技術者倫理

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 技術者倫理
科目番号 0161 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科曽:「技術者による実践的工学倫理 第4版 先人の知恵と戦いから学ぶ」(一般社団法人近畿化学協会 工学倫理研究会編著,(株)化学同人)を教科書として用いる
担当教員 磯部 浩一

到達目標

以下の各項目を到達目標とする。
①技術者倫理、技術倫理、技術者に求められる素養、組織人としてのあり方や倫理問題への対応(内部告発、公益通報者保護法等)、製造物責任法など実践的技術者倫理を遂行するための基礎知識について理解、説明でき、また将来出会うであろう工学倫理上の問題に対し適切な対応がとれるようになる。
②安全、リスクの評価、環境・資源問題、法規。知的財産権の各分野の基礎的な専門知識を身につけ、先人たちが出会った倫理的問題にどのように対応したかを理解し、将来出会うであろう様々な工学倫理上の問題に対し適切な対応がとれるようになる。
③バイオテクノロジーや情報技術分野の工学倫理上の問題を理解し、説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1実践的技術者倫理に関する基礎知識について深く理解、詳細に説明でき、また工学倫理上の問題に対し適切に対応できる。実践的技術者倫理に関する基礎知識について理解、説明でき、また工学倫理上の問題に対し対応できる。実践的技術者倫理に関する基礎知識について理解、説明できず、また工学倫理上の問題に対し対応できない。
評価項目2各当該分野の基礎専門知識を十分に身につけ、先人たちの倫理問題への対応を深く理解し、様々な倫理問題に対し適切に対応できる。各当該分野の基礎専門知識を身につけ、先人たちの倫理問題への対応を理解し、様々な倫理問題に対し対応できる。各当該分野の基礎専門知識を身につけたり、先人たちの倫理問題への対応を理解できない。様々な倫理問題に対し対応できない。
評価項目3当該先進分野の工学倫理上の問題について深く理解し、詳細に説明できる。当該先進分野の工学倫理上の問題について理解し、説明できる。当該先進分野の工学倫理上の問題について理解、説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
現代社会において、技術者が社会的責任を問われる背景を理解し、講義および事例研究を通して、工学倫理や技術者倫理に関する基礎知識を修得し、技術者が社会的責任を果たし、工学倫理に関わる問題に適切に対応できるようにする。
この科目は、企業で鉄鋼プロセスの開発等に携わってきた教員が、その実務経験を活かし、技術者としてのあり方や仕事仕方や工学倫理について多面的に授業を行うものである。職業人や技術者として生きていくために大切なこと、倫理的に行動する上で大切なことを理解し、将来工学倫理に関連する問題に直面したときに、適切な対応ができるようにする。
※実務との関係  この科目は、企業で鉄鋼プロセス等の開発に携わってきた教員が、その経験を活かし、技術者としてのあり方、身につけるべき素養などを含め技術者倫理等について多面的に授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
講義形式を基本とする。必要に応じてディスカッションまたは各自作成したレポートの相互読み合わせ等を実施し、それらを通し、自分以外の人の工学倫理上の問題の捉え方や意見、対応方法等を参考にするとともに、集団で工学倫理上の問題に対応することの有効性を認識する。
(事前準備の学習)教科書を事前に確認しておくこ
英語導入計画:Technical terms
注意点:
定期試験は行わなず、提出されたレポートのみで成績を評価する。授業の内容を確実に身につけるために、予習・復習が必須である。講義中はパワーポイントや板書の内容だけでなく、口頭による説明についても各自メモをとる習慣を身につけること。内容を深く理解するため、また実践的工学倫理力を高めるため、参考文献やTV、新聞、インターネット等のメディアを活用し、近年話題となった工学倫理上の問題についてむ自身で調べ、分析すること。また、教科書に記載されている内容を一通り目を通し、技術的文書の展開方法、作成方法など、技術レポート作成の参考にすること。
学習・教育目標:(A-4)100%

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス、工学倫理、技術者倫理とは、これらが求められる理由(ALレベルのC) 工学倫理、技術者倫理とは何かやこれらが求められる理由について理解する。
2週 技術者倫理と技術倫理:専門技術者と技術倫理、安全と安心の違い、技術者倫理が問われる場合、各種倫理規定(ALレベルのC) 技術者倫理、技術倫理の違い、安全と安心の違い、技術者倫理が問われる場合や各種倫理規定について理解する。
3週 日本の技術、日米の技術者の位置付け、技術者に求められる倫理とは?、研究(者)倫理(ALレベルのC) 日本の技術、日米の技術者の位置付け、技術者や研究者に求められる倫理について理解する。
4週 専門職と組織人の倫理
(ALレベルのC)
専門職や組織人であるといことについて理解する。
5週 倫理問題への企業や国際的取組、内部告発、公益通報者保護法、ハインリッヒの法則、小集団活動(ALレベルのC) 様々なレベルでの倫理問題への対応や内部告発、公益通報者保護法、ハインリッヒの法則や小集団活動について理解する。
6週 製造物責任と技術者:製造物責任法(PL法)、PL訴訟事例、日米欧のPL法比較
(ALレベルのC)
製造物責任法(PL法)、PL訴訟事例等技術者に問われる製造物責任や日米欧のPL法の差異について理解する。
7週 実践的技術者倫理、事例研究(1)
(ALレベルのA)
実践的技術者倫理を理解する。事例研究に関する討議やレポート読み合わせで、分析力や実践力を高め、多面的見方も養う。
8週 事例研究(2)
(ALレベルのA)
事例研究に関する討議やレポート読み合わせで、分析力や実践力を高め、多面的見方も養う。
2ndQ
9週 安全と工学倫理:研究開発現場、製造現場、輸送時、製品の安全と品質保証、排出物質、廃棄物の安全(ALレベルのC) 工学倫理や技術者倫理に関わる様々な安全について理解する。
10週 環境・資源問題と工学倫理(1):環境・資源問題とその歴史、循環型社会、資源・エネルギー問題(ALレベルのC) 環境・資源・エネルギー問題や循環型社会との工学倫理の関係について理解する。
11週 技術者と法規:法規とは?、コンプライアンス、注意義務、関連法規、法規の限界と自主的活動(ALレベルのC) 技術者が関わる関連法規やコンプライアンス、注意義務と法規の限界とそれを打破する自主的活動について理解する。
12週 知的財産と工学倫理(1):知的財産権の概略と国際問題、職務発明と職務発明制度、(ALレベルのC) 知的財産権の概略と国際問題、職務発明と職務発明制度と工学倫理との関係について理解する。
13週 知的財産と工学倫理(2):不正競争防止法と企業秘密の保護、知的財産権と工学倫理、事例研究(3)(ALレベルのC) 不正競争防止法と企業秘密の保護、知的財産権行使について理解し、知的財産や不正競争防止の事例研究で理解を深める。
14週 これからの技術と工学倫理:バイオテクノロジー、情報技術と工学倫理(ALレベルのC) バイオテクノロジー、情報技術分野における工学倫理上の問題、課題について理解する。
15週 事例研究(4):最近の工学倫理に関わる事例研究(ALレベルのA) 左記事例研究に関する討議やレポート読み合わせで、分析力や実践力を高め、多面的見方も養う。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3
グローバリゼーション・異文化多文化理解グローバリゼーション・異文化多文化理解異文化の事象を自分たちの文化と関連付けて解釈できる。3
それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。3

評価割合

定期試験課題合計
総合評価割合0100100
得点0100100