情報数学Ⅱ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 情報数学Ⅱ
科目番号 0146 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子情報工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「離散数学への入門」 小倉久和著 近代科学社
担当教員 下條 雅史

到達目標

(1)基本的な整数演算や暗号への応用について理解すること
(2)離散代数系では、演算とは何か、普段何気なく行う(-1)*(-1)=1やn*0=0といった演算が成り立つのはどういう場合かを知ること。
(3)論理演算に使われるブール代数とは何かを知ること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
具体的な, 整数演算,剰余演算について,交換律,結合律,分配律.単位元,逆元を説明できる。また、代表的な暗号特にRSA暗号を構成できる。幾つかの演算について,演算法則が成立しているかどうか判断できる。幾つかの暗号について、符号化,復号を説明できる。左の段階に達していない。
様々な,集合と演算の組み合わせについて,どのような代数系になるか,説明できる。また、(-1)x(-1)=1に代表されるような,何気なく行ってきた演算が成り立つ代数系を説明できる。様々な,集合と演算の組み合わせについて,どのような代数系になるか,説明できる。左の段階に達していない。
ブール束について、また、全ての要素対について、上限と下限がある順序集合であることを説明できる。様々な代数系についてブール束かどうか説明できる。幾つかの代数系について、ブール代数かどうか説明できる。左の段階に達していない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RB2 説明 閉じる
JABEE JB3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
低学年の数学の授業で学習したものとは異なる抽象性の高い離散数学の概念のうち、グラフ理論, 離散代数系, 有限順序集合, ブール代数といった、情報理論、情報工学などソフトサイエンスに深く関わる分野について、講義によって体系的に学ぶとともに、演習問題を多く課してその内容に習熟して幅広い視野で思考する能力の獲得を目指す
授業の進め方・方法:
教科書の内容とその説明に必要な代表的な例題の解答を講義した後、他の例題を演習課題として課す。
注意点:
本科目は学習単位科目であって、授業外学修を必要としている。代表的な例題については、授業で解説する他に宿題にして,試験問題に同様に含める。
本科(準学士課程)の学習教育目標:RB2(◎)
環境生産システム工学プログラムの学習教育目標:JB3(◎)
この科目は、学修単位A(15時間の授業で1単位)の科目である。
 ただし、授業外学修の時間を含む。
関連科目:情報数学I
学習教育目標の達成度評価方法:授業外学修による課題の評価は原則として行わないが、その内容を試験問題に30%含めて、試験のみで評価する。定期試験で60点に達していない者には、1度のみ追試の機会を与える。授業では代表的な例題のみを解説し、残りの課題を授業中の課題,宿題として提出を求め、試験が評価基準に達しないものに加味する。
学習教育目標の達成度評価基準:科目としても,到達目標としても 中間確認と期末試験の平均に,宿題を加味して60点以上を合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 数値演算に関する講義と演習
(授業外:テキスト第6章章末問題により復習のこと)
数値演算とは何か、関係する用語(演算則・素数・約数・ユークリッドの互除法など)の定義とともに、理解すること。
2週 剰余演算と代数に関する講義と演習
(授業外:テキスト第6章章末問題により復習のこと)
剰余演算の代数,演算則を理解し、実際に計算する能力を獲得すること。
3週 剰余演算と暗号に関する講義と演習
(授業外:テキスト第6章章末問題により復習のこと)
暗号の基本的な原理,一般的な商用暗号であるRSA暗号について理解すること。
4週 演算と代数系に関する講義と演習
(授業外:テキスト第7章章末問題により復習のこと)
1週目の演算に関する各種用語の復習と代数系とは何かを理解すること。
5週 群とモノイドに関する講義と演習
(授業外:テキスト第7章章末問題により復習のこと)
群とモノイドについて理解し、さらに、正規部分群の具体例を理解すること。
6週 環についての講義と演習
(授業外:テキスト第7章章末問題により復習のこと)
環について、具体例とともに理解すること。何気なく行っている1×0, (-1)×(-1)=1という計算はどんな場合に、何故成立するか理解すること
7週 体についての講義と演習
(授業外:演習プリント配布)
体について具体例とともに、理解すること。
8週 中間確認
4thQ
9週 順序集合に関する講義と演習
(授業外:テキスト第8章章末問題により復習のこと)
順序集合とは何かを具体例とともに理解すること。
10週 順序集合と束についての講義と演習
(授業外:テキスト第8章章末問題により復習のこと)
順序集合と束との関係を理解すること。
11週 順序集合と束に関する講義と演習
(授業外:テキスト第8章章末問題により復習のこと)
分配束,補束について、具体例とともに理解すること。
12週 ブール束(ブール代数)とは何かについての講義
(授業外:テキスト第8章章末問題により復習のこと)
ブール束(ブール代数)とは何か、理解すること。
13週 有限離散グラフについての講義と演習
(授業外:テキスト第8章章末問題により復習のこと)
離散グラフとは何か、具体例や関連用語とともに理解すること。
14週 グラフの隣接行列についての講義と演習
(授業外:演習プリント配布)
離散グラフの表現方法,オイラーの定理について理解し簡単な演習問題が解けること。
15週 学習のまとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野情報数学・情報理論集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。4
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。4
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。4
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。4
その他の学習内容基本的な暗号化技術について説明できる。4

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力4040
専門的能力4040
分野横断的能力2020