水理学Ⅱ

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 水理学Ⅱ
科目番号 0145 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 3
開設学科 環境都市工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1.5
教科書/教材 水理学(日下部・檀・湯城共著,コロナ社,2002)/PEL水理学(神田佳一編著,実教出版,2017)、水理学演習(鈴木幸一著,森北出版,1990)など
担当教員 吉村 優治,鈴木 孝男

到達目標

以下に各項目を到達目標とする。
①層流・乱流における管水路の取り扱いの理解
②管水路における動水こう配線・エネルギー線の理解
③ オイラー座標系における連続の式・運動方程式の理解
④最小エネルギー・最大流量の定理の理解
⑤開水路等流における水理特性曲線・水理学的に有利な断面の理解
⑥開水路不等流における水面形の理解
⑦相似則と次元解析の理解

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1層流・乱流の流速分布式から平均流速・摩擦損失係数をほぼ8 割程度計算できる。層流・乱流の流速分布式から平均流速・摩擦損失係数をほぼ6 割程度計算できる。層流・乱流の流速分布式から平均流速・摩擦損失係数を計算できない。
評価項目2摩擦損失・各局所損失を考慮した動水こう配線・エネルギー線をほぼ正確に(8 割以上)画くことができる。摩擦損失・各局所損失を考慮した動水こう配線・エネルギー線をほぼ正確に(7 割以上)画くことができる。摩擦損失・各局所損失を考慮した動水こう配線・エネルギー線を画くことができない。
評価項目3オイラー座標系での流体の基礎方程式を8 割程度導くことができる。    それを積分してベルヌーイの式をほぼ 8 割程度導くことができる。 オイラー座標系での流体の基礎方程式を 6 割程度導くことができる。    それを積分してベルヌーイの式をほぼ 6 割程度導くことができる。 オイラー座標系での流体の基礎方程式を導くことができない。    それを積分してベルヌーイの式を導くことができない。
評価項目4最小エネルギー・最大流量の定理により限界水深・対応水深をほぼ正確に(8 割以上)計算できる。また跳水現象から共役水深をほぼ正確に(8割以上)計算できる。最小エネルギー・最大流量の定理により限界水深・対応水深をほぼ正確に(7 割以上)計算できる。また跳水現象から共役水深をほぼ正確に(7割以上)計算できる。最小エネルギー・最大流量の定理により限界水深・対応水深を計算できない。また跳水現象から共役水深を計算できない。
評価項目5円形断面での最大流量・最大流速を生じる水深をほぼ正確に(8 割以上)計算できる。また任意の断面での水理学的に有利な断面をほぼ 8 割程度求めることができる。円形断面での最大流量・最大流速を生じる水深をほぼ正確に(7 割以上)計算できる。また任意の断面での水理学的に有利な断面をほぼ 6 割程度求めることができる。円形断面での最大流量・最大流速を生じる水深を計算できない。また任意の断面での水理学的に有利な断面を求めることができない。
評価項目6人工構造物(せき・水門)を設置した開水路の水面形をほぼ正確に(8 割以上)画くことができる。また不等流基礎方程式から限界水深・等流水深をほぼ正確に(8 割以上)計算できる。人工構造物(せき・水門)を設置した開水路の水面形をほぼ正確に(8 割以上)画くことができる。また不等流基礎方程式から限界水深・等流水深をほぼ正確に(8 割以上)計算できる。人工構造物(せき・水門)を設置した開水路の水面形を画くことができない。また不等流基礎方程式から限界水深・等流水深を計算できない。
評価項目7レイノルズまたはフルードの相似則を使って模型あるいは実物の物理量をほぼ正確に(8 割以上)計算できる。またレーリーの次元解析、バッキンガムのπ定理を使って物理現象をほぼ8 割程度定式化できる。レイノルズまたはフルードの相似則を使って模型あるいは実物の物理量をほぼ正確に(7 割以上)計算できる。またレーリーの次元解析、バッキンガムのπ定理を使って物理現象をほぼ6 割程度定式化できる。レイノルズまたはフルードの相似則を使って模型あるいは実物の物理量を計算できない。またレーリーの次元解析、バッキンガムのπ定理を使って物理現象を定式化できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
