到達目標
学生が既に習得している古典力学とは大きく異なる思想や概念を持ち, 相対性理論とともに現代物理学を支え,貴重な文化遺産でもある量子論の初歩的な概念を学習し, 物性論,電子工学などの分野の基礎となる知識を習得する。それによって既成の概念に捉われずに異なる哲学や思想を取り入れる態度の育成も目指す。具体的には、物理現象の連続性,不確定性原理と確率解釈といった基礎概念を理解できること。シュレディンガー方程式で簡単な固有値問題をとけることで、調和振動子の零点エネルギー,トンネル現象,水素原子と角運動量,スピン,周期律などの量子力学のみが説明できる問題を理解するための素地を作ることを目標とする。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
量子力学の理解 | シュレーディンガー方程式、微分演算子、固有値の意味を理解できる。 | 教科書の記述を理解できる。簡単な一次元自由粒子の問題を理解できる。 | 教科書の文章は理解できるが、数式を理解できない。 |
量子力学の問題・課題解決 | 井戸型ポテンシャル、調和振動子など基本的な問題を解くことができる。 | 量子力学の諸問題について記述式の回答ができる。 | 問われている問題は理解できるが、適切にこたえることができない。 |
社会での応用の理解 | 量子力学が実用されている例を知っており、未学習者に説明できる。 | 社会での応用例を知っている。 | 何に応用されているかを理解していない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
量子力学の概念の理解に重点を置く。その形成の歴史を追うのではなく、原子の安定性,光や電子の干渉,光電効果などの解説を通じて不確定性原理と確率解釈を与える。シュレディンガー方程式をアプリオリに導入し、調和振動子など発展性の高い応用例になるべく多く適用して、古典力学からは得られない知識へ導くとともに、その結果が、基本原理のそれぞれの問題における表現となっていることを講義する。
授業の進め方・方法:
教科書を中心に、適宜補足説明用のプリントや、数値シミュレーションを補助教材として用いる。
注意点:
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
授業概要、光と物質の粒子性と波動性(1) |
シラバスの説明、ヤングの実験
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2週 |
光と物質の波動性と粒子性(2) |
光電効果、コンプトン効果
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3週 |
光と物質の波動性と粒子性(3) |
電子の粒子像と波動像
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4週 |
不確定性関係 |
不確定性関係
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5週 |
量子力学の基礎(1) |
解析力学(ハミルトニアンの導入)
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6週 |
量子力学の基礎(2) |
波動方程式、波動関数、演算子、シュレーディンガー方程式
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7週 |
重ね合わせの原理(1) |
重ね合わせの原理、波動関数と実験結果の予想
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8週 |
自由粒子の運動(1) |
自由粒子のシュレーディンガー方程式と変数分離、1次元の自由粒子
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4thQ |
9週 |
自由粒子の運動(2) |
エネルギー準位と波動関数、古典論との対応、周期境界条件
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10週 |
井戸型ポテンシャルの問題(1) |
1次元井戸型ポテンシャル
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11週 |
井戸型ポテンシャルの問題(2) |
解の形質
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12週 |
原子核(1) |
原子核の構造、放射性崩壊と崩壊系列
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13週 |
原子核(2) |
核反応と核エネルギー
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14週 |
一般的基礎 |
波動関数とシュレーディンガー方程式、演算子
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15週 |
学習のまとめ |
学習のまとめ 【授業で指定する課題のレポート作成】
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 160 | 0 | 0 | 0 | 0 | 40 | 200 |
基礎的能力 | 80 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 100 |
専門的能力 | 80 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |