コンクリート構造学Ⅰ

科目基礎情報

学校 福井工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 コンクリート構造学Ⅰ
科目番号 0133 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境都市工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 戸川一夫他 著:「コンクリート構造工学」,森北出版 
担当教員 阿部 孝弘

到達目標

(1)地球環境を保全するために必要な環境改善へのコンクリート構造物の必要性を認識し,設計耐用期間中に自然災害等に有効に機能するために必要な構造物の設計体系を理解できること.
(2)コンクリート構造(RC,PC)の原理を理解すること.
(3)設計において重要なことは、「正確」ということであるから、教科書および各自のノートを参照すれば間違えずに計算ができ,計算結果を評価できること.
(4)単鉄筋長方形断面において,曲げモーメントおよびせん断を受ける部材の検討に用いる式についてはそれらの導出過程を理解できること.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
計算能力ノートを見ながら、教科書の演習問題程度以上の問題が解ける。ノートを見ながら、教科書の例題程度の問題が解ける。ノートがまとめられていない。
理論の理解どのような断面でも、関係式の導出過程をノートを見ながら組む立てていくことができる。単鉄筋長方形断面についての関係式の導出過程をノートを見ながら説明できる。力のつり合い、平面保持の仮定、材料の応力-ひずみ関係が理解できていない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 RB2 説明 閉じる
JABEE JB3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
現代の社会基盤を構成するコンクリート構造物の必要性およびその設計方法の考え方を習得する.特にこの授業では,土木学会「コンクリート標準示方書」に基づいて,コンクリート構造物の基本的な部材の設計方法を習得する.
授業の進め方・方法:
 この科目は、学修単位B(30時間の授業で1単位)の科目であるため、事前・事後学習としてレポートを実施します。授業においてはコンクリート構造物の設計に関する講義と演習を行ない,さらに,授業外学習のための課題を課します。例題等の問題の解答から必要事項の説明を行います。授業の順は教科書の順と異なる場合もあるが,内容は教科書に沿って行ないます。授業内容に対応した各項目が終わるごとに授業外学習課題を提示します。計算演習を行なうことが多いので,毎時間電卓を忘れないこと。
注意点:
【学習・教育目標】
本科(準学士課程):RB2(◎)
環境生産システム工学プログラム:JB3(◎)
【関連科目】
建設材料学(本科3年),構造力学Ⅱ(本科4年),施工管理学(本科4年),コンクリート構造学Ⅱ(本科5年),環境都市工学設計製図Ⅳ(本科4年)
【評価方法】
授業外学習に関する課題20%、期末試験80%で評価する.
【評価基準】
成績評価で60%以上を合格とする。ただし、学習意欲がありながら60%に満たない学生に対しては再試験を実施する。なお,試験は学期末試験のみ実施する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 コンクリート構造と設計法
曲げモーメントを受ける部材の概要
シラバスに基づく年間授業計画の説明、コンクリート構造と限界状態設計法、曲げモーメントを受ける部材の概要、断面の種類、曲げを受ける部材の挙動
2週 曲げモーメントを受ける部材の断面破壊の検討(単鉄筋長方形断面) 断面破壊の検討を理解する
・安全係数(材料係数,部材係数)・曲げ破壊形式(引張破壊,釣合破壊,圧縮破壊)・断面耐力の計算上の仮定・等価応力ブロックの考え方が必要な理由
3週 曲げモーメントを受ける部材の断面破壊の検討(単鉄筋長方形断面) 断面破壊の検討を理解し、計算できる
・等価応力ブロック
・単鉄筋長方形断面における設計曲げ耐力
・釣合い鉄筋比
・破壊形式の確認
・永続作用と変動作用
・安全係数(作用係数,構造解析係数,構造物係数)
・断面力と断面耐力
・安全性の照査方法
4週 曲げモーメントを受ける部材の使用性に関する検討(応力度算定) 使用性に関する検討を理解する
・応力度算定における計算上の仮定
・ヤング係数比
・中立軸の位置
・曲げ応力度(コンクリート,鉄筋)
5週 曲げモーメントを受ける部材の使用性に関する検討(ひび割れ幅) 使用性に関する検討を理解し、計算できる
・コンクリートの収縮とクリープ
・かぶりとあき
・ひび割れ幅の算定
・ひび割れ幅の限界値
6週 曲げモーメントを受ける部材の使用性に関する検討(変位・変形) 使用性に関する検討を理解し、計算できる
・短期たわみの算出方法
7週 曲げモーメントを受ける単鉄筋長方形断面の検討に関する確認 例題の復習
8週 前期中間学力確認 授業ノートの内容確認(例題,演習問題)
2ndQ
9週 曲げモーメントを受ける部材の断面破壊と使用性に関する検討(任意断面) 任意形状の断面における設計曲げ耐力と使用状態における曲げ応力度の算出法を理解する
10週 曲げモーメントを受ける部材の断面破壊と使用性に関する検討(複鉄筋長方形断面) 複鉄筋長方形断面における設計曲げ耐力理解し、計算できる
複鉄筋長方形断面における使用状態における曲げ応力度
11週 曲げモーメントを受ける部材の断面破壊と使用性に関する検討(短鉄筋T形断面) 単鉄筋T形断面における設計曲げ耐力を理解し、計算できる
単鉄筋T形断面における使用状態における曲げ応力度
12週 耐久設計 耐久設計を理解し、計算できる
・コンクリートの劣化の種類
・鋼材腐食に対する照査(塩化物イオン,中性化)
・ひび割れの照査
・塩害に対する照査
13週 耐久設計 耐久設計を理解し、計算できる
・中性化に伴う鋼材腐食に対する照査
・コンクリートの非破壊検査
14週 演習 前期授業ノートの確認(例題,演習問題等)
15週 前期期末試験
16週 前期の内容の振り返り 定期試験の解答解説,前期のまとめ
後期
3rdQ
1週 軸方向力を受ける部材 鉄筋コンクリート柱を理解し、計算できる
・鉄筋コンクリート柱の種類(らせん鉄筋柱,帯鉄筋柱)
・有効長さと細長比
・らせん鉄筋柱の軸方向圧縮耐力
・帯鉄筋柱の軸方向圧縮耐力
2週 曲げモーメントと軸方向力を受ける部材(その1) 偏心軸力を受ける部材 を理解し、計算できる
・偏心軸方向力と偏心距離
・相互作用図と破壊形式
・釣合破壊状態の偏心距離
3週 曲げモーメントと軸方向力を受ける部材(その2) 偏心軸力をうける部材 を理解し、計算できる
・曲げモーメントと軸方向力を受ける部材の安全性の照査
4週 曲げモーメントと軸方向力を受ける部材(その3) 偏心軸力を受ける部材の使用状態における曲げ応力度の算出方法を理解し、計算できる
5週 プレストレストコンクリート(PC)(その1) プレストレストコンクリートを理解し、計算できる
・PCの原理
・PCの分類
・プレストレスの与え方
6週 プレストレストコンクリート(PC)(その2) プレストレストコンクリートを理解し、計算できる
・PCの原理
・PCの分類
・プレストレスの与え方
7週 プレストレストコンクリート(PC)(その3) プレストレストコンクリートの安全性に関する照査方法を理解し、計算できる
8週 後期中間学力確認 授業ノートの内容確認(例題,演習問題)
4thQ
9週 せん断力を受ける部材(その1) 棒部材の設計せん断力及び応力度を理解し、計算できる
棒部材のせん断耐力
・斜めひび割れ
・せん断破壊形式
・主引張応力度
・せん断抵抗のメカニズム
10週 せん断力を受ける部材(その2) せん断補強鉄筋を有しない棒部材の設計せん断耐力を理解し、計算できる
・せん断補強鉄筋(スターラップ,折り曲げ鉄筋)
・せん断補強鉄筋が受け持つ設計せん断耐力
・腹部コンクリートの設計斜め圧縮耐力
・安全性の照査とせん断補強に関する検討事項
・構造細目
11週 せん断力を受ける部材(その3) 棒部材のせん断耐力を理解し、計算できる
・安全性の照査とせん断補強に関する検討事項
・構造細目
12週 せん断力を受ける部材(その4) 設計せん断圧縮破壊耐力を理解し、計算できる
面部材の設計押し抜きせん断耐力
13週 一般構造細目 鉄筋の曲げ形状,鉄筋の定着,鉄筋の継手等の鉄筋コンクリート構造物の一般構造細目を理解する
14週 後期内容の復習 後期授業ノートの確認(例題,演習問題等)
15週 後期期末試験
16週 後期授業の振り返り及びコンクリート構造学Ⅰの総括 期末試験の解答解説及びコンクリート構造物の今後

