到達目標
剛体の力学と熱力学の基礎的な概念を理解することが目標である。前者では,角運動量や力のモーメントを用いて,質点系および剛体の並進運動と回転運動を説明できること.後者では,温度や内部エネルギーなどの状態量,熱力学の第1法則,理想気体の状態変化と比熱について説明できること.これらの内容を満足することで,学習・教育目標の(C-1)の達成とする.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
剛体の力学に関する評価項目 | 角運動量や力のモーメントを用いて,質点系および剛体の並進運動と回転運動を説明することができる. | 角運動量や力のモーメントを用いて,質点系および剛体の並進運動と回転運動を説明することがある程度できる. | 角運動量や力のモーメントを用いて,質点系および剛体の並進運動と回転運動を説明することができない. |
熱力学に関する評価項目 | 温度や内部エネルギーなどの状態量,熱力学の第1法則,理想気体の状態変化と比熱について説明することができる. | 温度や内部エネルギーなどの状態量,熱力学の第1法則,理想気体の状態変化と比熱について説明することがある程度できる. | 温度や内部エネルギーなどの状態量,熱力学の第1法則,理想気体の状態変化と比熱について説明することができない. |
学科の到達目標項目との関係
(C-1)
説明
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産業システム工学プログラム
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教育方法等
概要:
(1)応用物理Iで学んだ質点の力学を発展させるとともに,角運動量を導入して,質点系(多数の質点が集まった多粒子系)と剛体(変形しない物体)の運動を扱う.(2)熱力学的な諸現象を把握するために,物体を構成する原子・分子という微視的な立場からの解釈を取り入れながら,系全体としての巨視的な物理量(とそれらの変化)の間の関係を記述する「現象論」を展開する.
授業の進め方・方法:
・授業方法は,講義を中心としながら,随所に例題演習(グループワークを含む)を取り入れる.節目には小テストを行うこともある.
・毎週,復習/確認用の問題で振り返る(要提出).適時,レポート課題を課すので,期限内に提出すること.
注意点:
<成績評価>試験(60%),授業中の問題演習・小テストおよびレポート課題(40%)の合計100点満点で(C-1)を評価し,評価結果60点以上を合格とする.
<オフィスアワー>水曜日 16:00~17:00,電気電子・機械工学科棟3F 313柳沼教員室(必要に応じて来室可).
<先修科目・後修科目>先修科目:物理Ⅰ,物理ⅠI,応用物理I
<備考>1〜3年次の物理や化学の学習内容が身に付いていること,数学(微分・積分,微分方程式,ベクトル,ベクトル解析,行列)が操れることを前提とする.各週の授業内容を整理・復習し,自分なりの理解をもつことが大切である.
なお,本科目は学修単位科目であり,授業時間30時間に加えて,自学自習時間60時間が必要となる.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
運動の微分方程式の復習 (教科書A:pp. 8-39) |
運動方程式を微分形式で表現し,代表的な運動(特に質量が変化する場合)に対して微分方程式を適用できる.
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2週 |
質点の回転運動 (教科書A:pp. 44-48) |
質点の回転運動を角運動量を用いて表現し,力のモーメントとの関係を理解できる.
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3週 |
角運動量に対する運動方程式 (教科書A:p. 46, p. 49) |
角運動量に対する運動方程式を理解し,角運動量保存の法則を説明できる.
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4週 |
2体系の力学 (教科書A:pp. 84-89, pp. 93-99) |
2体系の重心の意味を理解し,並進運動と回転運動を運動方程式を用いて説明できる.
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5週 |
質点系と剛体の力学 (教科書A:pp. 104-112) |
2体系の運動を拡張することで,質点系および剛体の重心の位置を計算し,並進運動と回転運動を説明できる.
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6週 |
剛体のつり合い (教科書A:pp. 114-115) |
剛体のつり合い条件を説明できる.それらの応用問題を解くことができる.
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7週 |
慣性モーメント (教科書A:pp. 49-51, pp. 113-114, pp. 116-120) |
剛体の慣性モーメントを理解し,平行軸の定理や直交軸の定理を説明できる.様々な剛体の慣性モーメントを計算できる.
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8週 |
剛体の固定軸まわりの運動 (教科書A:pp. 120-124) |
剛体の固定軸まわりの運動を理解し,滑車(輪軸)や実体振り子(物理振り子)の問題を解くことができる.
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4thQ |
9週 |
剛体の平面運動 (教科書A:pp. 120, pp. 124-125) |
斜面を転がる剛体の運動を説明できる.それらの応用問題を解くことができる.
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10週 |
熱と温度 (教科書B:pp. 10-18) |
熱と温度の違いを理解し,熱平衡や熱量保存,熱力学の第0法則を説明できる.
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11週 |
気体分子運動論 (教科書B:pp. 30-50) |
理想気体の状態方程式を理解し,気体の温度と分子の運動エネルギーとの関係,エネルギー等分配を説明できる.
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12週 |
熱力学の第1法則 (教科書B:pp. 52-57) |
内部エネルギーや準静的過程(可逆過程)などの概念を理解し,熱まで含めたエネルギー保存則を説明できる.
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13週 |
理想気体の状態変化と比熱 (教科書B:pp. 58-69) |
定積変化,定圧変化,等温変化,断熱変化のp-V図を理解し,理想気体の内部エネルギー,仕事,熱量の変化を求められる.定積モル比熱および定圧モル比熱と,気体分子の自由度との関係を説明できる.
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14週 |
熱機関 (教科書B:pp. 70-73) |
熱を仕事に変換する熱サイクルとして熱機関を理解し,熱効率を求めることができる.
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15週 |
学年末達成度試験 |
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16週 |
熱力学の第2法則 (教科書B:pp. 74-77) |
エントロピーを状態量として理解し,不可逆過程によってエントロピーが増大することを説明できる.
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評価割合
| 試験 | 小テスト | 平常点 | レポート | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 60 | 5 | 25 | 10 | 0 | 100 |
配点 | 60 | 5 | 25 | 10 | 0 | 100 |