日本史

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 日本史
科目番号 0071 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 『詳説日本史』(山川出版社)を教科書とし、『最新日本史図表』(第一学習社)を副教材として使用する。その他、授業内で配布するプリントをもとに授業を進める。
担当教員 空 健太,稲垣 知子

到達目標

1.高校日本史教科書に示された質問について、日本史の基本文献(信頼できる情報)を基に、自分で調べることができる。
2.歴史は資料に基づいて論理的・客観的に説明されていることを理解する。
3.歴史的事象には複数の解釈が成り立つことや、それらの解釈を成り立たせる根拠や論理を理解する。
4.資料を読み取ったり、複数の資料を比較して、共通性や相違性を考察することができる。
5.歴史事象を現代の問題とつなげて考えることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
到達目標1教科書に示されている質問を日本史の基本文献を基に調べ、説明することができる。教科書に示されている質問を日本史の基本文献を基に調べることができる。教科書に示されている質問を調べる方法が分からない。
到達目標2歴史が資料に基づいて論理的・客観的に説明されていることを理解できる。歴史が資料に基づいて説明されていることは、理解できる。歴史が資料に基づいて説明されていることがあまり理解できない。
到達目標3解釈を成り立たせる根拠や論理を理解した上で、自分はどう考えるかを説明できる。歴史的事象には複数の解釈が成り立つこと、及び解釈を成り立たせる根拠や論理を大まかに理解できる。歴史的事象には複数の解釈が成り立つこと、及び解釈を成り立たせる根拠や論理があまり理解できない。
到達目標4資料を読み取ったり、資料を比較して共通性や相違性、違いが生じた理由を考察することができる。資料を読み取ったり、資料を比較して共通性や相違性を見つけることができる。資料を読み取ったり、資料を比較して違いを見つけることができない。
到達目標5過去の出来事が現代の問題とつながっていることを、具体的な事例を用いて考えられる。過去の出来事が現代の問題にもつながっていることを理解できる。過去の出来事が現代の問題にもつながっていることを理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
中学・高校の日本史の教科書の記述は、歴史学者たちの膨大な研究成果が要約されたものです。本講義では、まず、教科書に掲げられている質問が日本史の基本文献(通史)の中でどのように解説されているのかを具体的にみていきます。歴史家たちが史料に基づき描いてきた豊かな歴史像や多彩な史料解釈に触れることで、暗記学習とは異なる歴史の面白さを知ってもらいたいと思います。後半では、歴史事象の捉え方は1通りではないことを、複数の高校日本史教科書や諸外国の教科書を比較しながら見ていきます。同じ歴史事象でも新たな史料の発見や何を重視するかで解釈が異なること、歴史認識の違いを知ることで、現在、なぜ近現代史に関して近隣諸国と様々な文化摩擦が起こっているかについても具体的に考えていきたいと思います。
<身につけたい力>
1 教科書に示されている質問について、日本史の基本文献を基に自分で調べることができる。
2 資料を読み取ったり、複数の資料を比較して考察することができる。
3 歴史事象を現代の問題とつなげて考えることができる。
授業の進め方・方法:
主として講義形式で行います。授業の最後に、本時の重要点・疑問点等をコメント用紙に記載してもらい、理解を確かめます。基本文献の紹介の際には、図書館の利用法なども紹介する予定です。
注意点:
(A-1)100%