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野材料コンクリートの長所、短所について、説明できる。4前1
各種コンクリートの特徴、用途について、説明できる。4前1
非破壊試験の基礎を説明できる。4前13
硬化コンクリートの力学的性質(圧縮強度、応力-ひずみ曲線、弾性係数、乾燥収縮等)を説明できる。4前1,後5
耐久性に関する各種劣化要因(例、凍害、アルカリシリカ反応、中性化)を説明できる。4前12,前13
プレストレストコンクリートの特徴、分類について、説明できる。4後5
プレストレス力の算定及び断面内の応力度の計算ができ、使用性を検討できる。4後6,後7
コンクリート構造物の維持管理の基礎を説明できる。4前12,前13
コンクリート構造物の補修方法の基礎を説明できる。4前13
コンクリート構造の種類、特徴について、説明できる。4前2
コンクリート構造の代表的な設計法である限界状態設計法、許容応力度設計法について、説明できる。4前2,前3
曲げモーメントを受ける部材の破壊形式を説明でき、断面破壊に対する安全性を検討できる。4前2,前3,前9,前10,前11
曲げモーメントを受ける部材の断面応力度の算定、使用性(ひび割れ幅)を検討できる。4前2,前4,前5,前6,前9,前10,前11
せん断力を受ける部材の破壊形式を説明でき、せん断力に対する安全性を検討できる。4後9,後10,後11,後12

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオ合計
総合評価割合8020000100
基礎的能力000000
専門的能力8020000100
分野横断的能力000000