基礎実験Ⅰ

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 基礎実験Ⅰ
科目番号 0038 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 環境都市工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 新示方書による土木材料実験法(鹿島出版会), 新・土質実験法(澤孝平、鹿島出版会2007.3)、水理実験指導書(丸善), 環境衛生工学(共立出版)・プリント配布
担当教員 吉村 優治,角野 晴彦,菊 雅美,川端 光昭,井向 日向,北 真人

到達目標

①実験レポートの作成を通じて,測定データの処理力,文章表現力,洞察力など工学的素養の獲得
②材料試験の方法、材料の物理的性質に関する理解
③土の試験法および土の工学的分類に関する理解
④環境評価のうち、水質に関する基礎的指標の試験方法を理解する。
⑤マノメータ、ベルヌーイの定理、相対的静止の原理を理解する。
⑥社会と業界を知ったうえで、働き方(キャリアプラン)と生き方(ライフプラン)に関する検討
⑦水理実験の作業手順を理解し、実践できる。
岐阜高専ディプロマポリシー:(A)および(B)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 実験リテラシー工学分野のレポートの書き方を正確に理解し、適切に実験結果を整理できる。工学分野のレポートの書き方の基礎を理解し、ほぼ適切に実験結果を整理できる。工学分野のレポートの書き方の基礎を理解できておらず、実験結果を整理できない。
評価項目2 材料実験材料試験の方法と材料の物理的性質を理解し、適切に説明・報告できる。材料試験の方法と材料の物理的性質を理解し、ほぼ適切に説明・報告できる.材料試験の方法と材料の物理的性質を説明・報告できない.
評価項目3 土質実験試験方法や実験結果について適切に説明でき、正確に工学的分類ができる。試験方法や実験結果についてほぼ適切に説明でき、正確に工学的分類ができる。試験方法や実験結果について説明できず、工学的分類もできない。
評価項目4 環境実験 環境評価に用いる水質と、活性汚泥に関する基礎的指標の試験方法と結果の意味を正確(8割以上)に理解ができる。環境評価に用いる水質と、活性汚泥に関する基礎的指標の試験方法と結果の意味をほぼ正確(6割以上)に理解ができる。環境評価に用いる水質と、活性汚泥に関する基礎的指標の試験方法と結果の意味が理解できない。
評価項目5 水理実験実験値の比較基準となる理論式を正確に理解し、実験値の誤差について考察し、合理的な説明が適切(8割以上)にできる。 実験値の比較基準となる理論式をほぼ適切(6割以上)に理解し、実験値の誤差について考察し、合理的な説明がほぼ適切にできる。 実験値の比較基準となる理論式を理解しておらず、実験値の誤差について合理的な説明ができない。
評価項目6 キャリア教育環境都市工学科に関係する企業や団体が、どのように分類されているか、どのような業務であるか、を正確(8割以上)に説明できる。働き方と生き方を併せて将来を検討できる。環境都市工学科に関係する企業や団体が、どのように分類されているか、どのような業務であるか、をほぼ正確(6割以上)に説明できる。働き方と生き方のどちらかについて、将来を検討できる。環境都市工学科に関係する企業や団体が、どのように分類されているか、どのような業務であるか、説明できない。働き方と生き方について将来を検討できない。
評価項目7 実験スキル水理実験の実施手順について事前に理解し、実践し、レポートに適切(8割以上)まとめられる。水理実験の実施手順について事前に理解し、実践し、レポートにほぼ適切(6割以上)まとめられる。水理実験の実施手順について事前に理解せず、実践せず、レポートにまとめられない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
環境都市工学科において学んだ知識に関して、自らが実験を行い、その過程および結果を体験することによって理解を深めるとともに、実験手法の基礎を体得することを目的としている。実験テーマは当該学年までに習得する科目について設定しており、また技術者として実験手法を身につけることは必要不可欠である。
授業の進め方・方法:
実習実験を中心に行うので、積極的に参加すること。実験結果の報告については、レポート、あるいはプレゼンテーションによって行う。なお班毎に実験を行うため、個々の協調性およびチームワークも必要である。
レポートが1件でも未提出の場合には原則として総得点率は60%未満とする。
英語導入計画:Technical terms
注意点:
円滑に実験を行うために実験事前準備,予習が必要である。また,内容を確実に身につけるため,よく理解してレポートを作成する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 実験リテラシー1:実験結果の整理方法基礎,不正防止 実験結果の整理方法および改ざん・盗用などの不正防止について理解する
2週 実験リテラシー2:実験誤差の取り扱い方
実験結果の取り扱い方,考察の書き方を指導する
実験誤差の基礎等を理解し、実験結果を適切にレポートにとりまとめる方法を理解する
3週 安全教育,危険予知訓練,実験器具の取り扱い方,材料実験ガイダンス 実験を行う上での安全について理解できる
4週 コンクリート供試体作製,スランプ試験 コンクリート供試体を手順通り作成する
5週 骨材試験Ⅰ(細骨材の密度、吸水率、表面水率) 細骨材の密度、吸水率,表面水率の各試験を正確に行う
