コンクリート構造学Ⅰ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 コンクリート構造学Ⅰ
科目番号 0045 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境都市工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 戸川一夫他 著:「コンクリート構造工学第5版」,森北出版
担当教員 蓑輪 圭祐

到達目標

本講義は,コンクリート構造の力学的側面の基本事項を学ぶことが主たるテーマである.
コンクリート構造物が荷重を受けたときの変形と破壊について,
(1) どういう現象が生じるのかを知ること
(2) なぜそのような現象が生じるのかを理解すること
(3) 現象を予測するための基礎理論を修得すること
を目的としている.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
コンクリート構造の特徴鉄筋コンクリート構造,プレストレストコンクリート構造の特徴を十分に理解し,説明ができる.鉄筋コンクリート構造,プレストレストコンクリート構造の特徴をある程度理解している.鉄筋コンクリート構造,プレストレストコンクリート構造の特徴を理解できていない.
現象の理解鉄筋コンクリートはりの曲げ破壊,せん断破壊についてメカニズムを十分に理解し,説明ができる.鉄筋コンクリートはりの曲げ破壊,せん断破壊についてメカニズムをある程度理解している.鉄筋コンクリートはりの曲げ破壊,せん断破壊についてメカニズムを理解できていない.
計算能力曲げモーメントを受けるコンクリートはりについて,曲げ耐力やせん断耐力などを様々な設計条件において求められる.曲げモーメントを受けるコンクリートはりについて,曲げ耐力やせん断耐力などをある程度の設計条件において求められる.曲げモーメントを受けるコンクリートはりについて,曲げ耐力やせん断耐力などを求められない.
コンクリート構造物の耐久性塩害や中性化が耐久性に及ぼす影響を十分に理解し,曲げひび割れ幅,塩化物イオン濃度についての照査ができる.塩害や中性化が耐久性に及ぼす影響をある程度理解し,曲げひび割れ幅,塩化物イオン濃度についての照査ができる.塩害や中性化が耐久性に及ぼす影響を理解できず,曲げひび割れ幅,塩化物イオン濃度についての照査ができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RB2 説明 閉じる
JABEE JB3 説明 閉じる
  RB2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
構造物が想定される荷重を受けた際に,どのような変形・破壊挙動をするのかを定性的・定量的に予測するための基礎を修得することを目的としている.
本講義は,コンクリート構造物の力学的挙動という客観的現象を対象としている.
本講義の範囲は単純明解な数学的仮定に基づいて取り扱われる問題が大半であるので,理論と考え方の理解に努められる講義内容とする.
授業の進め方・方法:
座学による講義を中心に,講義内容に応じて演習問題を行う.なお,外部講師による出前講座を開講する場合がある.
注意点:
【学習・教育目標】
本科(準学士課程):RB2(◎)
環境生産システム工学プログラム:JB3(◎)
【関連科目】
構造力学Ⅰ(本科2年),建設材料学Ⅰ(本科2年),構造力学Ⅱ(本科3年),建設材料学Ⅱ(本科3年),環境都市工学実験実習Ⅱ(3年),施工管理学(本科4年),環境都市工学実験実習Ⅲ(本科4年),コンクリート構造学Ⅱ(本科5年),建設構造・材料学(専攻科1年)
【評価方法】
レポート課題20%,計4回の定期試験の成績各20%(計80%)の合計100%で評価する.
成績が評価基準に満たない者がいる場合,学年末に再試験を実施する.
【評価基準】
成績評価で60%以上を合格とする.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
基礎事項の復習
シラバスに基づく年間授業計画の説明を行う.
基礎事項として,構造力学Ⅰ(支点反力と断面力)および構造力学Ⅱの内容(材料の応力とひずみ,たわみ)を復習する.
2週 コンクリート構造の種類とその特徴 コンクリート構造の種類とその特徴を理解する.
3週 曲げモーメントを受けるRCはりの挙動 (1)
単鉄筋長方形断面
曲げモーメントを受けるRCはりの典型的な変形・破壊性状について,段階的に理解する.
第Ⅰ段階:載荷開始~曲げひび割れ発生直前
第Ⅱ段階:曲げひび割れ発生後~主鉄筋降伏
第Ⅲ段階:主鉄筋降伏後~コンクリート上縁圧壊(終局状態)
4週 曲げモーメントを受けるRCはりの挙動 (2)
単鉄筋長方形断面
各材料の応力-ひずみ関係のモデル化を理解する.
RCはりの曲げ解析における計算仮定を理解する.
5週 曲げモーメントを受けるRCはりの挙動 (3)
単鉄筋長方形断面
第Ⅰ段階における計算方法を理解する.
曲げひび割れ発生モーメントの計算方法を理解する.
6週 曲げモーメントを受けるRCはりの挙動 (4)
単鉄筋長方形断面
第Ⅱ段階における計算方法を理解する.
中立軸の位置の計算方法を理解する.
降伏モーメントの計算方法を理解する.
任意の主鉄筋の応力になるときの曲げモーメントが計算できる.
任意の曲げモーメントが作用したときの主鉄筋の応力が計算できる.
7週 曲げモーメントを受けるRCはりの挙動 (5)
単鉄筋長方形断面
第Ⅲ段階における計算方法を理解する.
終局モーメントの計算方法を理解する.
等価応力ブロックについて理解する.
載荷開始から終局状態までの曲げモーメントー曲率関係を描くことができる.
8週 前期中間試験 前期中間試験を実施する.
試験内容:曲げを受けるRCはりに関する計算
2ndQ
9週 RCはりの釣合鉄筋比と曲げ破壊モード 釣合鉄筋比について理解する.
曲げ破壊モード(曲げ引張破壊・釣合破壊・曲げ圧縮破壊)とその特徴について理解する.
10週 コンクリート構造の耐久性に関する検討 (1)
曲げひび割れ幅
ひび割れ間隔の計算方法を理解する.
曲げひび割れ幅算定式について理解する.
11週 コンクリート構造の耐久性に関する検討 (2)
塩化物イオンの侵入による鋼材腐食
かぶりについて理解する.
鉄筋位置における塩化物イオン濃度が計算できる.
12週 コンクリート構造の耐久性に関する検討 (3)
中性化による鋼材腐食
中性化について理解する.
中性化速度係数・中性化深さが計算できる.
13週 プレストレストコンクリート (1) PC構造の特徴およびプレストレスの導入方法について理解する.
14週 プレストレストコンクリート (2) プレストレス力が計算できる.
プレストレスの有効率が計算できる.
15週 プレストレストコンクリート (3) デコンプレッション状態になる曲げモーメントが計算できる.
曲げひび割れ発生モーメントが計算できる.
16週 前期期末試験 前期期末試験を実施する.
試験内容:曲げを受けるRC・PCはりに関する計算
後期
3rdQ
1週 RCはりのせん断破壊 (1) RCはりのせん断破壊の特徴を理解する.
斜めひび割れの発生メカニズムを理解する.
2週 RCはりのせん断破壊 (2) RCはりのせん断耐力算定方法を理解する.
コンクリートが受け持つせん断耐力が計算できる.
3週 RCはりのせん断破壊 (3) RCはりのせん断耐力算定方法を理解する.
せん断補強筋が受け持つせん断耐力が計算できる.
4週 曲げモーメントを受けるRCはりの挙動 (6)
単鉄筋T型断面
単鉄筋T型断面における計算方法を理解する.
中立軸がT型断面のフランジ内にある場合について計算できる.
5週 曲げモーメントを受けるRCはりの挙動 (7)
単鉄筋T型断面
単鉄筋T型断面における計算方法を理解する.
中立軸がT型断面のウェブ内にある場合について計算できる.
6週 RCはりの曲げによる変形 (1) ひび割れが発生したRCはりの短期の曲げによる変位の計算方法を理解する.
換算断面二次モーメントが計算できる.
7週 RCはりの曲げによる変形 (2) ひび割れが発生していないRCはりの長期の変位の計算方法を理解する.
有効弾性係数,クリープ係数について理解する.
8週 後期中間試験 後期中間試験を実施する.
試験内容:曲げモーメントを受けるRCはりの曲げ耐力,せん断耐力,変形に関する計算
4thQ
9週 曲げモーメントを受けるRCはりの挙動 (8)
複鉄筋長方形断面
複鉄筋長方形断面における計算方法を理解する.
圧縮側の鉄筋が降伏している場合について計算できる.
10週 曲げモーメントを受けるRCはりの挙動 (9)
複鉄筋長方形断面
複鉄筋長方形断面における計算方法を理解する.
圧縮側の鉄筋が降伏していない場合について計算できる.
11週 曲げモーメントを受けるRCはりの挙動 (10)
複鉄筋長方形断面
複鉄筋長方形断面における計算方法を理解する.
引張側と圧縮側の鉄筋の物性値と配筋量が同一である場合について計算できる.
12週 許容応力度設計法
限界状態設計法 (1)
許容応力度設計法について理解する.
限界状態設計法について理解する.
13週 限界状態設計法 (2) 要求性能と限界状態について理解する.
各種安全係数,性能照査について理解する.
14週 一般構造細目 一般構造細目について理解する.
15週 コンクリート構造物の維持管理 コンクリート構造物の維持管理,非破壊検査,補修,補強の基礎について理解する.
16週 後期期末試験 後期期末試験を実施する.
試験内容:全範囲

