物理化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物理化学Ⅲ
科目番号 0164 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 配布プリント,ボール物理化学 第2版(下)(化学同人)
担当教員 小泉 貞之,津田 良弘,常光 幸美

到達目標

前期の前半部分(電気化学)
(1) 伝導度や電極電位等の物理に関する知識が理解できること。
前期の後半部分(放射線概論)
(2) 地域社会を構築するという目的意識のもと、放射線が環境および人類に与える影響について理解できること。
(3) 放射線エネルギーを利用することにおいて、自然環境と人間社会との調和を図ることの必要性を認識できること。
(4) 技術者が社会に対して負うべき責任を明確に自覚した上で、放射線に関する学術団体が規定している倫理綱領を理解し、説明できること。
(5) 原子力燃料の再利用およびリサイクルによって成り立つ循環型社会について認識するだけでなく、原子力発電につても理解すること。
(6) 習得した放射線に関する基礎知識に基づいて、放射線の工学的現象を正しく理解し説明できること。
(7) 将来、「放射線取扱主任者」資格試験を受験する際の基礎的知識分野について説明できること。
後期
(8) 物理化学の巨視的な概念である熱力学の基礎に習熟し,物理化学的基礎知識・技術及びその応用である固体(結晶)と表面を正しく理解できること.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 伝導度や電極電位等の物理に関する知識が理解でき、説明ができる. 伝導度や電極電位等の物理に関する知識が理解できる.伝導度や電極電位等の物理に関する知識が理解できない.
評価項目2放射線に関し基礎知識および工学的現象を理解でき、必要な計算や説明ができる。放射線に関し基礎知識および工学的現象を理解でき、必要な計算ができる。放射線に関し基礎知識および工学的現象を理解できず、必要な計算や説明ができない。
評価項目3物理化学の巨視的な概念である熱力学の基礎に習熟し,物理化学的基礎知識・技術及びその応用である固体(結晶)と表面を十分正しく理解できる. 物理化学の巨視的な概念である熱力学の基礎に習熟し,物理化学的基礎知識・技術及びその応用である固体(結晶)と表面を正しく理解できる. 物理化学の巨視的な概念である熱力学の基礎に習熟しておらず,物理化学的基礎知識・技術及びその応用である固体(結晶)と表面を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
前期の前半部分は電気化学に関する基礎的問題や理論を学習する。前期の第1週から第7週の授業は、企業で電池の設計や表面処理などを担当していた者が担当する。前期の後半部分は原子力および放射線科学の分野では、核医学、トレーサー利用、放射線を利用した各種機器など多岐にわたり重要視されている。放射性核種や放射線の取り扱いでは、放射線による被曝を極力抑える必要があり、そのためには放射線に関する正しい知識が必要である。この講義では、放射線に関して入門的な事項を学び、将来、放射性核種や放射線を取り扱う必要が生じた際のより高度な学習の基礎とする。
後期は,物理化学に関する基礎事項について必要な専門知識を把握できる能力を育成するために,「物理化学Ⅰ・Ⅱ」において学習した物理化学の巨視的な概念である熱力学と化学平衡,反応速度論,量子力学の基礎の上に,特にその応用の領域である固体(結晶)と表面に関しても習得する.
授業の進め方・方法:
電気化学部分は教科書に沿って講義ならびに演習を行う.電気化学の基礎的な能力をつける。.放射線概論部分は、プリント(4~5枚/週)を中心に用いて講義を行う。このプリントには、空欄を持つ説明文が記載されており、講義中に説明しながら学生が記入する。また、計算演習問題があり、授業中には全てできないので次週までの宿題となる。更に、図やグラフが記載されており、学生がその図表を考察して、説明する文章課題も用意されている。次週の講義前に提出することとする。加えて、配布したプリントの内、p1~11およびp50~63は自学学習の範囲とする。
後期は,「物理化学Ⅰ・Ⅱ」の内容の復習を適宜行いながら,教科書に沿って講義ならびに演習を行う.
注意点:
低学年の無機化学や物理化学を基礎とすることから、各自復習をしながら学習すること。
環境生産システム工学プログラム:JB1(○),JB3(◎)
関連科目:物理化学Ⅱ(本科4年)
評価方法:前期の前半は中間試験で評価する。後半部分は、試験70%、発表20%、態度5%、その他5%で評価する。後期は中間試験と期末試験で評価する。前期の前半を25%、後半を25%、後期を50%で学年成績とする.なお,60点に達しない場合は課題の追加提出あるいは再試験を実施することもある.
評価基準:学年成績60点以上

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスの説明、電気化学の歴史 電気化学の歴史が説明できること。
2週 電極と電解液の界面構造 電極と電解液の界面構造について説明できること。
3週 電極反応の素過程と反応速度 電極反応の素過程と反応速度について説明できること。
4週 電荷移動過程 電荷移動過程について説明できること。
5週 物質移動過程,IR損の影響 物質移動過程,IR損の影響について説明できること。
6週 電極反応速度の測定法 電極反応速度の測定法について説明できること。
7週 電極触媒作用 電極触媒作用について説明できること。
8週 中間試験
2ndQ
9週 授業概要・シラバスの説明・序論・歴史・低学年での復習指導・放射壊変・壊変図 復習内容(線量、半減期、年代測定、X線吸収)について確認できること、放射壊変図および半減期と壊変定数の関係が説明できること。
10週 原子質量単位・結合エネルギー・質量欠損 原子質量単位、結合エネルギーおよび質量欠損について説明できること。
11週 放射平衡・永続平衡・過渡平衡・生物学的半減期・ミルキング 放射壊変、放射平衡について説明できること。放射平衡の応用としてミルキングが説明できること
12週 天然放射性壊変・中性子核反応・核分裂反応・核反応断面積・放射化分析 天然放射性核種や中性子の性質、その応用について説明できること。
13週 放射線と物質との相互作用・LET・RBE効果・加速装置・PET 放射線と物質の相互作用について説明できること。LET、RBE,PETについても説明できること。
14週 放射線の生物への作用・直接間接作用・フリーラジカル・体内被曝 放射線の生物への作用・直接間接作用・フリーラジカル・体内被曝について説明できること。
15週 放射性同位体の化学・ホットアトム・標識化合物・ラジオコロイド・RI製造・同位体希釈分析 放射性同位体の化学・ホットアトム・標識化合物・ラジオコロイド・RI製造・同位体希釈分析などについて説明できること。
16週 期末試験
後期
3rdQ
1週 授業概要・ガイダンス,シラバスの説明
固体-結晶について-
固体の種類

固体の種類を理解できる.
2週 結晶と単位格子,密度 結晶と単位格子,密度について理解できる.
3週 結晶構造の決定 結晶構造の決定について理解できる.
4週 ミラー指数 ミラー指数について理解できる.
5週 単位格子の変化 単位格子の変化について理解できる.
6週 イオン結晶の格子エネルギー イオン結晶の格子エネルギーについて理解できる.
7週 格子欠陥と半導体 格子欠陥と半導体について理解できる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 試験の返却と解答・解説
表面

表面(界面)とは何であるかを理解できる.
10週 液体の表面張力 液体の表面張力について理解できる.
11週 界面効果 界面効果について理解できる.
12週 表面にできる薄膜 表面にできる薄膜について理解できる.
13週 固体表面 固体表面について理解できる.
14週 被覆率と触媒作用 被覆率と触媒作用について理解できる.
15週 後期学習内容のまとめ
16週 後期期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学放射線の種類と性質を説明できる。4
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。4
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。4
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。4
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合9340102100
基礎的能力282000030
専門的能力652000067
分野横断的能力0001023