物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 0084 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 ボール 物理化学 上
担当教員 西野 純一

到達目標

物理化学に関する基礎事項について,必要な専門知識を把握できる能力を育成するために,主として物質とエネルギーを基礎として,熱力学と化学平衡について理解させることを目標とする。
・ 原子・分子の立場から,気体の性質の各種計算ができる。
・ 溶液論の理想希薄溶液としての束一的性質を理解し,分子量の計算等応用できる。
・ 熱力学第1,2,3法則を理解し,自然の方向,熱化学.各種エネルギーの計算ができる。
・ 化学ポテンシャルを理解し,化学平衡定数を導き,質量作用の法則・ルシャトリエの法則を応用できる。
・ 相律を用いて相平衡を説明でき,相平衡の基礎式を計算に応用できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
物理化学に関する理解度物理化学に関する理解度が高く,原理,法則を理解でき、適切な説明や解析がよくできる.物理化学に関する原理,法則を理解でき、適切な説明や解析ができる..物理化学に関する原理,法則を理解できず、適切な説明や解析ができない.
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学熱力学を中心とした講義である.必要に応じて,プリントを配布し学生の理解の補助とする.具体的な演習問題も適宜行うことで,理論の具体性を持たせる.
授業の進め方・方法:
化学熱力学を中心とした講義である.必要に応じて,プリントを配布し学生の理解の補助とする.具体的な演習問題も適宜行うことで,理論の具体性を持たせる.
注意点:
前期中間試験(15%),前期期末試験(15%),後期中間試験(15%),及び,通年分を試験範囲とする後期期末試験(40%)の定期試験4回分の合計を基本点(85%)とし,この基本点に,不定期試験(5%),課題点(5%)および平常点(5%)を加えて学年成績とする.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業概要説明,物理化学とは?,ものの状態,物理的状態,力,エネルギー,圧力,物質量,示量性の性質と示強性の性質,濃度の表し方,反応の量論関係,偏導関数 ものの状態,物理的状態,力,エネルギー,圧力,物質量,示量性の性質と示強性の性質,濃度の表し方,反応の量論関係,偏導関数について理解して説明できる
2週 状態方程式 気体の法則を理解して,理想気体の方程式を説明できる.
混合気体の分圧の計算ができる.
3週 気体運動論モデル 気体の分子運動論から,圧力を定義して,理想気体の方程式を証明できる.
4週 実在気体(1) 実在気体の特徴と状態方程式を説明できる
5週 実在気体(2) 臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる.
6週 エネルギーの保存 熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる.
7週 内部エネルギーとエンタルピー(1) 内部エネルギー,熱容量の定義と適用方法を説明できる.
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる.
8週 内部エネルギーとエンタルピー(2) 化合物の標準生成エンタルピーを計算できる.
エンタルピーの温度依存性を計算できる.
2ndQ
9週 前期中間試験 60点以上得点することができる
10週 前期中間試験の解説,物理変化 気体の等温,定圧,定容および断熱変化のΔU,W,Qを計算できる
11週 化学変化(1) 化学反応でのエントロピー変化を計算できる.
12週 化学変化(2) 化学反応でのエントロピー変化を計算できる.
13週 エントロピー(1) 熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる
14週 エントロピー(2)
化学反応でのエントロピー変化を計算できる.
15週 期末試験の解説,エントロピー(3)
純物質の絶対エントロピーを計算できる.
16週
後期
3rdQ
1週 ギブズエネルギー 化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる.
2週 化学ポテンシャル 化学ポテンシャルについて理解し,説明できる
3週 相転移の熱力学 反応における自由エネルギー変化より,平衡定数・組成を計算できる.
4週 相図(1) 純物質の状態図(P-V,P-T)を理解して,蒸気圧曲線を説明できる.
5週 相図(2) 相律の定義を理解して,純物質,混合物の自由度(温度,圧力,組成)を計算し,平衡状態を説明できる.
6週 混合物の熱力学的記述(1) 混合物の熱力学を理解し説明できる
7週 混合物の熱力学的記述(2) 混合物の熱力学を理解し説明できる
8週 後期中間試験 60点以上得点することができる
4thQ
9週 後期中間試験の解説,混合物の相図(1) 2成分の状態図(P-x,y,T-x,y)を理解して,気液平衡を説明できる.
10週 混合物の相図(2) 2成分の状態図(P-x,y,T-x,y)を理解して,気液平衡を説明できる.
11週 熱力学的な裏付け(1) 均一反応の平衡を説明できる.
12週 熱力学的な裏付け(2) 平衡定数の温度依存性を計算できる.
13週 熱力学的な裏付け(3) 不均一反応の平衡を説明できる.
14週 諸条件による平衡の移動 平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる.
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる.
15週 束一的性質 束一的性質を説明できる.
蒸気圧降下,沸点上昇により,溶質の分子量を計算できる
凝固点降下と浸透圧より,溶質の分子量を計算できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。5前2
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。5前3
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。5前4
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。5前5
混合気体の分圧の計算ができる。5前2
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。5後4
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。5後9
束一的性質を説明できる。5後15
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。5後15
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。5後15
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。5後6
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。5前6
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。5前7
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。5前11
エンタルピーの温度依存性を計算できる。5前8
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。5前8
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。5後14
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。5後14
均一および不均一反応の平衡を説明できる。5後11,後13
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。5前13
純物質の絶対エントロピーを計算できる。5前15
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。5前14
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。5後1
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。5後3
平衡定数の温度依存性を計算できる。5後12
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。5前10

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合85005010100
物理化学Ⅰ85005010100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000