A. 哲学的文献にたいする読解能力を養うとともに、発表分担、係分担、討論などの活動に参加し、講読記録簿やコミュニケーションペーパーを通じて、自分の読解過程や授業参加過程を自覚することができる。
B. 哲学や哲学史に関する知識を得るとともに、現代的な哲学的諸問題について多様な観点から考察し、コミュニケーションペーパーを通じて文章にまとめることができる。
C. 対話によって問いを自分の世界に引き付けて考察し、自分や他人の論証を理解することができる。
概要:
近代以降の哲学や科学に大きな影響を与えたデカルトの『方法序説』を講読し、この著作と関連する哲学的テーマに関する講義および哲学対話(p4c)を行う。
A. 受講者は、『方法序説』をデカルトの論の展開とともに理解し、技術に関する自分の考えを深めたり、自分の読解過程や授業参加過程を自覚したりすることができる。
B. 講義では、デカルトの身体論をめぐる解釈を中心として哲学史に関する知識を伝授するとともに、「機械」「医療」「技術」「経済」「他者」「文化」など、できるだけ多角的な視点から講義することによって、受講者に現代的な諸問題について考えるヒントを与えることを目指す。
C. 哲学対話を通じて、自分や世界に問いをひきつけて講読や講義で扱った内容や哲学的な問題について考察したり、自分や他人の論証を理解したりすることができる。
授業の進め方・方法:
3つの授業形態がある。
A.講読形式:
受講者は、発表分担、係分担、討論などを通じて授業に参加し、各自の読解過程をふりかえる「レポート」を作成する。係活動には1「発表係」、2「書記・司会係」、3「質問係」、4「前回の講読まとめ報告係」、5「コミュニケーションペーパーのまとめ係」がある。係活動は毎回違うグループがそれぞれの係を分担する。8回の講読を通じて、すべてのグループがすべての係を担当する。毎回の講読の最後には、「講読記録」と「コミュニケーションペーパー」を記入し、自分の学習過程を自覚する。
B.講義形式:
デカルトと同時代からそれ以降の現代までの哲学者におけるデカルトの身体論や心身関係に関する捉えなおしを、できるだけ多角的な視点から紹介する。講義の理解や各自の思索の深化を促すために、受講者には、毎講義ごとにさまざまな事柄について考察する「コミュニケーションペーパー」を作成してもらう。講義形式で使用するレジュメやテキストは授業ごとに適宜配布する。
C.哲学対話形式:
哲学対話は、コミュニティーボールを用いたp4c(子どもの哲学)スタイルで行い、知的な安心感のもと、受講者は問いの作成や問いの探求を行う。対話後には、対話をふりかえる「ワークシート」を作成し、自分の参加過程を自覚する。
注意点:
・テストは行わず、発表やそのレジュメ(20%)、発表以外の係活動(20%)、対話への参加(p4cワークシート 13%)などの活動、および、レポート(15%)やそれ以外の提出物(コミュニケーションペーパー、講読記録など 32%)を総合して成績を判断する。授業への参加度や各自の読解過程や哲学的な探求の過程への振り返りを重視する。100点満点で60点以上を合格とする。
A. 講読形式
1)遅刻・欠席をしない:講読や哲学対話は、積極的な参加が絶対条件である。欠席・遅刻や積極性の欠如により係活動や授業における活動を行わない場合、単位の取得を困難にする。
2)レジュメ提出の締め切り厳守:講読形式においては、「発表係」、「前回の講読まとめ報告係」、「コミュニケーションペーパーのまとめ係」は事前にレジュメを作成・提出する必要がある。これが滞ってしまうと、グループメンバーの単位取得を困難にするだけではなく、その回の講読全体にも支障をきたす。次の回の講読の際に自分がどの係になっているかを意識しておく必要がある。
3)予習・復習をすること:各回の講読で担当するさまざまな係活動は、どれも予習や復習が必要なものである。毎回予習しておかなければ、講読への参加が困難である。
4)レポート提出:自分の読解を振り返るレポートを課す。必ず提出すること。レポートでは(コミュニケーションペーパーも同様であるが)、自分の意見と他人の意見を明確に区別し、引用や参考文献については明記するなどの最低限の形式を厳守する必要がある。
B. 講義形式
講義形式の場合にも欠席や遅刻をせずに参加するだけではなく、コミュニケーションペーパーに何を書くか、簡単にでも頭に浮かべて講義に臨む積極的な姿勢が必要である。コミュニケーションペーパーの内容があまりに不足している場合は評価しないので注意すること。
C. 哲学対話形式
問いの提出や対話への積極的な参加が必要である。授業への参加度は、各自対話終了後に振り返る。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
授業概要シラバスの説明とガイダンス デカルトとその作品 (コミュニケーションペーパー作成。) |
シラバスの内容、係活動の理解。 デカルトの生涯について概観する。
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2週 |
講読形式:第1部 諸学問の考察(18-28頁) (係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー) |
デカルトが諸学問をどのように考察したか理解する。
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3週 |
講読形式:第2部 方法の規則(29-42頁) (係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー) |
デカルトにおける方法への考察を理解する。
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4週 |
