現代社会と法

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 現代社会と法
科目番号 0073 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 環境都市工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 授業で一斉に使用することはないが、『新版 法とは何か』(渡辺洋三著、岩波新書、1998)『民法はおもしろい』(池田真朗著、講談社現代新書、2012)を参考書として紹介する。
担当教員 久保田 圭司

到達目標

①現代の法体制に関する重要概念の理解
②近代的価値観の法的処理に対する理解
③相続に関する配分理解と相続税の基本的算定
④現代法の一例としてのPL法の理解

岐阜高専ディプロマポリシー:(A)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
到達目標①市民権、私的自治の原則、自律とパターナリズム、過失責任等、現代の法体制を考える上で重要な概念に関する問題を正確(80%以上)に解ける市民権、私的自治の原則、自律とパターナリズム、過失責任等、現代の法体制を考える上で重要な概念に関する問題をほぼ正確(60%以上)に解ける市民権、私的自治の原則、自律とパターナリズム、過失責任等、現代の法体制を考える上で重要な概念に関する問題をあまり(60%未満)解けない
到達目標②自由や平等など近代的価値観が現実の法でどう処理されているかに関する問題を正確(80%以上)に解ける自由や平等など近代的価値観が現実の法でどう処理されているかに関する問題をほぼ正確(60%以上)に解ける自由や平等など近代的価値観が現実の法でどう処理されているかに関する問題を問題をあまり(60%未満)解けない
到達目標③相続による財産移動の配分と相続税額に関する基本的算定を正確(80%以上)にできる相続による財産移動の配分と相続税額に関する基本的算定をほぼ正確(60%以上)にできる相続による財産移動の配分と相続税額に関する基本的算定をあまり(60%未満)できない
到達目標④現代法の一例としてPL法を理解し、近代法としての民法との比較相違した問題を正確(80%以上)に解ける現代法の一例としてPL法を理解し、近代法としての民法との比較相違した問題をほぼ正確(60%以上)に解ける現代法の一例としてPL法を理解し、近代法としての民法との比較相違した問題をあまり(60%未満)解けない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
法は歴史の中で養われてきた価値観を、様々に人間を規定することで実現しようとする営みである。本授業は現代に至るこの過程を学生自らが自分の言葉で表現できるようになることを目指す。
この目標を達成するために,主に授業では次の4点を具体的な目標とする。
1.現代の法体制に関する重要概念の理解
2.近代的価値観の法的処理に対する理解
3.相続に関する配分理解と相続税の基本的算定
4.現代法の一例としてのPL法の理解
これらが達成されたかどうかは,課題,定期試験によって評価する。
授業の進め方・方法:
・授業では抽象的知識とともに、これに該当する具体例を1種類以上提示する。学生は課題に取り組む過程で、教員が示した例とは別の具体例を考え、他の学生とは異なる文章でこれを表現することが求められる。
・英語導入計画:technical terms
注意点:
・授業の内容を確実に身につけるために、予習・復習が必須である。
・中間試験を行わないため前後期とも1回ずつ補講を実施する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 社会規範とサンクション
社会規範に関して理解する。
2週 法・戒律・慣習・道徳 社会規範に関して理解する。
3週 穏健的自由主義と急進的自由主義 自由と平等の概念を検討する。
4週 機会の平等と結果的平等(ALのレベルC) 自由と平等の概念を検討する。
5週 近代市民社会と法治主義 市民権の内容と推移に関して検討する。
6週 市民権の意味と推移 市民権の内容と推移に関して検討する。
7週 合衆国の動向に見る自由と束縛 市民権の内容と推移に関して検討する。
8週
2ndQ
9週 パターナリズムと権力関係 ソフト・パターナリズムとハード・パターナリズムの成立する事例を検討する。
10週 市民権とインフォームド・コンセント(ALのレベルC) ソフト・パターナリズムとハード・パターナリズムの成立する事例を検討する。
11週 公法における公権力と国民の関係 公法と私法が各々適用される具体的領域について検討する。
12週 相続1(ALのレベルC) 相続配分と相続税を算定する。
13週 相続2(ALのレベルC) 相続配分と相続税を算定する。
14週 相続3(ALのレベルC) 相続配分と相続税を算定する。
15週 相続4(ALのレベルC) 相続配分と相続税を算定する。
16週 前期まとめ
後期
3rdQ
1週 夜警国家と福祉国家 夜警国家・福祉国家体制と公法・私法の関係を検討する。
2週 ポスト福祉国家 夜警国家・福祉国家体制と公法・私法の関係を検討する。
3週 国家体制と市民権(ALのレベルC) 夜警国家・福祉国家体制と公法・私法の関係を検討する。
4週 ゲマインシャフトとゲゼルシャフト 近代化理論が市民間の関係に与えた影響について検討する。
5週 コミュニティとアソシエーション(ALのレベルC) 近代化理論が市民間の関係に与えた影響について検討する。
6週 近代法の概念 近代化理論が市民間の関係に与えた影響について検討する。
7週 現代法の概念 近代化理論が市民間の関係に与えた影響について検討する。
8週
4thQ
9週 近代法としての民法と過失責任 過失責任の概念が私法の有する平等性と私的自治の原則から派生することを検討する。
10週 現代法としてのPL法と無過失責任(ALのレベルC) 過失責任の概念が私法の有する平等性と私的自治の原則から派生することを検討する。
11週 PL法の検討1-製造業者- 商品と製造物の関係について検討する。
12週 PL法の検討2-製造物-(ALのレベルC) 商品と製造物の関係について検討する。
13週 PL法の検討3-欠陥- 製造物責任に関する欠陥概念と免責事項について検討する。
14週 PL法の検討4-損害-(ALのレベルC) 製造物責任に関する欠陥概念と免責事項について検討する。
15週 現代社会における法と他の社会規範の関係 製造物責任に関する欠陥概念と免責事項について検討する。
16週 後期まとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会地理歴史的分野世界の資源、産業の分布や動向の概要を説明できる。3
民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。3
近代化を遂げた欧米諸国が、19世紀に至るまでに、日本を含む世界を一体化していく過程について、その概要を説明できる。3
帝国主義諸国の抗争を経て二つの世界大戦に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、平和の意義について考察できる。3
第二次世界大戦後の冷戦の展開からその終結に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、そこで生じた諸問題を歴史的に考察できる。3
19世紀後期以降の日本とアジア近隣諸国との関係について、その概要を説明できる。3
公民的分野人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。3
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後11,後13
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後11,後13
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後11,後13
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後11,後13
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後11,後13
他者の意見を聞き合意形成することができる。3前8,前9,後2,後9,後11
合意形成のために会話を成立させることができる。3前8,前9,後2,後9,後11
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3前8,前9,後2,後9,後11
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13
複数の情報を整理・構造化できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後10,後12,後13,後14,後15
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13
事実をもとに論理や考察を展開できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,後3,後4,後5,後6,後7,後13

評価割合

試験課題合計
総合評価割合400100500
前期20050250
後期20050250