって、福井方言を考察する。本授業では、福井方言の3つのトピックを記述することを、目標にする。
① うねり音調(福井方言のイントネーションの記述)
② 「はよしねマ」の「マ」(福井方言のモダリティ形式の記述)
③ 「しツンタ」(福井方言のアスペクト形式の記述)
 これらを、学生と議論しながら考察する。学生はそれぞれのトピックの議論を踏まえ、レポートを提出する。成績評価は、そのレポートによって行う。参加学生は、教員の答えを待つ姿勢ではなく、積極的に自分の意見を述べる姿勢で授業に臨んでほしい。
注意点:
授業の性質上、以下に該当する学生は、単位取得が困難になると考えられる。
① 自分で考えることを面倒だと思う学生
② 授業に対して、協力的な姿勢を見せない学生
③ レポートの提出期限を守らない学生
評価方法とその割合はレポート(100%)である。レポートは、学期中に3回課す(50点×3回×2/3=100点(小数点は四捨五入))。100点満点で60点以上を合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 本授業の方針を理解する。
2週 音声学(1) 日本語共通語と福井方言のアクセントについて、議論する。
3週 音声学(2) 日本語共通語と福井方言のイントネーションについて、議論する。
4週 音声学(3) うねり音調について、意味記述を行う。
5週 音韻論 日本語共通語の音素体系について、議論する。
6週 形態論(1) 日本語共通語の語の単位について、議論する。
7週 意味論(1) 日本語共通語のモダリティについて、議論する。
8週 意味論(2) 福井方言のモダリティについて、議論する。
4thQ
9週 意味論(3) 「はよしねマ」の「マ」について、意味記述を行う。
10週 形態論(2) 日本語共通語の動詞活用について、議論する。
11週 形態論(3) 日本語共通語の形容詞活用について、議論する。
12週 意味論(4) 日本語共通語と福井方言のヴォイスについて議論する。
13週 意味論(5) 日本語共通語と福井方言のアスペクトについて、議論する。
14週 意味論(6) 福井方言の「しツンタ」の「ツンタ」について、意味記述を行う。
15週 総括 各自の方言体系を振り返る。
16週 学習のまとめ これまでの議論から得た見識を用いて、方言を分析することができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学国語国語代表的な古文・漢文を読み、言葉や表現方法の特徴をふまえて人物・情景などを理解し、人間・社会・自然などについて考えを深めたり広げたりすることができる。3後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
古文・漢文について、音読・朗読もしくは暗唱することにより、特有のリズムや韻などを味わうことができる。2後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
代表的な古文・漢文について、日本文学史および中国文学史における位置を理解し、作品の意義について意見を述べることができる。また、それらに親しもうとすることができる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
教材として取り上げた作品について、用いられている言葉の現代の言葉とのつながりや、時代背景などに関する古文・漢文の基礎的知識を習得できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
論理的な文章を読み、論理の構成や展開の把握にもとづいて論旨を客観的に理解し、要約し、意見を表すことができる。また、論理的な文章の代表的構成法を理解できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
代表的な文学作品を読み、人物・情景・心情の描写ならびに描写意図などを理解して味わうとともに、その効果について説明できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
文章を客観的に理解し、人間・社会・自然などについて考えを深め、広げることができる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
文学作品について、鑑賞の方法を理解できる。また、代表的な文学作品について、日本文学史における位置を理解し、作品の意義について意見を述べることができる。4後2,後8,後16
鑑賞にもとづく批評的な文章の執筆や文学的な文章(詩歌、小説など)の創作をとおして、感受性を培うことができる。4後2,後8,後16
読書習慣の形成をとおして感受性を培い、新たな言葉やものの見方を習得して自らの表現の向上に生かすことができる。4後1,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
現代日本語の運用、語句の意味、常用漢字、熟語の構成、ことわざ、慣用句、同音同訓異義語、単位呼称、対義語と類義語等の基礎的知識についての理解を深め、その特徴を把握できる。また、それらの知識を適切に活用して表現できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。3後2,後4,後5,後6,後9,後11,後14,後15,後16
類義語・対義語を思考や表現に活用できる。3後3,後7,後8
社会生活で使われている故事成語・慣用句の意味や内容を説明できる。3後1,後8,後12,後13
専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。3後1,後5,後8,後9,後10,後12,後13,後14,後15
情報の収集や発想・選択・構成の方法を理解し、論理構成や口頭によるものを含む表現方法を工夫して、科学技術等に関する自らの意見や考えを効果的に伝えることができる。また、信頼性を重視して情報を分析し、図表等を適切に活用・加工してコミュニケーションに生かすことができる。5後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
他者の口頭によるものを含む表現について、客観的に評価するとともに建設的に助言し、多角的な理解力、柔軟な発想・思考力の涵養に努めるとともに、自己の表現の向上に資することができる。5後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
相手の意見を理解して要約し、他者の視点を尊重しつつ、建設的かつ論理的に自らの考えを構築し、合意形成にむけて口頭によるコミュニケーションをとることができる。また、自らのコミュニケーションスキルを改善する方法を習得できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
社会で使用される言葉を始め広く日本語を習得し、その意味や用法を理解できる。また、それらを適切に用い、社会的コミュニケーションとして実践できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。3後2,後3,後10,後11,後13
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。3後4,後6,後9,後10,後12,後13,後15
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。3後2,後4,後7,後11,後14
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。3後3,後4,後7,後12,後13,後15
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。3後3,後4,後8,後12,後14,後15
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。3後5,後6,後8,後9,後15
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。3後3,後4,後7,後8,後9,後14,後15,後16

評価割合

レポート合計
総合評価割合1000100
基礎的能力40040
専門的能力60060
分野横断的能力000