計測工学

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 計測工学
科目番号 0063 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 計測・制御テクノロジーシリーズ 計測技術の基礎(山崎弘郎,田中充 著,コロナ社,2009. 4)
担当教員 河野 託也,富田 寿男

到達目標

モノづくりの過程で,対象物を正しく認識し理解するための測定という観点から,計測の原理・方法,実験データの精度,実験データの解析法などについての知識の習得する.
具体的には以下の項目を目標とする.
①計測の基礎知識について理解する。
②データの誤差・統計的性質について理解する。
③データの解析方法について理解する。
④各種計測機器の構造や測定原理,測定方法を理解する。
⑤信号の計測法について理解する。
⑥信号の処理方法について理解する。
岐阜高専ディプロマポリシー:(D)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
計測に関わる用語を適切に用い,計量標準の供給の流れについて説明できる.計量標準,校正,トレーサビリティ,不確かさなどの用語の意味を説明できる.計測に関わる用語を説明できない.
誤差の統計的性質と伝播法則に基づいて,測定値の精度を見積もることができる.誤差の統計的性質に基づいて,測定値の確からしさを評価できる.誤差の統計的性質について説明できない.
計算機を用いて測定値を可視化し,またその統計量を算出することができるとともに,最小二乗法等によって必要な情報を抽出できる.計算機を用いて測定値を可視化し,またその統計量を算出することができる.計算機を用いてデータを取り扱うことができない.
各種計測機器の構造や測定原理に基づいて,測定対象に応じた適切な測定器を選定できる.各種計測機器の構造や測定原理,測定方法を説明できる.各種計測機器の構造や測定原理,測定方法が理解できない.
測定対象に応じて,信号計測において装置に求められる仕様を決定し,適切な装置を選定できる.信号計測において装置に求められる仕様を説明できる.信号計測において装置に求められる仕様を説明できない.
アナログおよびディジタル信号処理を用いて必要な情報を抽出できる.アナログおよびディジタル信号処理の方法ついて説明できる.アナログおよびディジタル信号処理の方法ついて説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
ものづくりの過程で,対象物を正しく認識し理解するための測定という観点から,計測の原理・方法,実験データの精度,実験データの解析法などについての知識の習得する.誤差・不確かさの扱い,時間・周波数領域での物理量の扱い,ディジタル信号処理,電子計装を中心に計測技術を解説する.また,適宜各回の講義に関連する各種センサおよびセンシング技術を紹介する.
授業の進め方・方法:
教科書および配布資料を用いた講義を基本として,演習,レポートを随時実施する.
(事前準備の学習)事前に教科書で予習をしておくこと.
英語導入計画:Technical terms
注意点:
講義の内容で理解できなかった個所を学生自身で復習できるように,演習問題の自宅学習課題を与え,レポートを提出させる.
授業の内容を確実に身につけるために、予習・復習が必須である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 誤差と精度と有効数字 誤差と精度の種類について説明でき,適切な有効数字を用いて数を表現することができる.
2週 誤差の伝播 (絶対値方式) 誤差の性質や誤差の合成方法を理解する.
3週 誤差の統計的取扱い1 平均値の確からしさを定量的に評価することができる.
4週 誤差の統計的取扱い2 平均値の確からしさを定量的に評価することができる.
5週 誤差の伝播 (2乗和の平方根方式) 誤差の性質や誤差の合成方法を理解する.
6週 誤差から不確かさへ
(AL レベル C)
なぜ誤差でなく不確かさで評価することが重要となるか説明できる.
7週 不確かさに関する実習
(AL レベル B)
与えられた課題に関して,測定法を考案し,不確かさを評価できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 最小二乗法と相関係数 実験データの解析において重要な,最小二乗法の原理を理解し説明できる.相関係数の意味を説明できる.
10週 フーリエ変換と周波数 フーリエ変換の原理と周波数の意味を説明することができる.
11週 アナログ - ディジタル 変換 アナログ - ディジタル変換,ディジタル - アナログの原理を説明できる.
12週 標本化定理と量子化誤差 標本化定理に基づいて適切なサンプリング周波数を決定できる.
13週 離散フーリエ変換と周波数解析 周波数スペクトルが持つ意味を説明できる.
14週 フィルタリングとディザ 計測におけるフィルタリング,アベレージングと補間の役割を理解し,またディジタル信号のノイズを低減する方法を説明でできる.
15週 前期のまとめ
16週
後期
3rdQ
1週 信号とノイズ
(AL レベル C)
ノイズとは何か,その代表的な発生源を理解し,信号対雑音比を計算できる.
2週 計測器の周波数特性 計測器に要求される周波数特性を定めることができる.
3週 アナログ信号の変換と調整 電子計測におけるアナログ信号の変換と調整の役割,用いられる電子回路を説明し選択できる.
4週 差動増幅回路とブリッジ回路 差動増幅回路の仕組みと用途,ブリッジ回路の仕組みと用途について定量的に説明できる.
5週 インピーダンス
(AL レベル C)
入出力インピーダンス,特性インピーダンス,インピーダンス変換と整合の意味を説明できる.
6週 センサによる検出と変換 センサとは何か,その信号・エネルギーの一般的な変換様式と,受動型センシングと能動型センシングの違いを説明できる.
7週 中間試験
8週 計測システムの構造 一般化された計測システムのモデルを理解し,偏位法と零位法の違いを説明できる.
4thQ
9週 単位と計量標準 単位標準と単位の組立を理解し,正しくSI単位を用いることができる.
10週 校正とトレーサビリティ 計量標準が提供される仕組みを説明できる.
11週 物理センサによる信号変換1 力,変位,速度,加速度,流速とった量を測定する物理センサの仕組みを説明できる.
12週 物理センサによる信号変換2 力,変位,速度,加速度,流速とった量を測定する物理センサの仕組みを説明できる.
13週 化学センサによる信号変換1 pH,ガス濃度といった量を測定する化学センサの仕組みを説明できる.
14週 化学センサによる信号変換2 pH,ガス濃度といった量を測定する化学センサの仕組みを説明できる.
15週 後期のまとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。4
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。4
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御計測の定義と種類を説明できる。2
測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。3
国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。3
代表的な物理量の計測方法と計測機器を説明できる。3
電気・電子系分野計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。2
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。4
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。3
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。2
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。2
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。2
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。2
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。3前7
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。2
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。3
電力量の測定原理を説明できる。3
情報系分野その他の学習内容ディジタル信号とアナログ信号の特性について説明できる。2
情報を離散化する際に必要な技術ならびに生じる現象について説明できる。2

評価割合

試験課題合計
総合評価割合14060200
前期期末7030100
後期期末7030100