物性物理学

科目基礎情報

学校 長野工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 物性物理学
科目番号 0001 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気情報システム専攻(先端融合テクノロジー連携教育プログラム) 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 【教科書】「固体物理学―工学のために」裳華房 / 【参考書】A:「固体物理学 改訂新版 (SPRINGER UNIVERSITY TEXTBOOKS)」丸善出版,B:「Solid-State Physics: An Introduction to Principles of Materials Science (Advanced Texts in Physics)」Springer,C:「固体物性入門-例題・演習と詳しい解答で理解する-」森北出版
担当教員 柳沼 晋

目的・到達目標

固体中の原子に関する基礎的な概念を理解し,説明できること.固体中の電子に関する基礎的な概念を理解し,説明できること.固体の諸物性に関する基礎的な概念を理解し,説明できること.これらの内容を満足することで,学習・教育目標の(C-1)の達成とする.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
固体中の原子に関する評価項目固体中の原子に関する基本的な内容を説明できる.固体中の原子に関する基本的な内容を理解できる.固体中の原子に関する基本的な内容を理解できない.
固体中の電子に関する評価項目固体中の電子に関する基本的な内容を説明できる.固体中の電子に関する基本的な内容を理解できる.固体中の電子に関する基本的な内容を理解できない.
固体の諸物性に関する評価項目固体の諸物性に関する基本的な内容を説明できる.固体の諸物性に関する基本的な内容を理解できる.固体の諸物性に関する基本的な内容を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物性物理学(condensed matter physics)のうち,固相にある物質の物理的な性質(=物性)を扱う固体物理学(solid-state physics)の基礎的概念を解説する.まず,結晶の周期性を軸に,固体の成り立ちと構成要素である原子・電子の状態について学習する.続いて,固体の熱的性質,電気的性質,磁気的性質,光学的性質を取り上げ,各々の物性について初歩から統一的に理解することで,広範かつ膨大な固体物性の全体像を掴む.固体物理学が土台とする力学,電磁気学,熱力学の復習に加え,必要となる量子力学と統計力学に対しては予備知識を補足する.また,各週の授業に関連する代表的な実験手法や最近の研究成果も紹介する.
授業の進め方と授業内容・方法:
・授業方法は,講義を中心としながら,随所に例題演習を取り入れ,節目には小テストも行う.
・適時,レポート課題を課すので,期限内に提出すること.

なお,本科目は学修単位科目であり,授業時間30時間に加えて,自学自習時間60時間が必要となる.
注意点:
<成績評価>試験(50%),授業中の問題演習・小テストおよびレポート課題(50%)の合計100点満点で(C-1)を評
価し,評価結果60点以上を合格とする.
<オフィスアワー>水曜日 16:00~17:00,電気電子・機械工学科棟3F 313柳沼教員室(必要に応じて来室可).
<先修科目・後修科目>先修科目:応用物理I,応用物理II,後修科目:物質科学,統計物理学,量子物理学
<備考>1~4年次に学習した力学,電磁気・原子,熱・波動の内容を理解していること,数学(偏微分,微分方程式,フーリエ級数/フーリエ変換,ベクトル解析,行列の固有値問題など)を操れることを前提とする.各週の授業内容を整理・復習し,自分なりの理解をもつことが大切である.

授業計画

授業内容・方法 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 結晶構造と周期性 基本並進ベクトルを用いてブラベ格子と基本単位胞を理解し,原子が配列した結晶構造とその周期性を説明できる.
2週 逆格子空間と回折 波数kを変数とする逆格子空間(k空間)を理解し,ブリュアン域を説明できる.さらに,周期構造からの回折とそれを用いた構造解析の方法に関する知識を得る.
3週 量子力学の初歩 シュレディンガー方程式を導入し,その解であるエネルギー固有値と波動関数,物理量の期待値を理解できる.また,角運動量とスピンに関する知識を得る.
4週 原子の電子状態 水素原子にシュレディンガー方程式を適用し,そのエネルギー固有値と波動関数を求め,電子状態について説明できる.
5週 固体における化学結合 水素分子イオンの結合,共有結合,イオン結合,金属結合,ファンデルワールス結合,水素結合を理解し,結晶構造との関係を説明できる.
6週 格子振動(1次元系) 1次元系の場合,原子の振動を波として理解し,調和近似を用いて波数kと振動数ωの分散関係ω(k)を説明できる.
7週 格子振動(3次元系),フォノン 格子振動を3次元結晶に拡張し,格子振動の波を量子化された粒子とみる「フォノン」を理解できる.
8週 固体の熱的性質 格子振動に起因する比熱を理解し,格子比熱に対するデバイモデルとアインシュタインモデルを説明できる.
2ndQ
9週 自由電子モデルとエネルギーバンド(1次元系) 1次元系の場合,自由電子モデルを理解し,ブロッホの定理を用いて周期ポテンシャル中のエネルギーバンドを説明できる.
10週 自由電子モデルとエネルギーバンド(3次元系),フェルミエネルギー 自由電子モデルとエネルギーバンドを3次元結晶に拡張し,フェルミエネルギーを導入して,状態密度とフェルミ分布を説明できる.
11週 固体中の電子の運動 エネルギーバンドに基づいて金属・半導体・絶縁体の違いを理解し,金属の電気伝導を説明できる.
12週 固体の磁気的性質(1) 固体内電子の軌道運動とスピンがもつ磁気モーメントを理解し,その配列に基づいて磁性体を分類できる.
13週 固体の磁気的性質(2) 磁場に対する磁気モーメントの応答として,常磁性体・反磁性体・強磁性体の特性を説明できる.
14週 固体の光学的性質 誘電率や吸収係数を理解し,電磁波・光波に対する固体内電子および格子の応答について説明できる.
15週 低次元ナノ材料 カーボンナノチューブやグラフェンなどの新素材について,低次元ナノ材料の特長と重要性を説明できる.
16週 前期末達成度試験 物性物理学の基本的な考え方が身に付いたか,学習内容の理解度を確認する.

評価割合

試験小テスト平常点レポートその他合計
総合評価割合501020200100
配点501020200100