物理化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 物理化学Ⅲ
科目番号 0071 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 ボール物理化学 第2版(上・下)(化学同人),配布プリント
担当教員 後反 克典,常光 幸美,野元 昭宏

到達目標

前期の前半部分(放射線概論)
(1) 放射線が環境および人類に与える影響について理解できること.
(2) 放射線エネルギーを利用することにおいて,自然環境と人間社会との調和を図ることの必要性を認識できること.
(3) 原子力燃料の再利用およびリサイクルによって成り立つ循環型社会について認識するだけでなく,原子力発電についても理解すること.
(4) 習得した放射線に関する基礎知識に基づいて,放射線の工学的現象を正しく理解し説明できること.

前期の後半部分(電気化学)
(5) 伝導度や電極電位等の物理に関する知識が理解できること.

後期
(6) 物理化学の巨視的な概念である熱力学の基礎に習熟し,物理化学的基礎知識・技術及びその応用である固体(結晶)と表面を正しく理解できること.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 放射線に関し基礎知識および工学的現象を理解でき,必要な計算や説明ができる.放射線に関し基礎知識および工学的現象を理解でき,必要な計算ができる.放射線に関し基礎知識および工学的現象を理解できず,必要な計算や説明ができない.
評価項目2伝導度や電極電位等の物理に関する知識が理解でき,説明ができる.伝導度や電極電位等の物理に関する知識が理解できる.伝導度や電極電位等の物理に関する知識が理解できない.
評価項目3物理化学の巨視的な概念である熱力学の基礎に習熟し,物理化学的基礎知識・技術及びその応用である固体(結晶)と表面を十分正しく理解できる.物理化学の巨視的な概念である熱力学の基礎に習熟し,物理化学的基礎知識・技術及びその応用である固体(結晶)と表面を正しく理解できる.物理化学の巨視的な概念である熱力学の基礎に習熟しておらず,物理化学的基礎知識・技術及びその応用である固体(結晶)と表面を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RB2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
前期の前半部分は放射線に関して入門的な事項を学び,将来,放射性核種や放射線を取り扱う必要が生じた際のより高度な学習の基礎とする.前期の後半部分は電気化学に関する基礎的問題や理論を学習する.
後期は,物理化学に関する基礎事項について必要な専門知識を把握できる能力を育成するために,「物理化学Ⅰ・Ⅱ」において学習した物理化学の巨視的な概念である熱力学と化学平衡,反応速度論,量子力学の基礎の上に,特にその応用の領域である固体(結晶)と表面に関しても習得する.
授業の進め方・方法:
放射線概論部分は,プリントを中心に用いて講義を行う.電気化学部分は教科書に沿って講義ならびに演習を行う.電気化学の基礎的な能力をつける.
後期は,「物理化学Ⅰ・Ⅱ」の内容の復習を適宜行いながら,教科書に沿って講義ならびに演習を行う.
注意点:
低学年の無機化学や物理化学を基礎とすることから,各自復習をしながら学習すること.
環境生産システム工学プログラム:JB1(○),JB3(◎)
関連科目:物理化学Ⅱ(本科4年)
評価方法:前期の前半部分は,試験60%,課題30%,授業態度10%で評価する。後半部分は試験で評価する.後期は中間試験と期末試験で評価する.前期の前半を25%,後半を25%,後期を50%で学年成績とする.なお,60点に達しない場合は課題の追加提出あるいは再試験を実施することもある.
評価基準:学年成績60点以上

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業概要・シラバスの説明・序論・歴史 低学年の復習および放射線や放射性物質について説明できること。
2週 放射壊変・壊変図・生物学的半減期・年代測定 放射壊変図および半減期と壊変定数の関係、年代測定について説明できること。
3週 原子質量単位・結合エネルギー・質量欠損 原子質量単位、結合エネルギーおよび質量欠損について説明できること。
4週 天然放射性壊変・中性子核反応・核分裂反応・核融合反応・原子力発電・放射化分析 天然放射性核種や中性子の性質、その応用について説明できること。
5週 放射線と物質との相互作用・加速装置・PET 放射線と物質の相互作用について説明できること。
6週 放射線の生物への作用・体内被曝 放射線の生物への作用・体内被曝について説明できること。
7週 放射性同位体の化学・標識化合物・RI・同位体希釈分析 放射性同位体の化学について説明できること。
8週 中間試験
2ndQ
9週 シラバスの説明、電気化学の歴史 電気化学の歴史が説明できること。
10週 電極と電解液の界面構造 電極と電解液の界面構造について説明できること。
11週 電極反応の素過程と反応速度 電極反応の素過程と反応速度について説明できること。
12週 電荷移動過程 電荷移動過程について説明できること。
13週 物質移動過程,IR損の影響 物質移動過程,IR損の影響について説明できること。
14週 電極反応速度の測定法 電極反応速度の測定法について説明できること。
15週 電極触媒作用 電極触媒作用について説明できること。
16週 期末試験
後期
3rdQ
1週 授業概要・ガイダンス,シラバスの説明
固体-結晶について-
固体の種類

固体の種類を理解できる.
2週 結晶と単位格子,密度 結晶と単位格子,密度について理解できる.
3週 結晶構造の決定 結晶構造の決定について理解できる.
4週 ミラー指数 ミラー指数について理解できる.
5週 単位格子の変化 単位格子の変化について理解できる.
6週 イオン結晶の格子エネルギー イオン結晶の格子エネルギーについて理解できる.
7週 格子欠陥と半導体 格子欠陥と半導体について理解できる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 試験の返却と解答・解説
表面

表面(界面)とは何であるかを理解できる.
10週 液体の表面張力 液体の表面張力について理解できる.
11週 界面効果 界面効果について理解できる.
12週 表面にできる薄膜 表面にできる薄膜について理解できる.
13週 固体表面 固体表面について理解できる.
14週 被覆率と触媒作用 被覆率と触媒作用について理解できる.
15週 後期学習内容のまとめ
16週 後期期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学放射線の種類と性質を説明できる。4前1
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。4前2
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。4前2
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。4前4
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。4

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合9080200100
基礎的能力158020025
専門的能力750000075
分野横断的能力0000000