物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 0114 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 ボール 物理化学 上 第二版  および プリント
担当教員 西野 純一

到達目標

物理化学に関する基礎事項について,必要な専門知識を把握できる能力を育成するために,主として物質とエネルギーを基礎として,熱力学と化学平衡について理解させることを目標とする.
・ 原子・分子の立場から,気体の性質の各種計算ができる.
・ 溶液論の理想希薄溶液としての束一的性質を理解し,分子量の計算等応用できる.
・ 熱力学第1,2,3法則を理解し,自然の方向,熱化学.各種エネルギーの計算ができる.
・ 化学ポテンシャルを理解し,化学平衡定数を導き,質量作用の法則・ルシャトリエの法則を応用できる.
・ 相律を用いて相平衡を説明でき,相平衡の基礎式を計算に応用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
物理化学に関する理解度物理化学に関する理解度が高く,原理,法則を理解でき、適切な説明や解析がよくできる.物理化学に関する原理,法則を理解でき、適切な説明や解析ができる..物理化学に関する原理,法則を理解できず、適切な説明や解析ができない.
総合評価得点評価80点以上評価70点以上評価59点以下

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学熱力学を中心とし,化学ポテンシャル,化学平衡論,束一的性質および気体の分子運動論に関する講義である.
授業の進め方・方法:
化学熱力学を中心とした講義である.必要に応じて,プリントを配布し学生の理解の補助とする.具体的な演習問題も適宜行うことで,理論の具体性を持たせる.
注意点:
学習教育目標: 本科(準学士課程)RB2(◎)
評価方法: 最終成績評価式=0.85×定期試験得点+0.05×平常点+0.05×課題レポート点+0.05×不定期試験
定期試験得点の評価割合: 前期中間確認(15%),前期期末試験(15%),後期中間確認(15%),後期期末試験(40%)
評価基準: 最終成績が100点満点中で60点以上を合格とする

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業概要説明,物理化学とは?,系,外界と状態,熱力学第零法則,偏導関数と気体の法則 系,外界と状態,熱力学第零法則,偏導関数と気体の法則について理解して説明できる.気体の法則を理解して,理想気体の方程式を説明できる.
2週 非理想気体 実在気体の特徴と状態方程式を説明できる
混合気体の分圧の計算ができる.
3週 さらに導関数について,特に定義されている二,三の導関数について,分子レベルでの熱力学 気体の分子運動論から,圧力を定義して,理想気体の方程式を証明できる.
4週 熱力学第一法則,仕事と熱,内部エネルギーと熱力学第一法則 熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる.
内部エネルギーの定義と適用方法を説明できる.
気体の等温,定圧,定容および断熱変化のΔU,W,Qを計算できる
5週 状態関数,エンタルピー,状態関数の変化,ジュールとムソン係数 エンタルピーの定義と適用方法を説明できる.
6週 熱容量について,相の変化,化学変化 熱容量の定義と適用方法を説明できる.
化合物の標準精製エンタルピーを計算できる.
7週 温度の変化,生化学反応,まとめ エンタルピーの定義と適用方法を説明できる.
8週 熱力学第一法則の限界,カルノーサイクルと熱効率 化合物の標準生成エンタルピーを計算できる.
エンタルピーの温度依存性を計算できる.
2ndQ
9週 前期中間試験 60点以上得点することができる
10週 前期中間試験の解説,エントロピーと熱力学第二法則 可逆過程でのエントロピー変化について計算できる.
11週 さらにエントロピーについて 化学反応でのエントロピー変化を計算できる.
12週 系の秩序と熱力学第三法則化学反応のエントロピー,まとめ 純物質の絶対エントロピーを計算できる
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる
13週 自発条件,ギブズエネルギーとヘルムホルツエネルギー 化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる
14週 自然な変数の式と偏導関数,マクスウェルの関係式 マクスウェルの関係式を導出できる
15週 期末試験の解説,マクスウェル関係式の使い方,特にギブズエネルギー変化について 化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる
16週
後期
3rdQ
1週 化学ポテンシャルとその他の部分モル量,フガシティー 化学ポテンシャルについて理解し,説明できる
2週 化学平衡,平衡,化学平衡 平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる.
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる.
均一反応の平衡を説明できる。
3週 化学平衡,溶液と凝縮相,平衡定数の変化,,ルシャトリエの法則,アミノ酸の平衡 反応における自由エネルギー変化より,平衡定数・組成を計算できる.
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる.
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる.
4週 一成分系における平衡,一成分系,相変化,クラペイロンの式,気相効果 純物質の状態図(P-V,P-T)を理解して,蒸気圧曲線を説明できる.
5週 状態図と相律,自然な変数と化学ポテンシャル,自然な変数と化学ポテンシャル 相律の定義を理解して,純物質,混合物の自由度(温度,圧力,組成)を計算し,平衡状態を説明できる.
6週 後期中間試験の解説,多成分系における平衡,ギブズの相律,液体/液体系 相律の定義を理解して、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる.
7週 非理想二成分溶液,液体/気体系とヘンリーの法則 2成分の状態図(P-x、y, T-x,y)を理解して、気相平衡を説明できる.
8週 後期中間試験
60点以上得点することができる
4thQ
9週 液体/固体溶液,固溶体 相律の定義を理解して、純物質,混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる.
均一および不均一反応の平衡を説明できる。
10週 束一的性質,凝固点降下 束一的性質を説明できる.
凝固点降下により,溶質の分子量を計算できる
11週 沸点上昇,浸透圧,まとめ 束一的性質を説明できる.
蒸気圧降下,沸点上昇および浸透圧より,溶質の分子量を計算できる.
12週 気体運動論,気体運動論の仮定と気体の圧力 気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる.
13週 気体運動論,気体粒子の速度の定義と分布 気体粒子の速度の定義とマクスウェルボルツマン分布を説明できる.
14週 気体運動論,気体粒子の衝突,噴散と拡散
平均自由行程,グラハムの法則について説明できる.
15週 不均一反応の平衡 不均一反応の平衡を説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4前1
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。4前3,後12
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。4前2
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。4前2
混合気体の分圧の計算ができる。4前1
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4後4
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。4後7
束一的性質を説明できる。4後10,後11
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。4後11
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。4後10,後11,後15
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。4後6,後9
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4前4
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4前5
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4前6
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4前7
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4前4,前6
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4後2,後3
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4後3
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4後2,後9,後15
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4前10
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4前12
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4前11
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4前13
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4後2,後3
平衡定数の温度依存性を計算できる。4後3
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4前4

評価割合

定期試験発表相互評価平常点課題点不定期試験合計
総合評価割合8500555100
基礎的能力00055515
専門的能力850000085
分野横断的能力0000000