講読形式:第3部 道徳の規則(43-54頁) (係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー) |
暫定的道徳の格率とデカルトの旅について理解する。
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5週 |
講読形式:第4部 形而上学の基礎(55-67頁) (係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー) |
デカルトによる精神の存在と神の存在に関する考察を吟味する。
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6週 |
講読形式:第5部 自然学の諸問題(68-78頁) (係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー) |
デカルトにおける世界の機械論的説明を吟味する。
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7週 |
講読形式:第5部 自然学の諸問題(78-90頁) (係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー) |
デカルトにおける身体の機械論的説明を理解する。
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8週 |
講読形式:第6部 自然研究公刊の是非(91-102頁l5) (係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー) |
デカルトにおける医学や技術などの諸学問の総合を理解する。
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2ndQ |
9週 |
講読形式:第6部 自然研究公刊の是非(102-113頁) (係活動、講読記録 コミュニケーションペーパー) |
方法序説公刊の意図を理解する。
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10週 |
講義形式:身体の機械論(デカルト、スピノザ、ライプニッツ、ハクスリー、メルロ=ポンティ、カンギレムなど)(コミュニケーションペーパー作成。) |
デカルトの機械論と心身関係について、そしてそれらのその後の展開や批判について理解できる。
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11週 |
講義形式:身体の機械論(シモンドン、ボードリヤール、ヴィリリオなど)(コミュニケーションペーパー作成。) |
身体機械論を現代社会の特質や課題と関連させて理解することができる。
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12週 |
哲学対話形式:p4c (振り返りワークシート作成)
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講読や講義の内容や哲学的な問題に関し、対話を通じて探究することができる。
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13週 |
講義形式:医療と健康、現象学的看護理論(フーコー、パーソンズ、ベナー/ルーベルなど) (コミュニケーションペーパー作成。) |
身体機械論を現代社会の特質や課題と関連させて理解することができる。
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14週 |
哲学対話形式:p4c (振り返りワークシート作成) |
講読や講義の内容や哲学的な問題に関し、対話を通じて探究することができる。
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15週 |
講義形式:身体論(メルロ=ポンティ)、授業のまとめ |
メルロ=ポンティの身体論について理解することができる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 地歴 | 文化の多様性を認識し、互いの文化を尊重することの大切さを理解できる。 | 4 | 前9,前10,前13,前14,前15 |
公民 | 哲学者の思想に触れ、人間とはどのような存在と考えられてきたかについて理解できる。 | 4 | 前1,前3,前10,前11,前12,前13,前14,前15 |
諸思想や諸宗教において、自分が人としていかに生きるべきと考えられてきたかについて理解できる。 | 4 | 前5,前11,前12,前15 |
諸思想や諸宗教において、好ましい社会と人間のかかわり方についてどのように考えられてきたかを理解できる。 | 4 | 前4,前6,前9,前11,前12,前13,前14 |
地歴・公民 | 現代科学の考え方や科学技術の特質、科学技術が社会や自然環境に与える影響について理解できる。 | 4 | 前7,前8,前11,前12,前13,前14 |
社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について理解できる。 | 4 | 前7,前11,前12 |
国際平和・国際協力の推進、地球的諸課題の解決に向けた現在までの取り組みついて理解できる。 | 4 | 前1,前2,前9,前13,前14,前15 |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 3 | 前1,前4,前8,前9,前10,前11,前14,前15 |