到達目標
(1)電子回路がどの様な製品に応用されているかを理解できること。
(2)半導体の性質とダイオード、バイポーラトランジスタ、FETなど電子デバイスの種類とその働きを理解していること。
(3)アナログ電子回路としての基本増幅回路の構成、小信号等価回路を用いた特性の表し方が理解できること。さらに与えられた条件の下で回路定数を算出できること。
(4)デジタル電子回路の種類とその内部回路の特徴及びその動作について理解していること。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
到達目標(1) | 電子回路の応用事例を知っており、その動作を説明できる | 電子回路の応用事例を知っている | 電子回路の応用事例を全く知らない |
到達目標(2) | 半導体とそのデバイスの種類、動作を自分の言葉で図表を交えて説明できる | 半導体とそのデバイスの種類、動作を説明できる | 半導体とそのデバイスの種類、動作を説明できない |
到達目標(3) | 基本増幅回路の構成、小信号等価回路を用いた特性を自分の言葉で図表を交えて説明できる。与えられた条件のもとで、回路定数を算出できる。 | 基本増幅回路の構成、小信号等価回路を用いた特性を説明できる。与えられた条件のもとで、回路定数を算出できる。 | 基本増幅回路の構成などを説明できない |
到達目標(4) | デジタル電子回路の種類、内部回路、特徴、動作の概要を自分の言葉で図表を交えて説明できる | デジタル電子回路の種類、内部回路、特徴、動作の概要を説明できる | デジタル電子回路を理解していない |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
IT機器の動作をハードウェアで実現するための要素技術として電子回路の知識が必要である。電子回路は抵抗、コンデンサ、コイルなどの受動素子と、トランジスタ、FETなどの半導体デバイスの組み合わせで構成されるが、それらは高度に集積化、システム化されているため、全体を手計算で解析することは困難であり、CADによる設計・動作の確認が行なわれている。
このため授業の目標は、基礎的な事項の説明と基本的な回路の解析に置いている。
授業の進め方・方法:
教科書に沿って講義と演習を組み合わせて授業を進める。講義内容をまとめた演習課題を適宜配布し、回収する。
講義概要は電子回路を理解するために電子工学基礎で学んだ基本的な直流回路解析手法を復習する。次に半導体の性質について図やグラフにより説明する。
その後、アナログ電子回路の基礎となるデバイスの特性を線形モデル化する手法を説明した後、基本増幅回路の解析を行う。続いてディジタル回路の動作をスイッチモデルによる手法で説明する。
注意点:
本科(準学士課程)の学習教育目標:RB2(◎)
関連科目:電子工学基礎,電子情報工学実験Ⅰ,論理回路(本科2年),電気回路,計算機構成論Ⅰ,電子情報工学実験Ⅱ(本科3年),電子回路Ⅱ,計算機構成論Ⅱ(本科4年)
学習教育目標の達成度評価方法:4回の試験を平均する.なお、各回の試験の点数が50点に満たない場合は演習課題を提出している学生に限り追試験を実施し、本試験の結果と合わせて、点数を算出する.また、日頃提出する演習課題でも、理解度を一定程度確認できると考えられるため、演習課題により到達目標に達したことを確認できた場合に限り60点とする(最大20点).
学習教育目標の達成度評価基準:上記の達成度評価方法(100点満点)で60点以上を合格とする.
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
シラバスの説明、電子回路について |
電子回路の学問分野の位置づけについて理解する
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2週 |
真性半導体と不純物半導体 |
半導体の物性の基礎について理解する
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3週 |
PN接合ダイオードとバイポーラトランジスタの動作原理 |
半導体デバイスの動作原理の基礎を理解する
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4週 |
FET(電界効果トランジスタ)の動作原理 |
FETの動作原理の基礎を理解する
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5週 |
ダイオードを使った回路の図式解法による解析 |
ダイオードを使った回路の図式解法について理解する
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6週 |
バイポーラトランジスタを使った回路の図式解法による解析 |
バイポーラトランジスタを使った回路の図式解法について理解する
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7週 |
2端子対回路による等価回路表現(Fパラメータ、Hパラメータなど) |
2端子対回路網を理解する
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8週 |
中間確認試験 |
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2ndQ |
9週 |
前期中間試験の解説 小信号解析ダイオードの小信号等価回路 |
これまでの学習内容全般を理解する ダイオードの小信号等価回路について理解する
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10週 |
バイポーラトランジスタの小信号等価回路(エミッタ接地) |
トランジスタの小信号等価回路の考え方を理解する
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11週 |
ベース接地増幅回路
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各接地方式の回路の特徴を理解する
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12週 |
コレクタ接地増幅回路 |
各接地方式の回路の特徴を理解する
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13週 |
入出力抵抗 |
各接地方式の回路の特徴を理解する
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14週 |
MOS-FETの小信号等価回路 |
MOS-FETの小信号等価回路を理解する
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15週 |
複数のトランジスタを用いた回路(ダーリントン接続、カスコード接続) |
トランジスタの直接接続回路を理解する
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16週 |
前期期末試験の解説 前期授業内容まとめ |
前期学習内容全般を理解する
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後期 |
3rdQ |
1週 |
コンデンサを用いた実際の増幅回路 |
コンデンサを用いた増幅回路の構成を理解する
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2週 |
高域周波数での動作解析 |
高域周波数での動作を理解する
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3週 |
低域周波数での動作解析 |
低域周波数での動作を理解する
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4週 |
周波数特性 |
周波数特性のゲインと位相の関係を理解する
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5週 |
多段接続した増幅回路 |
多段接続によりどのような特徴が発生するかを理解する
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6週 |
小信号等価回路によるFET増幅回路の解析 |
FET増幅回路解析方法を理解する
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7週 |
電力増幅回路の解析(A級、B級) |
電力増幅回路を理解する
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8週 |
中間確認試験 |
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4thQ |
9週 |
試験の解答、解説 |
後期前半の学習内容全般を理解する
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10週 |
デジタル回路におけるダイオード、トランジスタ、FETの等価回路 ダイオード論理回路(DTL) |
デジタル回路の回路構成を理解する DTLについて理解する
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11週 |
DTLの特徴とTTL(レベルシフト、マルチエミッタ等) |
DTLの欠点と、それを踏まえたTTL回路を理解する
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12週 |
TTL回路の特徴(蓄積時間遅れなど) |
TTLのアナログ的な特性を理解する
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13週 |
デジタル回路の静特性(ノイズマージン、ファンイン、ファンアウト) |
論理回路の静特性を理解する
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14週 |
CMOS回路(特徴、ラッチアップ等) |
CMOS回路の構成と特性を理解する
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15週 |
デジタル回路の動特性(遅延時間、立ち上がり時間等) |
論理回路の動特性を理解する
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16週 |
期末試験の解答、解説 |
1年間で学習した内容と各自の能力を認識する
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系分野 | その他の学習内容 | トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14 |
評価割合
| 前期中間確認試験 | 前期期末試験 | 後期中間確認試験 | 後期期末試験 | 課題・レポート(ただし左記試験合計が60点未満の場合) | 合計 |
総合評価割合 | 25 | 25 | 25 | 25 | 20 | 120 |
基礎的能力 | 15 | 15 | 15 | 15 | 20 | 80 |
専門的能力 | 10 | 10 | 10 | 10 | 0 | 40 |