電気回路

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 電気回路
科目番号 0116 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子情報工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書 「やさしい電気回路(交流編)新装版」堀浩雄(森北出版社) / 参考書 「やさしい電気回路(直流編)新装版」堀浩雄(森北出版社)
担当教員 野村 保之

到達目標

(1)電気器具などを見たときに、機能性、安全性及び経済性について考察することが出来る。
(2)電気器具などに用いられている部品や回路を見たとき、その動作を正しく理解できる。
(3)電気器具などを見たときに、その動作原理等について考察できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1インピーダンスの概念が理解でき、回路に応用できる。インピーダンスの概念が理解できる。インピーダンスの概念が理解できない。
評価項目2直列共振および並列共振について理解でき、Q値などの計算ができる。直列共振および並列共振について理解できる。直列共振および並列共振について理解できない
評価項目3各種交流電力について、最適設計ができる。各種交流電力について説明できる。各種交流電力について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RB2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 2年生で学んだ直流回路及び正弦波交流回路の基礎の上に立って、複素フェ―ザ表示をさらに進める。その上で、交流電力・種々の定理の交流回路への応用及び各種交流回路の特性を理解させる。次に、交流回路の周波数特性と共振回路へと議論を進め、種々の正弦波交流回路のフェ―ザ表示による計算の理解を深める。
授業の進め方・方法:
 数学的な取り扱いと平行して、現象的に理解するため、実験や観察との対応を十分説明する。重要な定理や法則は例題で理解を深め、各章毎に演習問題を課して、理解を深めつつ計算力を養う。内容の理解および計算力を確認するものであるから、中間試験・定期試験に全力で取り組むことを要求する。
注意点:
学習教育目標:本科(準学士課程):RB2(◎)
関連科目:電子工学基礎(本科2年)、電子回路Ⅰ(本科3年)、電子回路Ⅱ(本科4年)、電気磁気学Ⅰ(本科3年)、電気磁気学Ⅱ(本科4年)
学習教育目標(RB2)の達成および科目取得の評価方法:中間確認試験(50%)・定期試験(50%)の成績で評価する。ただし、各試験100点満点で60点未満の者に対しては全員、60点台の者は任意の再試験を課して、両者の平均を各試験の点数とする。この場合の最大点は69点とする。最終成績が60点に満たない場合には、見極めのための試験またはレポートを課し、60点以上かつ最終成績に10点満点の加算をした結果が60点以上のとき最終成績を60点とする。
学習教育目標(RB2)の達成および科目取得の評価基準:学年成績60点以上を合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス・シラバスの説明、直流回路復習 講義の方針とシラバスの説明をして、具体的な評価方法を示したのち、2年生の直流回路の回路法則と定理を確認する。
2週 正弦波形 正弦波交流の瞬時値表記を習得する。特に、位相の概念に習熟する。そののち、実効値について学ぶ。
3週 正弦波形とフェーザ表示、複素数表示、複素数計算 正弦波交流のフェーザ形式について学習し、フェーザ表示から複素数表示への変換及び複素演算について習得する。
4週 RLC回路素子の電圧・電流と複素数表示 回路素子の電圧・電流特性を瞬時値表示及び複素数表示により記述し、インピーダンス及びアドミタンスの概念を習得する。
5週 正弦波交流の複素数表示 複素数を用いる意味、複素数を用いると何が便利か? 瞬時値表記と複素数表記の両者を比較することにより、複素数演算の優位性を理解する。
6週 演習問題 瞬時値表示、フェーザ―表示および複素数表示に関する演習で実力をつける。
7週 中間確認試験 第6週までの学習成果を評価する。
8週 試験の解答・解説、複素平面上への電圧・電流のフェーザ表示 試験問題の解答を実際に説明することによって、再挑戦の学習に役立てる。
2ndQ
9週 インピーダンス平面・アドミタンス平面(1) インピーダンス平面及びアドミタンス平面上に回路素子の電圧及び電流フェーザを示すことにより、各素子の電圧電流特性(特に位相関係)を理解する。
10週 インピーダンス平面・アドミタンス平面(2) インピーダンス平面及びアドミタンス平面上に回路素子の電圧及び電流フェーザを示すことにより、各素子の電圧電流特性(特に位相関係)を理解する。
11週 インピーダンスの直列接続並列接続 インピーダンスを抵抗とリアクタンスで表記し、直列に接続した場合と並列に接続した場合について、合成インピーダンスがどのように表されるかを習得する。
12週 アドミタンスの並列接続、直列接続 アドミタンスをコンダクタンスとサセプタンスで表記し、直列に接続した場合と並列に接続した場合について、合成アドミタンスがどのように表されるかを習得する。
13週 直列接続と並列接続の電圧分布・電流分布 インピーダンスの直列接続に対して電圧の分配を知り、2点間の電位差を計算できるようにする。また、並列接続に対しては、電流の分配則が計算できるようにする。
14週 演習問題 実際の回路について、電圧・電流特性が計算できるように演習を行う。
15週 期末試験 前期で学んだことに対する理解の評価を行う。
16週 学習のまとめ 期末試験問題の解答を実際に説明することによって、理解度を深めるとともに再挑戦の機会を与える。
後期
3rdQ
1週 Δ・Y接続とΔ・Y変換 Δ接続とY接続に関して、両者が等価となる条件を求めて、相互間の変換式を導出する。特殊な場合について変換が簡略化されることを理解する。
2週 簡単な交流回路 RLCおよびその組み合わせ回路の電圧・電流(1) 基本的な抵抗・インダクタ・キャパシタの3つの素子の組み合わせについて、電圧・電流特性を複素計算により理解する。
3週 簡単な交流回路 RLCおよびその組み合わせ回路の電圧・電流(2) 基本的な抵抗・インダクタ・キャパシタの3つの素子の組み合わせについて、電圧・電流特性を複素計算により理解する。
4週 電圧・電流の位相関係 回路の電圧・電流特性から、両者の位相関係を明らかにし、位相進み・位相遅れを回路計算により理解する。
5週 逆回路と定抵抗回路(1) 逆回路の概念を導入し、逆回路条件を学習する。実際の回路から逆回路を構成する。
6週 逆回路と定抵抗回路(2) 逆回路の概念を拡張して、合成インピーダンスが抵抗となる定抵抗回路の構成条件から実際の回路への応用を理解する。
7週 演習問題 後期中間確認までに学んだ内容を具体的な回路で確認する。
8週 中間確認試験 後期第7週までの学習成果を評価する。
4thQ
9週 試験の解答・解説、共振回路 試験問題の解答を実際に説明することによって、再挑戦の学習に役立てる。
10週 直列共振 直列共振回路の電流の絶対値と位相角の周波数特性を導出する。その結果、共振のQ値について意味を習得する。
11週 並列共振 並列共振回路の電流の絶対値と位相角の周波数特性を導出して、直列共振との比較においてその特性を理解する。
12週 交流電力(1) 複素電力を定義し、実部から有効電力を、虚部から無効電力を理解する。
13週 交流電力(2) 力率について学習し、力率を改善するための進相容量について学習する。また、共役整合につて学ぶ。
14週 演習問題 共振および電力の具体的な回路による計算の演習を行う。
15週 期末試験 後期で学んだことに対する理解の評価を行う。
16週 学習のまとめ 期末試験問題の解答を実際に説明することによって、理解度を深めるとともに再挑戦の機会を与える。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野その他の学習内容オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。4

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力4040
専門的能力4040
分野横断的能力2020