水理学(水の力学)は固体力学と同様に、 質量・エネルギー・運動量保存則によって支配される。これらの基本的な概念(完全流体の流れ)は、3学年の水理学Iで学習した。
水理学IIでは、実在の粘性流体を取り扱い、具体的な実例を交えながら管水路・開水路流れの基本的な考え方を理解する。
さらに、定常流(等流・不等流)、非定常流について理解し、実際の現象との関係性を把握する。
授業の進め方・方法:
授業は適宜、板書を中心に行い、教科書は参考書程度に使用する。したがって各自学習ノートを充実させ、予習よりも復習に重点をおいた勉学方法が望ましい。
課題レポート:提出物は紙ベースと電子データ(LMS:Moodleを利用)の2種類がある。
注意点:
成績評価の方法:
前期:定期試験100点+平常試験100点+課題(レポート)提出50点
後期:定期試験100点+平常試験100点+課題(レポート)提出25点
学年:前・後期の重みを2:1にして合計し、得点率(%)で成績評価を行う。
学習・教育目標:(D-4(1))100% 
JABEE基準1(1):(d)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第 1回: 運動方程式(オイラー座標系) オイラー座標系の運動方程式を理解している。(教室外学習)オイラー座標系の加速度を求めるなどの演習を行う。
2週 第 2回:連続の式(オイラー座標系)
オイラー座標系の連続式を理解している。(教室外学習)オイラー座標系の連続式の演習を行う。
3週 第 3回: 運動方程式・連続の式(自然座標系) 運動方程式・連続の式を理解している。(教室外学習)2方向の流速から残りの方向の流速を求めるなどの演習を行う。
4週 第 4回: 非定常のベルヌーイの式 非定常のベルヌーイを理解している。(教室外学習)遷移流速を計算する演習を行う。
5週 第 5回: 流れの基礎理論その1 ベランジェの定理から求まる限界水深を理解している。(教室外学習)この限界水深に関する演習を行う。
6週 第 6回: 流れの基礎理論その2 底面形状に凹凸がある場合の水面形、跳水によって生じるエネルギー損失などを理解している。(教室外学習)この水面形などに関する演習を行う。
7週 第 7回:円管内の層流(ハーゲン・ポアズイユの法則) 管路内の層流の速度分布と摩擦抵抗係数を理解している。(教室外学習)円管層流の平均流速を求めるなどの演習を行う。
8週 第 8回: 中間試験
2ndQ
9週 第 9回: 乱流の速度分布と摩擦抵抗係数
   (レイノルズ応力、混合距離)
乱流の速度分布と摩擦抵抗係数を理解している。(教室外学習)乱流の速度分布を画くなどの演習を行う。
10週 第10回: 円管内の乱流(滑面・粗面) 円管内の乱流を理解している。(教室外学習)滑面・粗面の流速分布式から平均流速を求めるなどの演習を行う。
11週 第11回: 管路内の平均流速を用いた基礎方程式 摩擦抵抗による損失水頭、マニング・シェジーの平均流速公式を理解している。(教室外学習)平均流速式を用いた演習を行う。
12週 第12回: 管路の摩擦以外の損失係数 管路の摩擦以外の損失係数(急拡損失係数など)を理解している。(教室外学習)急拡・急縮などの演習を行う。
13週 第13回: 管路の摩擦以外の損失係数 管路の摩擦以外の損失係数、エネルギー線・動水こう配線を理解している。(教室外学習)この流れに関する演習を行う。
14週 第14回: バイパス管路の流れ
  (分岐管路・合流管路・管網計算)
バイパス管路・分岐管路・合流管路・管網の流量計算を理解している。(教室外学習)この流れに関する演習を行う。
15週 第15回: サイフォンの原理 サイフォンの原理、通水可能な限界条件を理解している。(教室外学習)この流れに関する演習を行う。
16週 第16回:中間試験
後期
3rdQ
1週 第17回: 開水路流れの基礎方程式 開水路流れの基礎方程式を理解している。(教室外学習)力のつりあい式から流速分布式、平均流速式を求めるなどの演習を行う。
2週 第18回:開水路の等流(平均流速公式) 開水路の等流を理解している。(教室外学習)開水路の等流に関する演習を行う。
