到達目標
温度と熱の違いが説明できること.熱力学第1法則,第2法則が説明できエントロピーの概念が説明できること.統計力学の基本的取り扱いができる事,更に理想量子気体の振る舞いが説明できること.これらの内容を満足する事で,学習・教育目標の(C-1)の達成とする.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 熱量と温度の違いを統計力学から説明できる. | 熱量と温度の違いを分子運動論から説明できる. | 熱量と温度の違いが説明できない. |
評価項目2 | 気体の性質を統計力学から説明できる. | 気体の性質を説明できる. | 気体の性質が説明できない. |
評価項目3 | 量子力学系の物性を統計力学で説明できる. | 調和振動子系などの物性を統計力学で説明できる. | 量子力学系の物性を説明できない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
物性の理解のために,統計力学の基礎的な考え方を学ぶ.はじめに,熱力学の基礎,量子論の基礎的な概念を確認した後,熱,温度,エントロピーの概念を学ぶ.これらを統計力学的に再構成し,量子統計力学の基礎を学ぶ.
授業の進め方・方法:
・授業方法は講義を中心とし,演習問題や課題をだす.
・毎回,レポート課題を課すので,期限に遅れず提出すること.
なお,この科目は学修単位科目であり,授業時間30時間に加えて,自学自習時間60時間が必要である.事前・事後学習として課題等を与える.
注意点:
<成績評価>試験(50%),レポート課題・演習(50%)とし合計100点満点で目標(C-1)の達成度を評価する.評価結果60点以上を合格とする.
<オフィスアワー>毎週水曜日16:00~17:00,機械工学科棟3F 314物理教員室.この時間にとらわれず必要に応じて来室可.
<先修科目・後修科目>先修科目は応用物理I,応用物理II,および物性物理学となる.
<備考>応用物理I,応用物理II,および物性物理学の内容を理解していること共に,数学(偏微分,全微分,変分法,統計学)が自由に使えることが必要である.毎回の講義内容を整理・復習し,自分なりに理解する事が大切である.
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
温度と熱 |
熱量と温度の違いを説明できる.
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2週 |
分子運動論 |
分子運動論から熱と温度の違いとその意味を説明できる.
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3週 |
熱力学第1法則 |
エネルギー保存則としての熱力学第1法則を説明できる.
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4週 |
定積比熱と定圧比熱 |
理想気体の比熱を理解する.理想気体と実在気体の比熱の違いの原因を指摘することができる.
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5週 |
熱機関 |
カルノーサイクルの熱効率を求めながら、熱効率の物理的な意味を説明できる.
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6週 |
熱力学第2法則と熱力学的エントロピー |
熱力学におけるエントロピーの導出を理解する。エントロピーの熱力学的意味を熱力学第2法則として説明できる.
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7週 |
統計的扱いとランダムウオーク |
統計の取り扱いが出来るようになる.
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8週 |
マクスウェルの速度分布 |
速度分布関数,ボルツマン因子を理解する.
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2ndQ |
9週 |
統計力学の基本的考え方 |
エントロピーの統計力学的意味を理解する.
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10週 |
カノニカル分布 |
カノニカル分布の考え方が説明でき、エネルギー等分配則を確かめることができる。
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11週 |
統計力学と熱力学の関係 |
理想気体を例に統計力学と熱力学の関係を説明できる.
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12週 |
調和振動子と熱輻射のスペクトル |
調和振動子の統計力学的な性質が説明できる.熱輻射のスペクトルを説明できる.
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13週 |
2準位系,スピン常磁性 |
2準位系などの統計力学的な性質が説明できる.
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14週 |
量子気体、 |
ボーズ分布,フェルミ分布が説明できる.
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15週 |
磁気相転移 |
磁気相転移をイジングモデルで説明できる.
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16週 |
前期末達成度試験 |
統計力学の基本的取り扱いができるか確認する.
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評価割合
| 試験 | 小テスト | 平常点 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 50 | 10 | 0 | 40 | 100 |
基礎的能力 | 50 | 10 | 0 | 40 | 100 |