無機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 無機化学Ⅰ
科目番号 0016 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 荻野博ほか著「基本無機化学」第3版 (東京化学同人),David w. Ball著「ボール 物理化学」上 第2版 (化学同人),プリント
担当教員 西野 純一

到達目標

 物質を構成する基本単位である様々な元素の性質を理解し,各元素が持つ特異な性質が原子核を取りまく電子の様々な振る舞いによることを周期表と関連付けて説明できること.また,固体化学(結晶化学)の基本的概念を理解し,説明できること.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
元素に関する理解度教科書等を見ずに主要な元素およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できる.教科書等を見れば,主要な元素およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できる.教科書等を見ても主要な元素およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できない.
固体化学に関する理解度教科書等を見ずに固体化学について説明できる.教科書等を見れば固体化学について説明できる.教科書等を見ても固体化学について説明できない.
総合評価80点以上70点以上59点以下

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
1年生で学習した原子の構成原理,周期律等の原子の成り立ち,VSEPR理論,分子軌道法の分子の成り立ちについての復習を行うとともに,無機化学における元素の各論,さらに固体化学の基礎を学ぶ.
授業の進め方・方法:
教科書中心の講義であるが,必要に応じてプリントを配布し学生の理解の補助とする.具体的な演習問題も適宜行うことで,理論の具体性を持たせる.
注意点:
学習教育目標: 本科(準学士課程)RB2(◎)
評価方法: 最終成績評価式=0.9×定期試験得点+0.05×平常点+0.05×課題レポート点
定期試験得点の評価割合: 前期中間確認(25%),前期期末試験(25%),後期中間確認(25%),後期期末試験(25%)
評価基準: 最終成績が100点満点中で60点以上を合格とする

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業概要説明,主要属金属元素の化学(s-ブロック元素),専門基礎Ⅰの復習(諸単位,化学用語,濃度,量子論) 無機化学の内容・領域を理解し説明できること.
無機化学を学ぶ上での基礎的知識および化学で使用される濃度の内容を理解し説明できること.
s-ブロック元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること
2週 主要属金属元素の化学(pブロック元素),専門基礎Ⅰの復習(核反応と超新星,原子の構造) pブロック元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
原子の概念を理解し,電子の軌道,電子配置および原子の性質と周期性について説明できること.
3週 主要族金属元素の化学(12族元素),専門基礎Ⅰの復習(電子の軌道と量子数,同位体と原子量) 12族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
ボーアの原子模型について説明できること.主量子数,方位量子数,磁気量子数について説明できること.
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できること.
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができること.

4週 非金属元素の化学(水素,ホウ素,炭素,ケイ素,ゲルマニウム),専門基礎Ⅰの復習(周期律の発見,元素の電子配置と周期性の起源) 水素,ホウ素,炭素,ケイ素,ゲルマニウムの単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
元素の周期律を理解し,典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できること.
5週 非金属元素の化学(窒素,リン,ヒ素,アンチモン,酸素),専門基礎Ⅰの復習(原子の大きさ,イオン化エネルギー) 窒素,リン,ヒ素,アンチモン,酸素の単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
イオン化エネルギーについて説明できること.

6週 非金属元素の化学1(硫黄,セレン,テルル,ポロニウム),専門基礎Ⅰの復習(電子親和力,電気陰性度) 硫黄,セレン,テルル,ポロニウムの単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
電子殻,電子軌道,電子軌道の形を説明できること.
電子親和力,電気陰性度について説明できること.

