技術者倫理

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 技術者倫理
科目番号 0255 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 はじめての工学倫理(第3版) 斎藤了文、坂下浩司編(昭和堂)
担当教員 熊﨑 裕教

到達目標

教科書の練習問題と同レベルの問題を試験で出題し,6割以上の正答レベルまで達していること。なお成績評価への重みづけは,①~⑥を均等とする。
① 科学、技術が、社会や自然に与える影響と技術者の責務を理解できる
②コンプライアンスの意味を理解し、技術者としての対処ができる
③製造物責任の基本的概念を理解できる
④営業秘密、知的財産権(職務発明を含む)の必要性を説明できる
⑤内部告発の条件と問題点を理解できる
⑥リスクマネジメントの基本とその分析法について理解できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1科学、技術が社会や自然に与える影響と技術者の責務に関連した問題について詳細に説明できる。科学、技術が社会や自然に与える影響と技術者の責務に関連した問題の具体例について説明できる。科学、技術が社会や自然に与える影響と技術者の責務に関連した問題の具体例を示すことができない。
評価項目2法令遵守とコンプライアンスに関連した問題について詳細に説明できる。法令遵守とコンプライアンスに関連した問題の具体例について説明できる。法令遵守とコンプライアンスに関連した問題の具体例を示すことができない。
評価項目3製造物責任、PL法に関連した問題について詳細に説明できる。製造物責任、PL法に関連した問題の具体例について説明できる。製造物責任、PL法に関連した問題の具体例を示すことができない。
評価項目4営業秘密、知的財産権(職務発明を含む)に関連した問題について詳細に説明できる。営業秘密、知的財産権(職務発明を含む)に関連した問題の具体例について説明できる。営業秘密、知的財産権(職務発明を含む)に関連した問題の具体例を示すことができない。
評価項目5内部告発の条件と問題点に関連した問題について詳細に説明できる。内部告発の条件と問題点に関連した問題の具体例について説明できる。内部告発の条件と問題点に関連した問題の具体例を示すことができない。
評価項目6リスクマネジメントの基本とその分析法に関連した問題について詳細に説明できる。リスクマネジメントの基本とその分析法に関連した問題の具体例について説明できる。リスクマネジメントの基本とその分析法に関連した問題の具体例を示すことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
技術者は,高度に発達した科学技術を適切に運用していく責任がある。これらの責任について学ぶと共に、過去の事例を対象とした課題に取り組むことで、適用できる力を身につける。
授業の進め方・方法:
過去の事例なども取り上げながら、基本的には教科書を用いて進める。可能な範囲で関連する事例の動画も使用する。新聞やテレビで報道される技術関連のニュース、事故などについても、自らの問題として考えることを習慣づけたい。
英語導入計画:Documents(10%)
注意点:
知識を得ることだけが重要ではなく、社会生活の指針として参考にしてほしい。
学習・教育目標:(A-2 )100% 
JABEE基準1(1):(b)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 技術者の責務(公衆の安全、健康、福利)、技術と歴史、倫理と法、異文化多文化理解(AL のレベル C) 技術者の責務等について理解する。(教室外学習:技術者の責務に関する演習)
2週 発電の原理、方法とそれらが環境に与える影響(AL のレベル C) 発電の原理、方法とそれらが環境に与える影響について理解する。(教室外学習:発電方法とその影響に関する演習)
3週 公害病-水俣病、イタイイタイ病-(インフォームドコンセント<-->パターナリズム)(AL のレベル C) 公害病の状況、教訓等について理解する。(教室外学習:公害病に関する演習)
4週 六本木ヒルズ回転ドア事故(法令遵守、コンプライアンス、本質安全、制御安全)(AL のレベル C) 法令遵守、コンプライアンス等について理解する。(教室外学習:回転ドア事故に関する演習)
5週 スペースシャトルチャレンジャー号事故(フェールセーフ、フールプルーフ)(AL のレベル B) フェールセーフ、フールプルーフ等について理解する。(教室外学習:チャレンジャー号事故に関する演習)
6週 JCO臨界事故(業務過誤モデル、合理的注意モデル)(AL のレベル C) 業務過誤モデル等について理解する。(教室外学習:JCO臨界事故に関する演習)
7週 フォードピント事件(費用便益分析、功利主義の効用計算、製造物責任、PL法、過失責任、厳格責任)(AL のレベル C) PL法、過失責任等について理解する。(教室外学習:フォードピント事件に関する演習)
8週 平常試験
4thQ
9週 新潟鉄工ソフトウェア持出し事件(営業秘密、守秘義務、不正競争防止法)(AL のレベル C) 営業秘密、不正競争防止法等について理解する。(教室外学習:ソフトウェア持出し事件に関する演習)
10週 ギルベインゴールド(内部告発、公益通報者保護法)(AL のレベル C) 内部告発、公益通報者保護法等について理解する。(教室外学習:ギルベインゴールドに関する演習)
11週 シティコープタワー(責任遂行の障害)(AL のレベル C) 責任遂行の障害等について理解する。(教室外学習:シティコープタワーに関する演習)
12週 JR福知山線事故(ハインリッヒの法則、リスクマネジメント(フォルトツリー法、イベントツリー法))(AL のレベル C) リスクマネジメント等について理解する。(教室外学習:JR福知山線事故に関する演習)
13週 日亜化学青色LED特許紛争(特許制度(登録制)、著作権制度(無方式主義) 職務発明、相当の対価)(AL のレベル C) 特許制度等について理解する。(教室外学習:青色LED特許紛争に関する演習)
14週 東京電力トラブル隠蔽+ミドリ十字非加熱製剤(官民癒着(利権、天下り)、説明責任、情報公開)(AL のレベル C) 官民癒着,説明責任等について理解する。(教室外学習:東京電力、ミドリ十字事件に関する演習)
15週 総括、まとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3
グローバリゼーション・異文化多文化理解グローバリゼーション・異文化多文化理解それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。3
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電力水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。4
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。4
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。4
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。4
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。4
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3

評価割合

試験課題その他合計
総合評価割合200700000270
得点200700000270
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