流域圏工学

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 流域圏工学
科目番号 0093 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境都市工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 Professional Engineer Library 水理学(PEL編集委員会,実教出版,2016)を教科書とする.
河川工学分野:河川工学(川合・和田・神田・鈴木共著,コロナ社,2001)を参考書とする.
海岸工学分野:沿岸域工学(川崎浩司著,コロナ社,2013)を参考書とする.
担当教員 菊 雅美,北 真人

到達目標

以下の項目を到達目標とする.
1.流域圏の概念を理解する
2.河川地形の枠組みと地形の成因について理解する
3.洪水流解析手法の概要を理解する
4.治水計画の基本的な考え方を理解する
5.総合土砂管理の基本的な考え方を理解する
6.生態系保全対策の基本的な考え方を理解する
7.波の諸量と分類について理解する
8.分散関係式について理解する
9.津波・高潮・高波災害の発生機構と防御策について理解する
岐阜高専ディプロマポリシー:(D)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1流域圏の概念について8割以上説明できる.流域圏の概念の基本的な考え方を6割以上説明できる.流域圏の概念の基本的な考え方を説明できない.
評価項目2さまざまなスケールの河川地形の枠組みと具体的な地形の成因について8割以上説明できる.さまざまなスケールの河川地形について基本的な説明が6割以上できる.さまざまなスケールの河川地形について基本的な説明ができない.
評価項目3実務に用いられている洪水流解析手法の概要を8割以上説明できる.実務に用いられている洪水流解析手法の概要を6割以上説明できる.実務に用いられている洪水流解析手法の概要を説明できない.
評価項目4実務における治水計画の基本的な考え方を8割以上説明できる.実務における治水計画の基本的な考え方を6割以上説明できる.実務における治水計画の基本的な考え方を説明できない.
評価項目5実務における総合土砂管理の基本的な考え方を8割以上説明できる.実務における総合土砂管理の基本的な考え方を6割以上説明できる.実務における総合土砂管理の基本的な考え方を説明できない.
評価項目6実務における生態系保全対策の基本的な考え方を8割以上説明できる.実務における生態系保全対策の基本的な考え方を6割以上説明できる.実務における生態系保全対策の基本的な考え方を説明できない.
評価項目7波の諸量と分類について8割以上説明できる.波の諸量と分類について6割以上説明できる.波の諸量と分類について説明できない.
評価項目8分散関係式について8割以上説明できる.分散関係式について6割以上説明できる.分散関係式について説明できない.
評価項目9津波・高潮・高波災害の発生機構と防御策について8割以上説明できる.津波・高潮・高波災害の発生機構と防御策について6割以上説明できる.津波・高潮・高波災害の発生機構と防御策について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本授業では,水理学の知識を発展させて,流域圏で生じる現象について理解する.
授業の進め方・方法:
第1回~第7回担当:北,第8回~15回担当:菊
(事前準備の学習)水理学Iおよび水理学IIの復習をしておくこと
英語導入計画:Technical terms
注意点:
スライドを用いた講義形式で進める.教室外学習の内容は授業に深く関連する.
授業の内容を確実に⾝につけるために,予習・復習が必須である.
なお,成績評価には授業外学修の内容は含まれる.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 流域圏工学の目的と学力目標
河川地形と生息場
(ALのレベルC)
流域圏(流域,水系,河川における自然環境と人間活動の複合システム)の概要を理解する.
(授業外学修・事後)流域圏の概要について,講義内容を基にまとめる.(約2時間)
さまざまなスケールの河川地形の概要を理解する.
(授業外学修・事後)様々なスケールの河川地形について調査してまとめる.(約2時間)