6週 骨材試験Ⅱ(粗骨材の密度、吸水率) 粗骨材の密度、吸水率の各試験を正確に行う
7週 骨材試験Ⅲ(粒度分布、単位容積質量) 粒度分布,単位容積質量の各試験を正確に行う
8週 コンクリート強度試験 コンクリートの破壊試験における現象を理解する
2ndQ
9週 材料実験まとめ 実験の結果を各班横断的に考察する
10週 土質実験ガイダンス
11週 土質A:土粒子の密度試験 土粒子の密度試験を正確に行う
12週 土質B1:液性限界 液性限界試験を正確に行う
13週 土質B2:塑性限界試験 塑性限界試験を正確に行う
14週 土質C:粒度試験 粒度試験を班員と協力・分担して行う
15週 まとめ 前期のフォローアップ
16週
後期
3rdQ
1週 キャリア教育1:社会人インタビューにおけるヒアリング内容の検討 職業理解のうち、仕事内容(課業)のレベル、生きがい、働きがい等の項目を設定する。
2週 キャリア教育2:社会人インタビューの実践 企業展等の催しを利用して、社会人インタビューを実践する。
3週 水理実験ガイダンス
4週 水理1:マノメータによる水位差測定 静水圧の性質とマノメータの原理について考察できる.
5週 水理2:管内オリフィスによる流量測定 ベルヌーイの定理を応用し,オリフィスからの流出流量と流出時間について考察できる.
6週 水理3:オリフィスからの流出実験 ベルヌーイの定理を応用し,管内オリフィスによる流量測定について考察できる.
7週 水理4:遠心力作用の水面形 水に作用する慣性力について理解し,遠心力作用の水面形について考察できる
8週 環境実験ガイダンス
4thQ
9週 環境1:溶存酸素(DO)、生物化学的酸素要求量(BOD) 河川水のDOとBODの経日変化を分析する
10週 環境2:浮遊物質(SS)、pH、過マンガン酸カリウムによる化学的酸素要求量(CODmn) 湖沼水のpH、SSおよびCODmnを分析する。
11週 環境3:活性汚泥の汚泥濃度(MLSS、MLVSS)、沈降性指標(SVI)および顕微鏡観察 活性汚泥の汚泥濃度と沈降性を分析し、処理状況を考察する。
12週 環境4:大腸菌群の測定 河川水と河川水と水道水の混合水の大腸菌群数を計測する。
13週 キャリア教育3:社会人インタビュー結果の整理と分析 社会人インタンビューの結果をある程度客観的に捉えられる。
14週 キャリア教育4:社会人インタビューから考えられる職業の特徴とキャリア形成方法 各自で発表を行う。環境都市工学科に関する仕事の内容を理解し、生き方において多様な価値観が存在することを理解する。
15週 キャリア教育5:職業理解と自己分析 これまで得られた結果より、自己分析をして、将来を考える。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3後4,後5,後6,後7
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3後4,後5,後6,後7
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3後4,後5,後6,後7
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3後4,後5,後6,後7
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3後4,後5,後6,後7
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3後4,後5,後6,後7
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3後4,後5,後6,後7
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3後4,後5,後6,後7
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3後4,後5,後6,後7
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3後4,後5,後6,後7
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3後4,後5,後6,後7
専門的能力分野別の工学実験・実習能力建設系分野【実験・実習能力】建設系【実験実習】骨材のふるい分け試験について理解し、器具を使って実験できる。4
骨材の密度、吸水率試験について理解し、器具を使って実験できる。4
コンクリートのスランプ試験について理解し、器具を使って実験できる。4
コンクリートの強度試験について理解し、器具を使って実験できる。4
各種構造形式(コンクリート、金属などによる)による試験体を用いた載荷実験を行い、変形の性状などを力学的な視点で観察することができる。4
土粒子の密度試験について理解し、器具を使って実験できる。4
液性限界・塑性限界試験について理解し、器具を使って実験できる。4
粒度試験について理解し、器具を使って実験できる。4
各種の流量測定の方法を理解し、器具を使って実験できる。4後4,後5,後6,後7
DO、BODに関する実験について理解し、実験ができる。4後8,後9
pHに関する実験について理解し、実験ができる。4後9,後10

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合010000190200
材料実験000004545
土質実験000004545
水理実験000003636
環境実験000004040
キャリア教育0100001020
実験リテラシー000001010
実験スキル(水理実験)0000044