到達目標
(1)本講義は、現代社会の様々な問題が焦点を結ぶ「身体」を主題として哲学史に関する知識を伝授するとともに、人間社会における現代的な問題
について受講生に「考えるヒント」を与えることを目指す。
(2)人間社会における現代的な問題や、19世紀以降の世界の文化と社会の特質について、哲学史や文化史、先人の思想から考察することができる。
(3)受講生は様々な価値観を多様な観点から検討・考察し、文章にまとめることができる。
(4)個人の尊厳や平等、基本的人権、異なる文化・社会を尊重することの重要性について考察できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
「身体」を主題として哲学史に関する知識を理解する | 「身体」を主題として哲学史に関する知識を理解する | 「身体」を主題として哲学史に関する知識を概ね理解する | 「身体」を主題として哲学史に関する知識をほとんど理解できない |
史や文化史、先人の思想から考察することができる | 人間社会における現代的な問題や、19世紀以降の世界の文化と社会の特質について、哲学史や文化史、先人の思想から考察することができる | 人間社会における現代的な問題や、19世紀以降の世界の文化と社会の特質について、哲学史や文化史、先人の思想から考察することが概ねできる | 人間社会における現代的な問題や、19世紀以降の世界の文化と社会の特質について、哲学史や文化史、先人の思想からほとんど考察することができない。 |
受講生は様々な価値観を多様な観点から検討・考察し、文章にまとめることができる。
| 受講生は様々な価値観を多様な観点から検討・考察し、文章にまとめることができる。
| 受講生は様々な価値観を多様な観点から検討・考察し、文章にまとめることが概ねできる。
| 受講生は様々な価値観を多様な観点から検討・考察し、文章にまとめることがめったにできない。
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個人の尊厳や平等、基本的人権、異なる文化・社会を尊重することの重要性について考察できる | 個人の尊厳や平等、基本的人権、異なる文化・社会を尊重することの重要性について考察できる | 個人の尊厳や平等、基本的人権、異なる文化・社会を尊重することの重要性について概ね考察できる | 個人の尊厳や平等、基本的人権、異なる文化・社会を尊重することの重要性についてほとんど考察できない |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 RA1
説明
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JABEE JA1
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教育方法等
概要:
西洋哲学史や諸地域の宗教・文化の歴史において、「身体」がどのように論じられてきたのか、できるだけ多角的な視点や話題を紹介しつつ講義する。「内と外」「個人と社会」「包摂と排除」の境界に現れ、現代社会の様々な問題が焦点を結ぶ「身体」という主題に着目することによって、受講者には、生命、動物、視覚、機械、経済、医療、間文化性などのさまざまな事柄について各自の観点から考察してもらう。
次のことができるようになるよう、真剣に受講することを望む。
・西洋哲学史や諸地域の宗教・文化の歴史において、「身体」がどのように論じられてきたのか、多面的に認識できる。
・「内と外」「個人と社会」の境界、人間社会への「包摂と排除」の境界に現れる様々な事柄(生命、動物、視覚、機械、経済、医療、間文化性、科学技術の発達、国際的な移民の増加、マスメディアの発達など)について各自の観点から考察し、文章にまとめることができる。
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で、教科書は用いず、レジュメおよびテキストは授業ごとに適宜配布する。また、講義の理解や思索の深化を促すために、毎講義ごとにコミュニケーションペーパーを用いる。コミュニケーションペーパーでは、講義内容と関連する哲学的な問題に関して論述し、各自の思索を深める。中間には講義内容をまとめる小レポートを課す。期末には講義内容を前提として、各自の哲学的思考を求めるレポートを課す。
注意点:
テストは行わず、コミュニケーションペーパー(60%)とレポート(中間10%、期末30%)にて評価するため、提出物が滞らないように注意すること。100点満点で60点以上を合格とする。また、本講義は身体を主題として哲学史に関する知識を伝授するとともに、受講者に現代的な諸問題について考えるヒントを与えることを目指している。そのため、授業には積極的に参加し、コミュニケーションペーパーに何を書くか、簡単にでも頭に浮かべて講義に臨む必要がある。コミュニケーションペーパーの内容があまりに不足している場合は評価しないので注意すること。また、レポートでは(コミュニケーションペーパーも同様であるが)、自分の意見と他人の意見を明確に区別し、引用や参考文献については明記するなどの最低限の形式を厳守する必要がある。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
導入講義 (哲学思想と身体) Ⅰ生・動物の包摂と排除 |
シラバスの説明 身体という根本現象 知の逆説 極限状況 ホモ・サケルなどについて理解し、人間とはどのような存在か考察できる。
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2週 |
Ⅰ生・動物の包摂と排除 |
ゾーエ ビオス 人権などについて理解し、国際平和の推進について考察できる。
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3週 |
Ⅰ生・動物の包摂と排除 |
アリストテレスにおける心身関係 人間学機械 人間の定義について理解し、人間とはどのような存在と考えられてきたかについて理解できる。
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4週 |
Ⅰ生・動物の包摂と排除 Ⅱ牢獄としての身体と精神 |
エピステーメー 動物 野生児 デカルトにおける狂気と身体 狂人の解放などを理解し、諸思想や諸宗教において、好ましい社会と人間のかかわり方について、好ましくないかかわり方から理解できる。
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5週 |
Ⅱ牢獄としての身体と精神 |
パノプティコン ソーマ・セーマ理論 プラトンにおける心身関係などを理解し、諸思想や諸宗教において、人としていかに生きるべきと考えられてきたかについて批判的に理解できる。
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6週 |
Ⅲ視覚の幾何学化 |
精神の眼の伝統 反視覚中心主義などを理解し、身体に注目して哲学者やその他の思想を用いて社会と個人のかかわり方について理解できる
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7週 |
Ⅲ視覚の幾何学化 Ⅳ身体の機械論 |
デカルトの心身の実在的区別、人間機械論などを理解し、科学技術のあり方についてのさまざまな考え方について理解できる
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8週 |
中間まとめ Ⅳ身体の機械論 |
心身の実体的合一 医学と道徳 機械と環境 物神崇拝 消費社会などについて理解し、現代の特質について理解できる。
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4thQ |
9週 |
Ⅳ身体の機械論 Ⅴ集合体としての身体 |
速度 意志なき身体 無頭人 政治的身体 栄光の身体 サルクスなどを理解し、集合体としての身体に注目して社会と個人のかかわり方についてどのように考えられてきたか考察できる
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10週 |
Ⅴ集合体としての身体 Ⅵ医療化における身体と社会 |
生権力 人口 医療化 医原病 清潔 衛生などを理解し、諸思想や諸宗教において、社会と個人のかかわり方についてどのように考えられてきたか理解できる
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11週 |
Ⅵ医療化における身体と社会 Ⅶ病人の包摂と排除 |
病人の役割理論 健康 生き抜く体験 などを理解し、病人をめぐって社会と個人のかかわり方について、のぞましい技術のあり方について理解できる
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12週 |
Ⅶ病人の包摂と排除 |
現象学的還元 キネステーゼ 生活世界 世界への手がかり ゲシュタルト 自然的判断などについて理解し、社会に調和した技術のあり方について、医療を例にして理解できる。
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13週 |
Ⅷ身体の比喩と文化 |
隠喩としての病 疾病体質 侵入者などを理解し、文化の多様性を認識し、互いの文化を尊重することの大切さを理解できる
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14週 |
Ⅶ身体の比喩と文化 |
身体と言語 白い仮面 オリエンタリズムなどについて理解し、国際協力の課題について理解できる。
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15週 |
Ⅸ身体と自他の区別 まとめ |
ヴェール スカーフ事件 移民などについて理解し、身体を中心に社会と個人の関係について考察できる
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 3 | 後1,後2,後4,後8,後9,後10,後11,後14,後15 |
評価割合
| コミュニケーションペーパー | 中間小レポート | 期末レポート | 追レポート | | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 60 | 10 | 30 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 60 | 10 | 30 | 0 | 0 | 0 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |