電子回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 電子回路Ⅰ
科目番号 0027 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子情報工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「電子回路」高橋進一・岡田英史(培風館)
担当教員 西 仁司

到達目標

(1)電子回路がどの様な製品に応用されているかを理解できること。
(2)半導体の性質とダイオード、バイポーラトランジスタ、FETなど電子デバイスの種類とその働きを理解していること。
(3)アナログ電子回路としての基本増幅回路の構成、小信号等価回路を用いた特性の表し方が理解できること。さらに与えられた条件の下で回路定数を算出できること。
(4)デジタル電子回路の種類とその内部回路の特徴及びその動作について理解していること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標(1)電子回路の応用事例を知っており、その動作を説明できる電子回路の応用事例を知っている電子回路の応用事例を全く知らない
到達目標(2)半導体とそのデバイスの種類、動作を自分の言葉で図表を交えて説明できる半導体とそのデバイスの種類、動作を説明できる半導体とそのデバイスの種類、動作を説明できない
到達目標(3)基本増幅回路の構成、小信号等価回路を用いた特性を自分の言葉で図表を交えて説明できる。与えられた条件のもとで、回路定数を算出できる。基本増幅回路の構成、小信号等価回路を用いた特性を説明できる。与えられた条件のもとで、回路定数を算出できる。基本増幅回路の構成などを説明できない
到達目標(4)デジタル電子回路の種類、内部回路、特徴、動作の概要を自分の言葉で図表を交えて説明できるデジタル電子回路の種類、内部回路、特徴、動作の概要を説明できるデジタル電子回路を理解していない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RB2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 IT機器の動作をハードウェアで実現するための要素技術として電子回路の知識が必要である。電子回路は抵抗、コンデンサ、コイルなどの受動素子と、トランジスタ、FETなどの半導体デバイスの組み合わせで構成されるが、それらは高度に集積化、システム化されているため、全体を手計算で解析することは困難であり、CADによる設計・動作の確認が行なわれている。
 このため授業の目標は、基礎的な事項の説明と基本的な回路の解析に置いている。
授業の進め方・方法:
 教科書に沿って講義と演習を組み合わせて授業を進める。講義内容をまとめた演習課題を適宜配布し、回収する。
 講義概要は電子回路を理解するために電子工学基礎で学んだ基本的な直流回路解析手法を復習する。次に半導体の性質について図やグラフにより説明する。
 その後、アナログ電子回路の基礎となるデバイスの特性を線形モデル化する手法を説明した後、基本増幅回路の解析を行う。続いてディジタル回路の動作をスイッチモデルによる手法で説明する。
注意点:
本科(準学士課程)の学習教育目標:RB2(◎)
関連科目:電子工学基礎,電子情報工学実験Ⅰ,論理回路(本科2年),電気回路,計算機構成論Ⅰ,電子情報工学実験Ⅱ(本科3年),電子回路Ⅱ,計算機構成論Ⅱ(本科4年)
学習教育目標の達成度評価方法:4回の試験を平均する.なお、各回の試験の点数が50点に満たない場合は追試験を実施し、本試験の結果と合わせて、点数を算出する.また、最終成績が60点に満たない場合は、課題点を最大10点まで追加する.ただしこの場合の最終成績の上限を60点とする.
学習教育目標の達成度評価基準:上記の達成度評価方法(100点満点)で60点以上を合格とする.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスの説明、電子回路について
真性半導体と不純物半導体
電子回路の学問分野の位置づけについて理解できる
半導体の物性の基礎について説明できる
2週 PN接合ダイオードとバイポーラトランジスタの動作原理 半導体デバイスの動作原理の基礎を説明できる
3週 FET(電界効果トランジスタ)の動作原理 FETの動作原理の基礎を説明できる
4週 ダイオードを使った回路の図式解法による解析 ダイオードを使った回路を図式解法によって解くことができる
5週 バイポーラトランジスタを使った回路の図式解法による解析 バイポーラトランジスタを使った回路を図式解法によって解くことができる
6週 2端子対回路による等価回路表現(Fパラメータ、Hパラメータなど) 2端子対回路網の各種パラメータを計算できる
7週 小信号解析ダイオードの小信号等価回路
ダイオードの小信号解析ができる
8週 前期の授業内容の振り返り 前期の授業内容に関する問題を解くことができる
2ndQ
9週 中間確認試験 これまでの学習内容全般を理解する
10週 前期中間試験の解説
バイポーラトランジスタの小信号等価回路(エミッタ接地)
トランジスタの基本的な小信号解析ができる
11週 ベース接地増幅回路
各接地方式の回路を解くことができる
12週 コレクタ接地増幅回路 各接地方式の回路を解くことができる
13週 入出力抵抗
MOS-FETの小信号等価回路
各接地方式の回路のを解くことができる
接地方式の特徴を説明できる
MOS-FETの小信号解析ができる
14週 複数のトランジスタを用いた回路(ダーリントン接続、カスコード接続) トランジスタの直接接続回路を解くことができる
15週 前期中間確認試験以降の内容の振り返り 前期中間確認試験以降の内容に関する問題を解くことができる
16週 前期期末試験の解説
前期授業内容まとめ
前期学習内容全般を理解する
後期
3rdQ
1週 コンデンサを用いた実際の増幅回路 コンデンサを用いた増幅回路を解くことができる
2週 高域周波数での動作解析 高域周波数での動作を説明できる
3週 低域周波数での動作解析 低域周波数での動作を説明できる
4週 周波数特性 周波数特性のゲインと位相の関係を説明できる
5週 多段接続した増幅回路
小信号等価回路によるFET増幅回路の解析
多段接続によりどのような特徴が発生するかを説明できる
FET増幅回路を解析できる
6週 電力増幅回路の解析(A級、B級) 電力増幅回路の効率を計算できる
7週 後期の授業内容の振り返り 後期の授業内容に関する問題を解くことができる
8週 中間確認試験
4thQ
9週 試験の解答、解説
デジタル回路におけるダイオード、トランジスタ、FETの等価回路
後期前半の学習内容全般を理解する
デジタル回路の回路構成を説明できる
10週 ダイオード論理回路(DTL)
DTLの特徴とTTL(レベルシフト、マルチエミッタ等)
デジタル回路の回路構成を説明できる
DTLの欠点と、それを踏まえたTTL回路の特徴を説明できる
11週 TTL回路の特徴(蓄積時間遅れなど) TTLのアナログ的な特性を説明できる
12週 デジタル回路の静特性(ノイズマージン、ファンイン、ファンアウト) 論理回路の静特性を説明できる
13週 CMOS回路(特徴、ラッチアップ等) CMOS回路の構成と特性を説明できる
14週 デジタル回路の動特性(遅延時間、立ち上がり時間等)
3ステートバッファの回路
論理回路の動特性を説明できる
3ステートバッファの回路動作を説明できる
15週 後期中間確認試験以降の内容の振り返り これまでの学習内容に関する問題を解くことができる
16週 期末試験の解答、解説 1年間で学習した内容と各自の能力を認識する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野その他の学習内容トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14

評価割合

前期中間確認試験前期期末試験後期中間確認試験後期期末試験合計
総合評価割合25252525100
基礎的能力1515151560
専門的能力1010101040