7週 非金属元素の化学(17族元素,18族元素),専門基礎Ⅰの復習(磁気的性質),演習 17,18族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
8週 前期中間試験 60点以上得点できること.
2ndQ
9週 前期中間試験の解説,遷移金属の化学(d-ブロック元素,電子配置と一般的性質,化学的性質),専門基礎Ⅰの復習(オクテット説と分子の表示法) 前期中間試験の不正解問題の理解ができること.
d-ブロック元素元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができること.
10週 遷移金属の化学(d-ブロック元素,第一遷移系列元素), 専門基礎Ⅰの復習(オクテット説の拡張,超原子価化合物) dブロック元素元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
配位結合の形成について説明できること.
11週 遷移金属の化学(d-ブロック元素,第二遷移系列元素),専門基礎Ⅰの復習(分子軌道法,二原子分子,多原子分子) dブロック元素元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
代表的な分子に関して分子軌道法について説明できること.
12週 遷移金属の化学(d-ブロック元素,第三遷移系列元素),専門基礎Ⅰの復習(原子価結合法,混成軌道,π結合) dブロック元素元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)から共有結合を説明できること.
電子配置から混成軌道の形成について説明することができること.
13週 遷移金属の化学(f-ブロック元素,ランタノイド,アクチノイド),専門基礎Ⅰの復習(原子価殻電子対反発理論,結合の分極と分子の双極子モーメント) ランタノイド,アクチノイドの単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
原子価殻電子対反発(VSEPR)理論について説明できること.,結合の分極と分子の双極子モーメント)について説明できること.
14週 各論のまとめ,専門基礎Ⅰの復習(形式電荷と酸化数,電気的中性の原理),演習 分子間力(ファンデルワールス力)について説明できること.
水素結合について説明できること.
15週 前期期末試験の返却と解説 前期期末試験の不正解問題の理解ができること.
16週
後期
3rdQ
1週 固体化学への導入 固体化学の概要が理解できること.
イオン結合と共有結合について説明できること.
2週 イオン性固体と金属(結晶構造,1種類の球の充填) 結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。
最密充填格子等の金属の結晶構造について説明できること
3週 イオン性固体と金属(結晶構造,2種類の球の充填) 結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。
4週 イオン性固体と金属(結晶構造,3種類の球の充填) 結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。
5週 イオン性固体と金属(結晶構造,結晶構造に影響を与える因子) イオン結晶の構造および原子半径と配位数の関係についてあらかた説明できること.
6週 イオン性固体と金属(イオン性固体,イオン結合と格子エネルギー) イオン結合と格子エネルギーについて説明できること.
7週 イオン性固体と金属(イオン結合と共有結合) イオン結合と共有結合について説明できること
8週 後期中間試験 60点以上得点できること
4thQ
9週 後期中間試験の解説.
イオン性固体と金属(金属および類金属,金属及び金属元素の定義)
後期中間試験の誤解答について理解できること.
金属および類金属,金属及び金属元素の定義についてせつめいできること
10週 イオン性固体と金属(金属結合とエネルギーバンド) イオン結晶の構造および原子半径と配位数の関係についてあらかた説明できること.
11週 基礎無機反応(酸と塩基) 酸と塩基について説明できること.
12週 基礎無機反応(酸化と還元,標準酸化還元電位,標準酸化還元電位と自由エネルギー変化との関係) 標準酸化還元電位,標準酸化還元電位と自由エネルギー変化との関係について説明できること.
13週 基礎無機反応(酸化と還元,サイクリックボルタンメトリー) サイクリックボルタンメトリーについて説明できること.
14週 基礎無機反応(溶媒,プロトン性溶媒,非プロトン性溶媒) 溶媒,プロトン性溶媒,非プロトン性溶媒二対で通明できること.
15週 後期期末試験の解説.
学習のまとめ
後期期末試験の誤解答について理解できること. 
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4前3
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4前2,前3
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前3
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4前9
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4前4
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前5,前6
イオン結合と共有結合について説明できる。4後6,後7,後9
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4前9
金属結合の形成について理解できる。4後2,後9
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4前11,前12
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4前12
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。4後2,後3,後4
配位結合の形成について説明できる。4前10
水素結合について説明できる。4前14
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14
物理化学電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。4

評価割合

定期試験発表相互評価平常点ポートフォリオ課題合計
総合評価割合9000505100
基礎的能力0005005
専門的能力900000595
分野横断的能力0000000