3週 第19回: 開水路の等流(限界水深・等流水深) 開水路の等流の任意断面における限界水深・等流水深を理解している。(教室外学習)開水路流れに関する演習を行う。
4週 第20回: 水理特性曲線 水理特性曲線を理解している。(教室外学習)管路および開水路における最大流量を流すことのできる水深を求める
5週 第21回: 水理学的に有利な断面その1 水理学的に有利な断面について理解している。(教室外学習)単純断面での水理学的に有利な断面を求める演習を行う。
6週 第22回: 水理学的に有利な断面その2 水理学的に有利な断面について理解している。(教室外学習)任意の断面(複断面を含む)での水理学的に有利な断面を求める演習を行う。
7週 第23回: 開水路不等流の基礎方程式 開水路不等流の基礎方程式を理解している。(教室外学習)与えられた開水路に水面形を画く演習を行う。
8週 第24回:中間試験
4thQ
9週 第25回:一様水路における不等流その1 開水路不等流の基礎方程式を理解している。(教室外学習)単純形状の開水路の水面形を画く演習を行う。
10週 第26回:一様水路における不等流その2 開水路不等流の基礎方程式を理解している。(教室外学習)与えられた開水路の水面形を画く演習を行う。
11週 第27回:非定常な流れ(管路) 管路における非定常流れを理解している。(教室外学習)この流れに関する演習を行う。
12週 第28回:非定常な流れ(開水路) 開水路における非定常流れを理解している。(教室外学習)この流れに関する演習を行う。
13週 第29回:次元解析その1(レーリーの方法) 次元解析を理解している。(教室外学習)レーリーの方法による演習を行う。
14週 第30回:次元解析その2(バッキンガムのパイ定理) 次元解析を理解している。(教室外学習)バッキンガムのパイ定理に関する演習を行う。
15週 第31回:相似則 フルード、レイノルズの相似則による力学的相似則を理解している。(教室外学習)相似則に関する演習を行う。
16週 第32回:期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野水理ベルヌーイの定理を理解している。3前4
ベルヌーイの定理の応用(ベンチュリーメータなど) の計算ができる。3前4
ベルヌーイの定理の応用(自然現象、河川工学など) について説明できる。3前2,前4
運動量保存則を理解している。3前1,前3
運動量保存則の誘導について説明できる。3前1,前3
運動量保存則の応用した各種計算ができる。3前1,前3
比エネルギー、フルード数、常流と射流、限界水深(ベスの定理、ベランジェの定理)、跳水現象について、説明できる。3前5,前6
各種の堰について理解している。3前5
比エネルギーおよび常流と射流について説明できる。3前6
限界水深(ベスの定理、ベランジェの定理)について説明できる。3前5
跳水現象について説明できる。3前6
層流と乱流について、説明できる。3前7,前9
円管内の層流の流速分布(ハーゲン・ポアズイユの法則)を理解している。3前7
流体摩擦(レイノルズ応力、混合距離)を説明できる。3前9
平均流速を用いた基礎方程式、摩擦抵抗による損失水頭の実用公式、ムーディ図について理解している。3前10,前11
摩擦抵抗による損失水頭の実用公式について説明できる。3前11
管水路の摩擦以外の形状損失水頭について理解している。3前12
管水路の摩擦以外の損失係数について説明できる。3前13
各種の管路の流れの計算ができる。3前14,前15
開水路流れの基礎方程式について理解している。3後1
開水路の等流(平均流速公式、限界水深、等流水深)について理解している。3後2
開水路の等流(平均流速公式、限界水深、等流水深)について説明できる。3後2
水理特性曲線と水理学的に有利な断面について理解している。3後4,後5
開水路不等流の基礎方程式について理解している。3後7
開水路不等流の基礎方程式について説明できる。3後9,後10
一様水路における不等流と背水曲線について理解している。3後9,後10
一様水路における不等流と背水曲線について説明できる。3後9,後10

評価割合

試験演習合計
総合評価割合831700000100
基礎的能力00000000
専門的能力831700000100
分野横断的能力00000000