技術者倫理

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 技術者倫理
科目番号 0259 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 電子制御工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 1
教科書/教材 「技術の営みの教養基礎 技術の知と倫理」(比屋根均、理工図書、2012年)を教科書として用いるが、毎回プリントも配布する。参考書:「はじめての工学倫理」(斎藤了文・坂下浩司、昭和堂)、[理系のための技術者倫理」(直江清隆・盛永審一郎編、丸善)、「技術者倫理事例集」(電気学会、オーム社)、「土木技術者倫理問題-考え方と事例解説Ⅰ、Ⅱ」(土木学会)」
担当教員 比屋根 均

到達目標

以下の各項目を到達目標とする。
①問題をより正しく理解するために必要なことについて理解している
② 倫理的な感じ方・考え方を理解し、倫理的に振る舞うために必要なことを理解している
③技術者の、技術の不確実性やリスクへの対処方法を理解している
④組織的な活動の中で考慮すべきことを理解し、問題を倫理的に解決する方法を理解している
⑤現代社会から技術業務を託された者への期待を感受し、倫理的に振る舞うために必要なことを理解している
⑥時々のチームでその一員として自らの特徴を生かしながら貢献することができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1試行錯誤がどのようなものかを理解し,問題状況を理解し解決する上で三現主義・5ゲン主義の重要性を理解し,問題解決に取組む意欲がある。試行錯誤がどのようなものかを理解し,問題状況を理解し解決する上で三現主義・6ゲン主義の重要性を理解している。与えられた技術的な問題を、学校での問題と同じように解いて回答を提出するのが技術者・社会人にとっての問題解決だと考えている。
評価項目2人や組織・判断や行為・結果と影響・手続きの面から倫理性を評価し,倫理的な判断ができ倫理的行為を案出することができる。人や組織・判断や行為・結果と影響・手続きの面から倫理性を評価すべきことを理解している。人や組織・判断や行為・結果と影響・手続きの面から総合的に倫理性を判断できず,一面的な倫理判断を良しとする。
評価項目3技術的営みが本質的に不確実性をまぬかれない試行錯誤であることを理解し,失敗最小・実害最小にする行動を理解し考案することができる。安全技術の発展の成果を理解している,もしくは失敗最小・実害最小にする行動の方法を理解している。技術的営みは徹底的に正しく検討すれば不確実性をなくせるものと理解している。
評価項目4組織活動は各メンバーが主体的に参画するものであることを理解し,社会と組織との間,互いの間に発生する問題への適切な解決行動を考案することができる。組織活動は各メンバーが主体的に参画するものであることを理解し,組織の中でも自己の主体性を維持することの大切さを理解している。組織と自己の主体性とのバランスを理解できず,組織に自己を埋没させたり,自己を組織の上に位置付けたりすることの非倫理性を理解できない。
評価項目5技術者や自らの立場に対して現代社会が求めることを感受することができ,困難に対しても勇気をもって行動する気概の大切さを理解している。技術者や自らの立場に対して現代社会が求めることを感受することの大切さを理解し,困難に対しても勇気をもって行動する気概の大切さを理解している。倫理的な行動は時代や社会が変化しても不変であり,自らの良心に従って誠実に判断し行動してさえいれば倫理的だと考えてる。
評価項目6グループワークの中でその目的に対して自らを有効に機能させることができる。グループワークに参画することができる。グループワークに参画したり有効な貢献ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
職業人や技術者として生きていくために大切なこと、倫理的に行動する上で大切なことを理解するとともに、実際にグループ討論等によって、意見の異なる人とも協働できるようになり、学んだことを自分の意見に消化し身につける。
授業の進め方・方法:
社会人は、大きなテーマがある仕事でも、決まった作業のような仕事でも、毎日新たな問題が発生し、考え教わりながら対処することで、様々なことを学び身につけていく。この科目でも毎回、座学だけでなく何らかの作業を行い身につけていくとともに、その成果で評価する。また、社会人が現実に出会う倫理問題は答えが1つに定まらず、考え方や価値観、能力、置かれた状況によって答えが違ってくる。グループ討論でも小レポートでも、まず自分で考えるのは当然として、異なる意見にも耳を傾けて理解しようとして欲しい。そうすることで、社会人としてのコミュニケーション力や多様な人々と関わり合える柔軟性が身に付くだろう。想像力と集中力を積極的に発揮してもらいたい。
注意点:
期末試験は行わない。
学習・教育目標(A-2)100%
JABEE基準1(1):(b)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス~社会人になること 学業の生活と社会人・職業人・技術者生活との違いを理解する。(小レポート作成)
2週 実践に役立てる学び方 学問を現実の問題状況に結び付けて学ぶことの大切さを理解する。(グループワーク)
3週 専門家の知と倫理 三現主義・5ゲン主義の大切さを理解する。(小レポート作成)
4週 善意の動機と倫理 動機が倫理的でも,非倫理的な結果や影響を及ぼし得る可能性(危険性)を理解する。(グループワーク)
5週 倫理の基本 倫理が,組織や人そのもの・判断や行為・結果と影響・手続きによって評価されることを理解する。(小レポート作成)
6週 法を守ることと倫理 法が技術の後追いになること,それ故に技術者が倫理的に判断する必要があることを理解する。(小レポート作成)
7週 安全の理論1 現場的で経験的な安全活動が,気概発生のメカニズムや3ステップメソッドなどの理論化によってより合理的な安全技術になったことを理解する。(グループワーク)
8週 安全の理論2 リスクアセスメントなどの技術評価の必要性を理解し,安全確認型システムへの発展を通じて専門技術の進化を生み出す探求の大切さを理解する。(グループワーク)
2ndQ
9週 技術知の戦略 技術や行為の不確実性に対して技術者がとっている失敗最小の戦略と実害最小の戦略を理解する。(小レポート作成)
10週 チームワーク 報連相や標準化と改善など,チームワークで大切なことを理解する。(グループワーク)
11週 組織における専門家の役割と説得 専門家が非専門家を含む組織の中で説得的に行動する仕方を理解する。(小レポート作成)
12週 組織と個人との間の諸問題 社会的責任と持続可能性について理解出来る。(グループワーク)
13週 価値観の多様化と持続可能性 現代史の同時代的な倫理としての、持続可能性や社会的責任についての基本的を理解する。(小レポート作成)
14週 高度情報化社会での倫理 高度情報化社会における倫理の基本について理解する。(グループワーク)
15週 様々な場面と立場の倫理 公的あるいは信託された者としての倫理的責任と振る舞い方を理解する。(小レポート作成)
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3
グローバリゼーション・異文化多文化理解グローバリゼーション・異文化多文化理解それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。3
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3

評価割合

グループワーク小レポート合計
総合評価割合5644100
得点5644100