概要:
技術者は,高度に発達した科学技術を適切に運用していく責任がある。これらの責任について学ぶと共に、過去の事例を対象とした課題に取り組むことで、適用できる力を身につける。
※実務との関係
この科目は、Webシステム開発の会社を経営していた教員が、その経験を活かし、技術者としての倫理感や関連する事案、法律、知的財産等につ いて講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
過去の事例なども取り上げながら、基本的には教科書を用いて進める。可能な範囲で関連する事例の動画も使用する。新聞やテレビで報道される技術関連のニュース、事故などについても、自らの問題として考えることを習慣づけたい。
注意点:
・授業内容を確実に身につけるために、予習・復習が必須である。
・知識を得ることだけが重要ではなく、社会生活の指針として参考にしてほしい。
学習・教育目標:(A-2 )100%
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
技術者の責務(公衆の安全、健康、福利)、技術と歴史、倫理と法、異文化多文化理解(AL のレベル C) |
技術者の責務等について理解する。(教室外学習:技術者の責務に関する演習)
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2週 |
発電の原理、方法とそれらが環境に与える影響(AL のレベル C) |
発電の原理、方法とそれらが環境に与える影響について理解する。(教室外学習:発電方法とその影響に関する演習)
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3週 |
スペースシャトルチャレンジャー号事故(安全とリスク、社会に対する責任、組織における個人)(AL のレベル B) |
安全とリスク、社会に対する責任、組織における個人等について理解する。(教室外学習:チャレンジャー号事故に関する演習)
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4週 |
フォードピント事件(費用便益分析、功利主義の効用計算、製造物責任、PL法、過失責任、厳格責任)(AL のレベル C) |
PL法、過失責任等について理解する。(教室外学習:フォードピント事件に関する演習)
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5週 |
日本航空ジャンボ機墜落事故(フェールセーフ、フールプルーフ)(AL のレベル B) |
フェールセーフ、フールプルーフ等について理解する。(教室外学習:日本航空ジャンボ機墜落事故に関する演習)
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6週 |
JR福知山線事故(ハインリッヒの法則、リスクマネジメント(フォルトツリー法、イベントツリー法))(AL のレベル C) |
リスクマネジメント等について理解する。(教室外学習:JR福知山線事故に関する演習)
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7週 |
公害病-水俣病、イタイイタイ病-(インフォームドコンセント<-->パターナリズム)(AL のレベル C) |
公害病の状況、教訓等について理解する。(教室外学習:公害病に関する演習)
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8週 |
六本木ヒルズ回転ドア事故(法令遵守、コンプライアンス、本質安全、制御安全)(AL のレベル C) |
法令遵守、コンプライアンス等について理解する。(教室外学習:回転ドア事故に関する演習)
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2ndQ |
9週 |
日亜化学青色LED特許紛争(特許制度(登録制)、著作権制度(無方式主義) 職務発明、相当の対価)(AL のレベル C) |
特許制度等について理解する。(教室外学習:青色LED特許紛争に関する演習)
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10週 |
JCO臨界事故(業務過誤モデル、合理的注意モデル)(AL のレベル C) |
業務過誤モデル等について理解する。(教室外学習:JCO臨界事故に関する演習)
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11週 |
東京電力トラブル隠蔽+ミドリ十字非加熱製剤(官民癒着(利権、天下り)、説明責任、情報公開)(AL のレベル C) |
官民癒着,説明責任等について理解する。(教室外学習:東京電力、ミドリ十字事件に関する演習)
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12週 |
新潟鉄工ソフトウェア持出し事件(営業秘密、守秘義務、不正競争防止法、情報セキュリティ)(AL のレベル C) |
営業秘密、不正競争防止法等について理解する。(教室外学習:ソフトウェア持出し事件に関する演習)
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13週 |
ギルベインゴールド(内部告発、公益通報者保護法)(AL のレベル C) |
内部告発、公益通報者保護法等について理解する。(教室外学習:ギルベインゴールドに関する演習)
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14週 |
シティコープタワー(責任遂行の障害)(AL のレベル C) |
責任遂行の障害等について理解する。(教室外学習:シティコープタワーに関する演習)
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15週 |
総括、まとめ |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術者倫理 | 技術者倫理 | 説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 3 | |
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。 | 3 | |
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。 | 3 | |
社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 3 | |
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。 | 3 | |
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。 | 3 | |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 3 | |
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | |
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。 | 3 | |
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。 | 3 | |
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。 | 3 | |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 3 | |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 3 | |
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。 | 3 | |
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。 | 3 | |
グローバリゼーション・異文化多文化理解 | グローバリゼーション・異文化多文化理解 | それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電力 | 水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。 | 4 | |
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。 | 4 | |
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。 | 4 | |
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。 | 4 | |
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。 | 4 | |
分野横断的能力 | 基盤的資質・能力 | 自己理解 | 自己理解 | 技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | |