到達目標
水力・火力・原子力の各発電方式における基本原理と電力発生に関わる技術が理解できること.また,電力の輸送効率を高める方法が理解でき,電力系統内で発生する諸現象について,また各電力設備の役割について示すことができること.これらの内容を満足することで,学習・教育目標(D-1)の達成とする.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
各種発電方法の発電原理 | 各種発電方法について,発電原理と対応技術について示すことができる. | 各種発電方法について,発電原理を示すことができる. | 各種発電方法について,発電原理が理解できない. |
電力輸送に必要な技術 | 電力輸送に必要な技術について示すことができる. | 大電力輸送に必要な事項を列挙することができる. | 電力輸送に必要な事項を示すことができない. |
電力系統に生じる様々な問題と対策 | 電力系統に生じる様々な問題と対策について理化できる. | 電力系統に生じる様々な問題を示すことができる. | 電力系統に生じる様々な問題を示すことができない. |
学科の到達目標項目との関係
(D-1)
説明
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産業システム工学プログラム
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教育方法等
概要:
電力発生,変換,輸送に関わる理論から応用技術までを扱う.電気工学で学んだ多岐にわたる知識を総合して,電力発生,変換および輸送の安全かつ効率的な電力利用を考え,電力システムの概念について理解を深める.
本科目は,企業で機器の制御に関わる業務を担当していた教員が,その経験を生かして,電力システム関わる事項について講義形式で授業を行うものである.
授業の進め方・方法:
・授業方法は講義を中心として,適宜,レポート課題を課すので,期限に遅れず提出すること.
・この科目は学修単位科目であり,授業時間30時間に加えて,自学自習時間60時間が必要である.事前・事後学習として自ら予習・復習を行うとともに,与えられた課題等に取り組む.
注意点:
<成績評価>試験(70%)およびレポート課題(30%)の合計100点満点で(D-1)を評価し,合計の6割以上を獲得した者を合格とする.
<オフィスアワー>放課後 16:00 ~ 17:00,電気電子工学科棟3F 春日教員室(連絡担当).この時間にとらわれず必要に応じて来室可.
<先修科目・後修科目>先修科目は電気機器となる.後修科目は自然エネルギーである.
<備考>本科目は電気工学の典型的な応用科目であり,電気回路や電磁気学を始めとする電気工学全般にわたる知識とともに,化学や物理学の基礎知識も必要とする.卒業後に認定によって「第二種電気主任技術者」の資格取得を目指す学生は必ず選択すること.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
電気事業の歴史(発電・送配電),火力発電の原理 |
電力需要の増加とともに発展してきた電力技術について示し,最近の電力需要に対する電力供給方法について説明できる.火力発電の構成と作動流体の循環について説明できる.
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2週 |
熱力学の基礎,熱サイクルと効率 |
熱力学第一・第二法則を理解し,火力発電に用いられる代表的な熱サイクルの効率を求めることができる.
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3週 |
火力発電設備,発電所の出力と燃焼 |
火力発電を行う上で必要となる設備を示すことができる.燃焼に必要な空気量と発生する二酸化炭素量,発電所の出力などの計算ができる.
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4週 |
原子力発電の原理と原子炉の構成要素 |
核分裂反応および反応の制御方法について説明できる.また,原子炉の構成要素とその役割について説明できる.
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5週 |
原子炉の種類 |
沸騰水形軽水炉(BWR)と加圧水形軽水炉(PWR)および将来の原子力発電方法(FBRなど)の違いを示すことができる.
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6週 |
核燃料サイクル,安全性の確保と環境 |
核燃料サイクル,原子力発電の安全性などについて説明できる.
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7週 |
水力発電原理と水力発電設備,水力学の基礎と発電所出力 |
河川の流量や落差による水のエネルギーの有効利用法を説明できる.流量,落差の変化に応じた水車発電機の出力を算出できる.
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8週 |
水車の種類と特徴,後期1週目から7週目までのまとめと確認 |
水車の種類と特徴について示すことができる.(演習)
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2ndQ |
9週 |
送電系統の構成と送電電圧,架空送電線路の構成と電線のたるみ |
送電電圧を高める理由が理解できる.架空送電線路の構成を説明でき,電線のたるみを計算できる.
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10週 |
雷現象などによる異常電圧と対策,風・雪・塩害対策,地中送電線路(電力ケーブル) |
鉄塔雷撃による鉄塔逆フラッシオーバの機構について説明できる.また,その他の気象現象に伴う事故と防止方法について説明できる.電力ケーブルの種類と特徴および敷設方法を示すことができる.
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11週 |
架空送電線路の抵抗,インダクタンス,キャパシタンスの計算,ねん架 |
架空送電線路の抵抗,インダクタンス,キャパシタンスを求めることができる.ねん架について理解できる.
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12週 |
送電線路の等価回路,電力円線図と調相(定電圧送電,調相設備) |
送電線路の等価回路を示すことができる.定電圧送電において,4端子定数を用いた電力円線図から調相を行う理由が理解できる.また,調相設備を列挙し,その特徴を示すことができる.
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13週 |
電力系統の安定度,異常電圧と絶縁,誘導障害 |
安定度の意味を示し,極限電力を超えた場合の現象について説明できる.内部異常電圧の発生原因および絶縁協調について説明できる.また,誘導障害の発生原因について説明できる.
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14週 |
故障計算と中性点接地方式 |
%インピーダンス法および対称座標法による発電機の基本式から短絡電流を導くことができる.中性点接地の種類と特徴について説明できる.
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15週 |
学年末達成度試験 |
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16週 |
電力工学のまとめ |
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評価割合
| 試験 | 小テスト | 平常点 | レポート | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 0 | 0 | 30 | 0 | 100 |
配点 | 70 | 0 | 0 | 30 | 0 | 100 |