環境工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 環境工学Ⅱ
科目番号 0148 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境都市工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 環境衛生工学(津野 洋・西田 薫共著,共立出版,1995)
担当教員 角野 晴彦,和田 清

到達目標

以下の各項目を到達目標とする。
①我が国の水道の歴史,役割を理解する。
②水道計画および施設を理解する。
③浄水の単位操作,高度処理を理解する。
④廃棄物処理の考え方を理解する。
⑤大気汚染の影響と防止対策を理解する。
⑥騒音の評価と防止対策を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
我が国における水道の歴史,役割を説明することができる。我が国における水道の歴史,役割を正確(8割以上)に説明することができる。我が国における水道の歴史,役割をほぼ正確(6割以上)に説明することができる。我が国における水道の歴史,役割の基本的な知識が無い。
水道計画および施設を理解し,これらに関する説明と計算ができる。水道計画および施設を理解し,これらに関する説明と計算を正確(8割以上)にできる。水道計画および施設を理解し,これらに関する説明と計算をほぼ正確(6割以上)にできる。水道計画および施設,これらに関する説明と計算の基本的な知識が無い。
浄水の単位操作を理解し,これに関する説明と計算ができる。浄水の単位操作を理解し,これに関する説明と計算を正確(8割以上)にできる。浄水の単位操作を理解し,これに関する説明と計算をほぼ正確(6割以上)にできる。浄水の単位操作,これに関する説明と計算の基本的な知識が無い。
廃棄物,汚染物質の拡散方程式を理解し,予測評価ができる廃棄物,汚染物質の拡散方程式を理解し,正確(8割以上)な予測評価ができる廃棄物,汚染物質の拡散方程式を理解し,ほぼ正確(6割以上)な予測評価ができる廃棄物,汚染物質の拡散方程式,予測評価の基本的な知識が無い。
大気汚染物質の実状や防止対策を理解し,説明することができる。大気汚染物質の実状や防止対策を理解し,正確(8割以上)に説明することができる。大気汚染物質の実状や防止対策を理解し,ほぼ正確(6割以上)に説明することができる。大気汚染物質の実状や防止対策の基本的な知識が無い。
音や振動の基本特性,騒音や振動の防止対策を理解し説明でき,その効果を定量的に解析できる。音や振動の基本特性,騒音や振動の防止対策を理解し,正確(8割以上)に説明でき,その効果を定量的に8割程度まで解析できる。音や振動の基本特性,騒音や振動の防止対策を理解し,ほぼ正確(6割以上)に説明でき,その効果を定量的に6割程度まで解析できる。音や振動の基本特性,騒音や振動の防止対策,その効果の基本的な知識が無い。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
都市生活の機能維持に必要な水道水の供給について理解し,衛生を確保するための基本的な考え方を修得する。
また、水質汚濁、大気汚染・悪臭、および騒音・振動といった環境問題の現象、発生源、発生機構、予測手法、防止対策などについて理解し、リスクマネジメント、環境アセスメント、ライフサイクルアセスメント(LCA)などの観点から、都市における環境負荷低減の方策を習得する。
授業の進め方・方法:
授業は、教科書および配布資料を中心に説明を行い、定期的に演習問題を解くことで理解を深める。環境に関する内容が多岐にわたるので要点を理解し、各自学習ノートを充実させて復習を十分行なうこと。
提出物は紙ベースと電子データ(LMS:Moodle)がある。
注意点:
成績評価の方法:
前期:中間試験100点+期末試験100点
後期:中間試験100点+期末試験100点
学年:前・後期試験(全4回)の平均し、得点率(%)で成績評価とする。
学習・教育目標:(D-4(2))100%
JABEE基準1(1):(d)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 水道の歴史と概論、水質基準 我が国の水道の歴史から現況、役割および水質基準を理解している。(教室外学修)コレラ,赤痢などの消化器系伝染病の歴史,症状,感染経路などの特徴をまとめる。我が国の水道の水質基準項目と,これら排出源,摂取した際の症状などを調べる。
