工業力学

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 工業力学
科目番号 0052 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 工業力学入門第3版(伊藤勝悦・森北出版)
担当教員 加藤 浩三

到達目標

以下の各項目を到達目標とする。
① 力(合成を含む)とモーメントを理解し、力のつり合いおよび重心を計算できる。
② 直線運動・平面運動の速度・加速度・移動距離を計算できる。
③ 各種運動の運動方程式が導出できる。
④ 物体の慣性モーメントの概念を理解し、計算できる。
⑤ 力積、運動量およびエネルギーの概念を理解し、計算できる。
岐阜高専のディプロマポリシー:(D)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1力(合成を含む)とモーメントを正確に説明、そして力のつり合いおよび重心を計算できる。力(合成を含む)とモーメントを説明、そして力のつり合いおよび重心を計算できる。力(合成を含む)とモーメントを説明できず、そして力のつり合いおよび重心を計算できない。
評価項目2直線運動・平面運動の速度・加速度・移動距離を正確に計算できる。直線運動・平面運動の速度・加速度・移動距離を計算できる。直線運動・平面運動の速度・加速度・移動距離を計算できない。
評価項目3各種運動の運動方程式が正確に導出できる。各種運動の運動方程式が導出できる。各種運動の運動方程式が導出できない。
評価項目4物体の慣性モーメントの概念を正確に説明、そして計算できる。物体の慣性モーメントの概念を説明、そして計算できる。物体の慣性モーメントの概念を説明できず、そして計算できない。
評価項目5力積、運動量およびエネルギーの概念を正確に説明、そして計算できる。力積、運動量およびエネルギーの概念を説明、そして計算できる。力積、運動量およびエネルギーの概念を説明できず、そして計算できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本講義では、1・2学年時の物理学で学んだ力学の知識を基にして、機械工学の力学分野の基礎を習得する。高校物理の力学分野と機械工学の主要な力学分野である材料力学・機械力学分野との橋渡しをする位置づけの重要な科目である。
授業の進め方・方法:
(事前準備の学習)2年次の物理学で学習した力学分野の復習をしておくこと。
本教科目は力学分野を中心とした積上げ方式の教科目である。教育目標達成のためには,毎回の講義後の復習により,講義内容を完全に習得した上で次回の講義に臨むこと。講義中はノートを採ることに夢中にならず,手を休め教員の解説に充分に耳を傾けて欲しい。
① 毎回,授業の進度に適合した演習問題が配布され,グループ学習等により取組む。
② 演習問題の解説はパワーポイントによってなされるが,適宜,学生は指名され口頭説明のコミュニケーション能力が鍛錬される。
なお,やむなく遅刻した場合に,その都度,授業担当教員に関連の記録を確認することは学生各自の責任である。
欠席した場合は,次の講義の前日までに教員室まで配布物を取りに来ること。
英語導入計画:Technical terms
注意点:
授業の内容を確実に身に着けるために,予習・復習が不可欠である。
授業中の演習問題や課題自体は,そのまま総得点率には反映されることはないが,課題は定期試験の出題範囲であるので,定期試験を介して総得点率に反映される。
なお,以下の項目により総得点を最大50点まで減ずる。
①授業中の私語(-5)
②授業中の熟睡,あるいは本教科目以外の業務等(-5)
③授業中ノートを執らない(-5)
④所定の教科書を準備しない(-5)
学習・教育目標:D-2(100%)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 力(1)力の3要素・力の合成と分解 力の3要素・力の合成と分解に関して理解できる。
2週 力(2)力のモーメントと偶力、偶力のモーメント 力のモーメントと偶力、偶力のモーメントに関して理解できる。
3週 力(3)いろいろな場合の力の合成 いろいろな場合の力の合成方法に関して理解できる。
4週 力のつり合い(1)力のつり合い・力のつり合い条件式 力のつり合い・力のつり合い条件式に関して理解できる。
5週 力のつり合い(2)力のつり合い・力のつり合い条件式 力のつり合い・力のつり合い条件式に関して理解できる。
6週 力のつり合い(3)トラスとその解法Ⅰ トラスとその解法Ⅰに関して理解できる。
7週 力のつり合い(4)トラスとその解法Ⅱ トラスとその解法Ⅱに関して理解できる。
8週 総合演習(1)(ALのレベルB) 力と力のつり合いに関して理解できる。
2ndQ
9週 直線運動(1)等加速度運動の基本3式 等加速度運動の基本3式に関して理解できる。
10週 直線運動(2)運動の方程式の誘導 直線運動の運動の方程式の誘導に関して理解できる。
11週 平面運動(1)平面運動の基礎式 平面運動の基礎式に関して理解できる。
12週 平面運動(2)円運動と法線加速度 円運動と法線加速度に関して理解できる。
13週 運動方程式(1)運動の法則とダランベールの原理 運動の法則とダランベールの原理に関して理解できる。
14週 総合演習(2)(ALのレベルB) 物体の平面運動と運動方程式に関して理解できる。
15週 前期期末試験 前期期末試験
16週 期末試験の解答と解説、前期のまとめ 力と力のつり合い、物体の平面運動に関して、総合的に理解できる。
後期
3rdQ
1週 運動方程式(2)円運動と力 円運動と力に関して理解できる。
2週 重心(1)重心の定義と代表図形の重心 重心の定義と代表図形の重心について理解できる。
3週 重心(2)結合体の重心の計算法 結合体の重心の計算方法が理解できる。
4週 剛体の運動(1)慣性モーメントの定義 慣性モーメントの定義に関して理解できる。
5週 剛体の運動(2)慣性モーメントの計算法 慣性モーメントの計算法に関して理解できる。
6週 剛体の運動(3)角運動方程式 角運動方程式に関して理解できる。
7週 総合演習(3)(ALのレベルB) 重心および角運動方程式に関して理解できる。
8週 後期中間試験 後期中間試験
4thQ
9週 力積と運動量・仕事と力のモーメントによる仕事 力積と運動量・仕事と力のモーメントによる仕事に関して理解できる。
10週 エネルギーとエネルギー保存の法則・摩擦 エネルギーとエネルギー保存の法則・摩擦に関して理解できる。
11週 滑車の力と力のモーメントのつり合い 滑車の力と力のモーメントのつり合いについて理解できる。
12週 振動(1)振動物体の運動方程式 振動物体の運動方程式について理解できる。
13週 振動(2)振動系の固有振動数 振動系の固有振動数の固有振動数について理解できる。
14週 総合演習(4)(ALのレベルB)  力積、運動量、エネルギー、滑車、摩擦、振動に関して理解できる。
15週 後期期末試験 後期期末試験
16週 期末試験の解答の解説、後期のまとめ 物体の重心、剛体の運動および力積、運動量、エネルギー、滑車、摩擦、振動に関して総合的に理解できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
運動の法則について説明できる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3
最大摩擦力に関する計算ができる。3
動摩擦力に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。4
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。4
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。4
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。4
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。4
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。4
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。4
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。4
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。4
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。4
仕事の意味を理解し、計算できる。4
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。4
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。3
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。3
動力の意味を理解し、計算できる。3
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。4
運動量および運動量保存の法則を説明できる。4
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。3
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。3

評価割合

中間試験期末試験合計
総合評価割合200200400
前期100100200
後期100100200