2週 河川計画
(ALのレベルC)
河川整備基本方針等における治水目標の設定方法や河道計画、河道計画手法について理解する.
(授業外学修・事後)河川整備基本方針等や河道計画手法についてまとめる.(約4時間)
3週 平野の開発ー水害と治水の歴史ー
河川構造物
(ALのレベルC)
平野を流れる河川改修と氾濫原の開発の歴史について理解する.
(授業外学修・事後)河川改修と氾濫原の開発の歴史についてまとめる.(約2時間)
現在の河川におけるさまざまな機能を有した河川構造物について理解する.
(授業外学修・事後)河川構造物についてまとめる.(約2時間)
4週 開水路の水理学の河川工学への応用
(ALのレベルC)
河川の洪水流の数値計算法のあらましについて理解する.
(授業外学修・事後)河川の洪水流の数値計算法についてまとめる.(約4時間)
5週 土砂水理学の基礎
(ALのレベルC)
流水の作用によって生じる土砂輸送現象についてあらましや計算方法(掃流砂量,浮遊砂濃度式)を理解する.
(授業外学修・事後)土砂輸送現象についてまとめる.(約4時間)
6週 河川環境の整備と保全、気候変動と流域治水
(ALのレベルC)
河川環境の整備・保全や気候変動に向けた近年の取り組みについて理解する.
(授業外学修・事後)河川環境の整備・保全と気候変動に向けた取り組みについてまとめる.(約2時間)
気候変動が水災害に及ぼしつつある影響の予測評価手法,新たな取り組みである流域治水について学ぶ.
(授業外学修・事後)気候変動を考慮した水害の予測評価手法と流域治水についてまとめる.(約2時間)
7週 中間試験-河川工学分野-
8週 海岸工学とは,波の諸量
(ALのレベルC)
海岸工学の意義,波の諸量と分類について理解する.
(授業外学修・事後)波の諸元についてまとめる.(約4時間)
4thQ
9週 波の理論式-導入編-
(ALのレベルC)
分散関係式の導出過程を理解する.
(授業外学修・事後)境界条件についてまとめる.(約4時間)
10週 波の理論式-導出編-
(ALのレベルC)
分散関係式の導出過程を理解する.
(授業外学修・事後)分散関係式を導出する.(約4時間)
11週 波のエネルギー
(ALのレベルC)
波の分類による水粒子の軌道の違いを理解する.
(授業外学修・事後)水粒子の軌道を数値化してその違いをレポートにまとめる(約4時間)
12週 津波災害
(ALのレベルC)
津波の発生機構と事例について理解する.
(授業外学修・事後)津波の発生機構と理論についてレポートにまとめる.(約4時間)
13週 高潮・高波災害
(ALのレベルC)
高潮災害および高波災害の発生機構と事例について理解する.
(授業外学修・事後)高潮災害および高波災害の発生機構と事例についてレポートにまとめる.(約4時間)
14週 沿岸域の減災に向けた社会技術
(ALのレベルC)
沿岸域の減災に向けた社会技術について理解する.
(授業外学修・事後)沿岸域の減災に向けた社会技術についてレポートにまとめる.(約4時間)
15週 期末試験-海岸工学分野-
16週 まとめ
(ALのレベルC)

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野水理完全流体の運動方程式(Eulerの運動方程式)を説明できる。3
連続の式を説明できる。3
ベルヌーイの定理を説明でき、これを応用(ベンチュリーメータなど)した 計算ができる。2
運動量保存則を説明でき、これを応用した計算ができる。2
比エネルギー、フルード数、常流と射流、限界水深(ベスの定理、ベランジェの定理)、跳水現象について、説明できる。3
層流と乱流について、説明できる。2
開水路の等流(平均流速公式、限界水深、等流水深)について、計算できる。3
開水路不等流の基礎方程式を説明できる。3
河川の分類と流域について、説明できる。4
河川の管理と整備について、説明できる。4
河道およびダムによる洪水対策を説明できる。4
都市型水害と内水処理の対策について、説明できる。3
日本の水資源の現況について、説明できる。4
河川堤防・護岸・水制の役割について、説明できる。4
津波と高潮の特徴を説明できる。4
波の基本的性質を説明できる。4

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7525100
河川工学分野401050
海岸工学分野351550