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 信頼できる情報とは何かを理解する。
2週 日本史の基本文献①[通史と各種事典] 日本史の基本文献を知る。
3週 日本史の基本文献②[図書館の利用法] 図書館の利用法(分類番号・配架場所・文献の探し方)について理解する。
4週 鉄砲とキリスト教が日本に与えた影響はなにか①[日本人とヨーロッパ人の出会い方の特徴] 世界史的な視点から、日本人とヨーロッパ人の出会い方の特徴を理解する。
5週 鉄砲とキリスト教が日本に与えた影響はなにか②[キリスト教] キリスト教が日本に与えた影響を理解する。
6週 鉄砲とキリスト教が日本に与えた影響はなにか③[鉄砲] 鉄砲が日本に与えた影響を理解する。
7週 信長はなぜ一向一揆と対決したのか 信長に敵対していた他の勢力と一向一揆の違いを理解する。
8週 中間試験
2ndQ
9週 秀吉はなぜ検地・刀狩をおこなったのか①[検地]  検地によって何が可能になったのかを理解する。
10週 秀吉はなぜ検地・刀狩をおこなったのか②[刀狩] 史料から刀狩の目的を読み取る。
11週 秀吉はなぜ朝鮮を侵略したのか①[秀吉の目的に対する見方の変化] 秀吉の朝鮮侵略が現代の問題にもつながっていることを知る。
12週 秀吉はなぜ朝鮮を侵略したのか②[現代の通説の見方] 秀吉の朝鮮侵略の目的について、現代の通説の捉え方を理解する。
13週 城郭建築にはどのような特徴があるのか①[戦闘・政治的側面] 中世と近世では城の役割がどのように変化するのかを理解する。
14週 城郭建築にはどのような特徴があるのか②[文化的側面] 文化の特徴にも政治や経済的側面が大きくかかわっていることを理解する。
15週 徳川氏は大名や朝廷をどのように統制したのか 徳川氏がただ力で大名たちを支配したわけではないことを理解する。
16週
後期
3rdQ
1週 鎖国に関する教科書記述の変化とその原因(2007年の高校日本史教科書と1971年の教科書) 教科書の記述を比較し、違いとその原因を理解する。
2週 鎖国に関する記述の違いとその原因(同じ年代・同じ出版社の高校日本史教科書) 教科書の記述を比較し、違いとその原因を理解する。
3週 3人の歴史学者の鎖国認識 それぞれの解釈を成り立たせる根拠や論理を理解する。
4週 4つの口での交易実態①(長崎口) 長崎口の交易実態から鎖国認識を考察する。
5週 4つの口での交易実態②(対馬口) 薩摩口の交易実態から鎖国認識考察する。
6週 4つの口での交易実態③(琉球口) 琉球口の交易実態から鎖国認識を考察する。
7週 4つの口での交易実態④(松前口) 松前口の交易実態から鎖国認識を考察する。
8週 交易実態から見た鎖国認識 交易実態から、それぞれの鎖国認識を考えることができる。
4thQ
9週 新聞記事からみた日本の歴史教科書の評価 新聞記事を読み、日本の歴史教科書に対する諸外国の評価を読み取る。
10週 諸外国の歴史教科書の記述と歴史認識①(第二次世界大戦における日本の降伏原因) 諸外国の教科書を基に各国が同じ歴史的事件をどう捉えているか読み取り比較する。
11週 諸外国の歴史教科書の記述と歴史認識②(日本への原爆投下と被害者数) 諸外国の教科書を基に各国が同じ歴史的事件をどう捉えているか読み取り比較する。
12週 諸外国の歴史教科書から見た冷戦時代 冷戦時代の教科書の記述を通して、冷戦時代の各国の立ち位置を読み取る。
13週 諸外国の教科書の記述と歴史認識③(元寇/秀吉の朝鮮侵略/韓国併合) 同じ歴史事象でも、立場の違いにより、どのように捉え方が異なるかを読み取る。
14週 諸外国の教科書の記述と歴史認識④(日ソ共同宣言/日韓基本条約/日中共同声明) 同じ歴史事象でも、国や立場の違いにより、どのように捉え方が異なるかを読み取る。
15週 多様な歴史解釈/歴史認識への理解~なぜ文化摩擦が生じるのか~ 同じ歴史事象でも、国や時代、立場の違いにより歴史認識が異なることを知り、現代の文化摩擦と関連して考察する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会地理歴史的分野民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。3
近代化を遂げた欧米諸国が、19世紀に至るまでに、日本を含む世界を一体化していく過程について、その概要を説明できる。3
帝国主義諸国の抗争を経て二つの世界大戦に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、平和の意義について考察できる。3
第二次世界大戦後の冷戦の展開からその終結に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、そこで生じた諸問題を歴史的に考察できる。3
19世紀後期以降の日本とアジア近隣諸国との関係について、その概要を説明できる。3

評価割合

試験コメントシート合計
総合評価割合11090200
前期7030100
後期4060100