概要:
物質工学実験IIとして、有機化学実験(前期)と生物化学実験(後期)を行う。有機化合実験では有機化合物の安全な取り扱い方等の基本的な性質を実験を通して学び、さらに染料等の合成を行い、生物化学実験では生体成分の特性、酵素、核酸などを安全に取り扱い、共に実験と並行して開講されている講義に具体性を持たせる。
授業の進め方・方法:
有機化学実験は教科書およびプリントを用い、授業計画に従って2~3人/グループで実験を行う。生物化学実験は教科書を元に適宜プリントなどを用意し、3人程度のグループで実験を行う。なお、シラバスの説明時には実験全体の安全教育を行うが、各実験の最初にも、必要に応じて実験上の安全に関する基礎的な知識や技術を解説する。「備考:実験に関連するものづくりや研究の現場見学の機会があれば、内容を変更し、実施する可能性がある」
注意点:
この科目は、学修単位C(45時間の授業で1単位)の科目である。
学習・教育目標:本科(準学士課程):RD1(◎), RB2(○)
関連科目:生化学、有機化学、物質工学実験I、III、微生物学
評価方法:有機化学実験・生物化学実験共に実験態度(グループ実験での協調性等)を3割、レポート7割で評価する。レポートの期限遅れは1日につき1割減点する。学年成績は前期、後期の平均点とする。
評価基準:学年成績60点以上
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
有機化学実験,実験概要 |
シラバスの説明,実験の解説,安全教育,準備,炭化水素の実験が理解できる
|
2週 |
定性実験 |
アルデヒド・ケトンの実験が理解できる
|
3週 |
定性実験 |
糖・カルボン酸・エステルの実験が理解できる
|
4週 |
定性実験 |
アミン・ベンゼンの実験が理解できる
|
5週 |
定性実験 |
フェノールの実験が理解できる
|
6週 |
定性実験 |
アニリンの実験が理解できる
|
7週 |
定性実験 |
オレンジIIの合成が理解できる
|
8週 |
レポート作製 |
|
2ndQ |
9週 |
合成実験 |
酢酸エチルの合成が理解できる
|
10週 |
合成実験 |
アジピン酸の合成が理解できる
|
11週 |
合成実験 |
アスピリンの合成ができ、TLCによる反応追跡が理解できる
|
12週 |
合成実験 |
アミノ酸の保護によりN-BocVal-OHが合成できる
|
13週 |
合成実験 |
アミノ酸の保護によりN-BocVal-OHが合成できる
|
14週 |
合成実験 |
カラム精製,減圧蒸留が理解できる
|
15週 |
有機化学実験のまとめ |
まとめ
|
16週 |
|
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
生物化学実験、実験概要 |
シラバスの説明、実験の解説,安全教育,アミノ酸・タンパク質の定性が理解できる
|
2週 |
微生物培養 |
微生物培養の概要および基本操作を身につける
|
3週 |
微生物培養 |
身の回りの微生物を培養し、観察することで、微生物環を理解できる
|
4週 |
アミノ酸・タンパク質 |
アミノ酸とタンパク質の呈色反応・アミノ酸のペーパークロマトグラフィーを通して、アミノ酸の定性分析が理解できる
|
5週 |
アミノ酸・タンパク質 |
アミノ酸の比色定量(発光率の比較)が理解できる
|
6週 |
酵素 |
アミノ酸の比色定量(発光率の比較)が理解できる
|
7週 |
酵素 |
酵素活性測定法・基質濃度依存性が理解できる
|
8週 |
レポート作製 |
|
4thQ |
9週 |
核酸 |
核酸操作の基本を理解できる。
|
10週 |
核酸 |
DNAの簡易抽出と電気泳動による同定法が理解できる
|
11週 |
脂質 |
脂質の定性分析および定量分析の基本を理解できる
|
12週 |
脂質 |
卵黄からの脂質抽出が理解できる
|
13週 |
脂質 |
シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる脂質分離が理解できる
|
14週 |
脂質 |
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)法を用いた卵黄構成脂質の同定が理解できる
|
15週 |
生物化学実験のまとめ |
まとめ・レポート作成
|
16週 |
|
「備考:実験に関連するものづくりや研究の現場見学の機会があれば、内容を変更し、実施する可能性がある」
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 有機化学実験 | 加熱還流による反応ができる。 | 4 | |
蒸留による精製ができる。 | 4 | |
吸引ろ過ができる。 | 4 | |
再結晶による精製ができる。 | 4 | |
分液漏斗による抽出ができる。 | 4 | |
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。 | 4 | |
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。 | 4 | |
収率の計算ができる。 | 4 | |
生物工学実験 | 光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。 | 4 | |
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。 | 4 | |
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。 | 4 | |
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。 | 4 | |
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。 | 4 | |
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。 | 4 | |