計算機構成論Ⅱ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 計算機構成論Ⅱ
科目番号 0054 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 電子情報工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 「図解コンピュータアーキテクチャ入門 第3版」堀桂太郎(森北出版)
担当教員 西 仁司

到達目標

(1)再使用によるコスト削減等、単に高機能、高性能化を計るだけでなくトータルなシステム設計の必要性を認識できること。コンピュータの低消費電力化など、環境対策について理解できること。
(2)メモリの階層化とメモリ管理、パイプライン処理の基本等を理解し、計算機の高性能化の検討ができること。
(3)ノイマン方式を中心にCPUの構成要素とその接続方法、周辺装置など、計算機の基本構成および動作を理解すること。
(4)コンパイラで用いられている形式言語の考え方の基礎を理解すること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
上記到達目標の(1)計算機の高機能、高性能化技術を知っており、それらの関連性を理解すると同時に、社会に求められる性能を前提とした計算機システム設計が重要であることを認識している。計算機の高機能化、高性能化技術を知っており、それらの関連性を理解してバランスのとれた計算機システム設計が重要であることを認識している。計算機の高機能化、高性能化技術を知っているだけである。
上記到達目標の(2)メモリ関連技術や計算機の高速化技術を理解し、社会に求められる性能を前提とした計算機システム設計が検討できること。メモリ関連技術や計算機の高速化技術の概要を理解し、説明できる。メモリ関連技術や計算機の高速化技術の名称を知っているが、説明することができない。
上記到達目標の(3)ノイマン方式の計算機構成と基本動作を理解し、アーキテクチャと計算機性能が密接に関連していることを説明できる。ノイマン方式の計算機構成と基本動作を説明できる。ノイマン方式の計算機構成を知っている。
上記到達目標の(4)形式言語やオートマトンが分類でき、それに関する応用問題を解くことができる。形式言語やオートマトンが分類でき、それに関する基本問題を解くことができる。形式言語やオートマトンを知っている。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RB2 説明 閉じる
JABEE JB3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
既に履修した論理回路技術を用いている計算機のハードウェアの構成について、ノイマン方式を中心に周辺装置、メモリ装置、高速化手法ついて学習します。また、計算機が実行する命令の生成に重要な役割を果たすコンパイラの概要と、それにまつわる技術について学習します。
これにより、数学とその他の自然科学、情報処理、および異なる技術分野を含む問題にも対処できる、ものづくり・環境づくりに関する能力を身に付けることを目標とします。
授業の進め方・方法:
この科目は学修単位科目「B」です。授業外学修の時間を含めます。
従って、授業においては、座学を中心とし、計算機のハードウェアの構成に関する講義と演習を行ない、さらに、授業外学習のための課題(予習復習、授業内容に関する調査・考察)を毎回課します。
注意点:
本科(準学士課程)の学習教育目標:RB2(◎)
環境生産システム工学プログラムの学習教育目標:JB3(◎)
関連科目:計算機構成論Ⅰ(本科3年)、計算機アーキテクチャ(本科5年)、情報ネットワーク(本科5年)、計算機システム(生産システム工学専攻1年)
学習教育目標の達成度評価方法:JB3:授業内容に関する試験と課題で評価します。小テストと課題を80%、前期期末試験を20%の配分とします。合格点に満たない場合は、課題の追加提出および再試験およびレポートを実施する場合があります。その場合の評価は最大60点とします。
学習教育目標の達成度評価基準:上記の達成度評価方法(100点満点)で60点以上を合格とします。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスの説明、メモリのハードウェア(RAM、ROM)
【授業外学習】メモリのハードウェアに関する課題
メモリのハードウェア構成を理解する
2週 メモリのハードウェア(ハードディスク、光ディスク)、メモリの階層構造
【授業外学習】メモリの階層構造に関する課題
計算機の高速化とメモリの階層構造の関係を理解する
3週 キャッシュメモリとマッピング方式
【授業外学習】キャッシュヒット率とマッピングに関する課題
キャッシュの動作、効果を理解する
4週 キャッシュメモリの効果の検証
【授業外学習】キャッシュヒット率とマッピングに関する課題
マッピング方式や追い出しアルゴリズムの違いがキャッシュヒット率に与える影響を理解する
5週 仮想記憶、分割方式、アドレス変換、TLB
【授業外学習】アドレス変換に関する課題
仮想記憶の動作、効果、現実的な運用手法を理解する
6週 2レベルマッピング、仮想アドレスキャッシュ、実アドレスキャッシュ
【授業外学習】授業内容に関する課題
キャッシュメモリと仮想記憶の関係を理解する
7週 パイプライン、遅延分岐と予測分岐
【授業外学習】パイプラインの基礎に関する課題
パイプラインの基礎動作を理解する
8週 スーパースカラ、マルチプロセッサ
【授業外学習】高速化手法に関する課題
パイプラインの高速化手法を理解する
2ndQ
9週 変換系
【授業外学習】変換系に関する演習課題
変換系の役割、仕組みを説明できる。
10週 形式言語の基礎、句構造文法と解析木
【授業外学習】形式言語に関する演習課題
形式言語について説明できる。
11週 正規表現と有限オートマトン
【授業外学習】正規表現に関する演習課題
正規表現と有限オートマトンが等価であることを理解する
12週 ε-nfaとdfa
【授業外学修】nfaとdfaに関する課題
ε-nfaはdfaに変換できることを理解する。
13週 文脈自由文法と標準形(CNF、GNF)
【授業外学修】文脈自由文法に関する演習課題
文脈自由文法とその標準形について理解する
14週 文脈自由文法とPDA
【授業外学修】PADに関する演習課題
文脈自由文法とPDAが等価であることを理解する
15週 文脈依存文法とチョムスキーの階層
【授業外学習】文脈依存文法に関する演習課題
チョムスキーの階層にある文法と対応するオートマトンの種類について理解する
16週 試験の解答、解説、内容の復習
内容を振り返り、全体を理解する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野計算機工学コンピュータを構成する基本的な要素の役割とこれらの間でのデータの流れを説明できる。4前6
プロセッサを実現するために考案された主要な技術を説明できる。4前6,前7
メモリシステムを実現するために考案された主要な技術を説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5
入出力を実現するために考案された主要な技術を説明できる。4
コンピュータアーキテクチャにおけるトレードオフについて説明できる。4前1
システムプログラム記憶管理の基本的な考え方について説明できる。4前4,前5
形式言語の概念について説明できる。4前10
オートマトンの概念について説明できる。4前11,前13,前14
コンパイラの役割と仕組みについて説明できる。4前9
形式言語が制限の多さにしたがって分類されることを説明できる。4前12,前13,前14
正規表現と有限オートマトンの関係を説明できる。4前11

評価割合

小テスト・課題期末試験合計
総合評価割合8020100
基礎知識602080
応用知識20020