無機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 無機化学Ⅰ
科目番号 0097 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 合原眞 著「新しい基礎無機化学」 (三共出版), David w. Ball著「ボール 物理化学」第2版 (化学同人)
担当教員 西野 純一

到達目標

 物質を構成する基本単位である様々な元素の性質を理解し,各元素が持つ特異な性質が原子核を取りまく電子の様々な振る舞いによることを周期表と関連付けて説明できること.また,固体化学(結晶化学)の基本的概念を理解し,説明できること.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
元素に関する理解度教科書等を見ずに主要な元素およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できる.教科書等を見れば,主要な元素およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できる.教科書等を見ても主要な元素およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できない.
固体化学に関する理解度教科書等を見ずに固体化学について説明できる.教科書等を見れば固体化学について説明できる.教科書等を見ても固体化学について説明できない.
初歩的な電気化学に関する理解度教科書等を見ずに初歩的な酸化還元,電池,電気分解について説明できる.教科書等を見れば初歩的な酸化還元,電池,電気分解について説明できる.教科書等を見ても初歩的な酸化還元,電池,電気分解について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
教科書中心の講義であるが,必要に応じてプリントを配布し学生の理解の補助とする.具体的な演習問題も適宜行うことで,理論の具体性を持たせる.
授業の進め方・方法:
教科書中心の講義であるが,必要に応じてプリントを配布し学生の理解の補助とする.具体的な演習問題も適宜行うことで,理論の具体性を持たせる.
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業概要説明,固体化学への導入,専門基礎Ⅰの復習(化学の発展,現在の無機化学,諸単位,化学用語,濃度,量子論) 無機化学の内容・領域を理解し説明できること.
無機化学を学ぶ上での基礎的知識および化学で使用される濃度の内容を理解し説明できること.
2週 金属結合,イオン結合,専門基礎Ⅰの復習(原子の誕生,原子の構成粒子と種類) 原子の概念を理解し,電子の軌道,電子配置および原子の性質と周期性について説明できること.
3週 共有結合と分子間結合,専門基礎Ⅰの復習(原子模型) 共有結合と分子間結合について説明できる.
4週 格子と単位格子,専門基礎Ⅰの復習(前期量子論と原子構造) 固体化学(結晶化学)の基本的概念を理解し,結晶の構造および構造の安定性がどの様な因子によって支配されるかについて説明できること.
5週 ブラベ格子,専門基礎Ⅰの復習(原子の電子配置と電子の相互作用) 14個のブラベ格子を描き説明できる.
主量子数,方位量子数,磁気量子数について説明できる.
6週 結晶面とミラー指数,専門基礎Ⅰの復習(周期表と原子の性質) ミラー指数,方位指数について説明できる.
電子殻,電子軌道,電子軌道の形を説明できる.
7週 結晶面とX線回折,専門基礎Ⅰの復習(化学結合の初期理論,原子価結合法),演習 ブラッグの法則について説明できる.
化学結合について説明できる.
8週 前期中間試験 60点以上得点できる
2ndQ
9週 前期中間試験の解説,金属の結晶構造,専門基礎Ⅰの復習(混成軌道,多重結合と混成軌道) 最密充填格子等の金属の結晶構造について説明できること
10週 イオン結晶の構造, 専門基礎Ⅰの復習(非共有電子対と二重結合を含む分子の型) イオン結晶の構造および原子半径と配位数の関係についてあらかた説明できること.
11週 その他の結晶構造,専門基礎Ⅰの復習(分子軌道法) 分子結晶等について説明できること.
12週 結晶の不完全性,多結晶,焼結体とアモルファス,専門基礎Ⅰの復習(共有結合と結合の極性およびイオン性) 点欠陥,線欠陥,面欠陥について説明できること.焼結体とアモルファスについて説明できること.
13週 身近な無機材料と先進的セラミックス(1),専門基礎Ⅰの復習(イオン結合,金属結合) セラミックス(ガラス,半導体等),金属材料,炭素材料,半導体材料,複合材料等から,生活および産業を支えるいくつかの重要な無機材料の用途・製法・構造等について理解できる.
14週 身近な無機材料と先進的セラミックス(2),専門基礎Ⅰの復習(分子間に働く力),演習 分子間力(ファンデルワールス力)について説明できること.
15週 前期期末試験の返却と解説,電気化学1(酸化還元,電池,電気分解) 酸化還元,電池,電気分解について理解できること.
16週
後期
3rdQ
1週 水素,演習 水素のおよびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること
2週 1族元素, 2族元素,演習 1,2族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
3週 12族元素,13族元素,演習 12族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
4週 14族元素,演習 14族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
5週 15族元素,演習 15族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
6週 16族元素,演習 16族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
7週 17族元素,18族元素,演習 17,18族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
8週 後期中間試験 60点以上得点できること
4thQ
9週 後期中間試験の解説,3族元素,4族元素 3,4族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
10週 5族元素,6族元素,演習 5,6族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
11週 7族元素,8族元素,演習 7,8族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
12週 9族元素,10族元素,演習 9,10族元素単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
13週 11族元素,希土類元素,アクチノイド,演習 11族元素,希土類元素,アクチノイドの単体およびその主要な化合物に関しての化学的,物理的性質について説明できること.
14週 電気化学2(酸化還元,電池,電気分解) 酸化還元,電池,電気分解について説明できること.
15週 まとめの演習 第1週から第14週の内容について復習し,まとめられること.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。5前5
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。5前5
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。5前5
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。5前5
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。5前6
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。5前6
イオン結合と共有結合について説明できる。5前6
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。5前1
金属結合の形成について理解できる。5前2
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。5前7
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。5前3
各種無機材料の機能発現や合成反応を結晶構造、化学結合、分子軌道等から説明できる。5前9
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。5前7
配位結合の形成について説明できる。5前14
水素結合について説明できる。5前14
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。5前7,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13
セラミックス(ガラス、半導体等)、金属材料、炭素材料、半導体材料、複合材料等から、生活及び産業を支えるいくつかの重要な無機材料の用途・製法・構造等について理解している。5前13
現代を支える代表的な新素材を例に、その機能と合成方法、材料開発による環境や生命(医療)等、現代社会への波及効果について説明できる。5前14

評価割合

試験発表相互評価平常点ポートフォリオ課題合計
総合評価割合9000505100
基礎的能力00050510
専門的能力900000090
分野横断的能力0000000