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野材料鋼材の種類、形状を説明できる。4前2,前4
鋼材の力学的性質(応力-ひずみ関係、降伏強度、引張強度、弾性係数等)を説明できる。4前2,前4
コンクリートの長所、短所について、説明できる。4前2
非破壊試験の基礎を説明できる。4後15
硬化コンクリートの力学的性質(圧縮強度、応力-ひずみ曲線、弾性係数、乾燥収縮等)を説明できる。4前2,前4,前14,後7
耐久性に関する各種劣化要因(例、凍害、アルカリシリカ反応、中性化)を説明できる。4前11,前12
プレストレストコンクリートの特徴、分類について、説明できる。4前13,前14,前15
プレストレス力の算定及び断面内の応力度の計算ができ、使用性を検討できる。4前13,前14,前15
コンクリート構造物の維持管理の基礎を説明できる。4後14,後15
コンクリート構造物の補修方法の基礎を説明できる。4後15
コンクリート構造の種類、特徴について、説明できる。4前2,後4,後9
コンクリート構造の代表的な設計法である限界状態設計法、許容応力度設計法について、説明できる。4後12,後13
曲げモーメントを受ける部材の破壊形式を説明でき、断面破壊に対する安全性を検討できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前9,後4,後5,後9,後10,後11
曲げモーメントを受ける部材の断面応力度の算定、使用性(ひび割れ幅)を検討できる。4前3,前4,前5,前6,前9,前10,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11
せん断力を受ける部材の破壊形式を説明でき、せん断力に対する安全性を検討できる。4後1,後2,後3

評価割合

試験課題レポート合計
総合評価割合8020100
専門的能力8020100