2週 水道計画 貯水から給水までの水道施設の流れを理解している。水道計画に必要な各水量を理解している。(教室外学修)計画給水量算定の手順をまとめる。
3週 貯水と取水 貯水の必要性、水源の選択、必要貯水量および取水施設を理解している。(教室外学修)水利権について調べる。
4週 導水(ALのレベルC) 導水方法を説明でき、水路の流量を計算できる。(教室外学修)マニング式を用いた演習をする。
5週 送水と配水1 送水量と配水量を理解している。(教室外学修)配水量の設計に関する演習をする。
6週 配水2(ALのレベルC) 配水量を説明でき、配水池の必要容量を計算できる。(教室外学修)配水池の設計に関する演習をする。
7週 中間試験
8週 給水,浄水の概要 給水施設を理解している。浄水施設の目的と構成を理解している。(教室外学修)クリプトスポリジウムの特徴,汚染事例および対策についてまとめる。
2ndQ
9週 沈殿の理論 粒子の沈殿を理解している。(教室外学修)ストークス式を導き,それに関する演習をする。
10週 沈殿池(ALのレベルC) 粒子の沈殿を説明でき、理想沈殿池の除去率を計算できる。(教室外学修)沈殿池の設計に関する演習をする。
11週 凝集 凝集の目的と方法を理解している。(教室外学修)凝集の方法,凝集剤の添加量に関する演習をする。
12週 ろ過(ALのレベルC) 緩速ろ過、急速ろ過および膜ろ過を理解している。ろ過池の面積を計算できる。(教室外学修)ろ過池の設計に関する演習をする。
13週 消毒 塩素消毒の長所と短所および塩素の添加方法を理解している。(教室外学修)トリハロメタンについて調べる。
14週 高度処理 高度処理の役割を理解している。(教室外学修)高度処理の事例について調べる。
15週 期末試験
16週 前期のまとめ
後期
3rdQ
1週 リスクの基本 発ガンリスクなどの考え方を理解している。(教室外学習)リスク、ハザードに関する指標を整理する。
2週 水環境とリスクマネジメント 有害物質による水質汚染の判定に用いられているバイオアッセイについて理解している。(教室外学習)演習:対数正規確立紙を用いた半数致死濃度LC50の推定などの演習を行う。
3週 処理場の環境対策および環境影響評価(環境アセスメント),ライフサイクルアセスメント(LCA)
最近の循環型社会を目指した法整備と環境影響評価を理解している。(教室外学習)環境影響評価法が成立するまでの変遷を複数の海外の制度と比較する。
4週 環境問題における物質収支とエネルギー収支 環境問題における物質収支(N,Pの負荷量など)などについて理解している。(教室外学習)生態系の変化への波及効果を調べる。
5週 汚染物質の移動(移流と拡散方程式) 移流拡散方程式(1〜3次元)について理解している。(教室外学習)拡散現象に関する演習を行う。
6週 汚染物質の拡散予測 地下水や河川などの汚染物質の拡散現象(1〜3次元問題)を理解している。(教室外学習)具体的な拡散計算の演習を行う。
7週 中間試験
8週 大気汚染の現状と発生源および大気汚染の人体・動植物への影響 大気組成に変遷した経緯を整理し、生物の役割を理解している。(教室外学習)地球温暖化、オゾン層破壊のメカニズムを調べる。
4thQ
9週 大気汚染と気象(大気安定度・逆転層) 大気汚染の粒子状物質(SPM),ガス状物質(NOXなど)や気象との関係を理解している。(教室外学習)わが国の大気汚染物質の経年変化を調べる。
10週 汚染物質の濃度予測(パスキルの式)と防止対策 大気汚染物質の濃度予測:パスキルの式、代表的な大気汚染防止対策について理解している。(教室外学習)煤煙、自動車排出ガスの演習問題を行う。
11週 音の基本特性Ⅰ(スペクトル解析,反射・屈折) 波動の基本的な特性(波長,周波数,波速)、身近な波動現象について理解している。(教室外学習)これらの音の特性に関する具体的な演習を行う。
12週 音の基本特性Ⅱ(音の強さと大きさ,距離減衰) 音の物理的な尺度(dB),距離減衰(6dB/dd),等ラウドネスレベル曲線などについて理解している。(教室外学習)これらの音の特性に関する具体的な演習を行う。
13週 音の基本特性Ⅲ(透過・回折) 音の壁による吸音・遮音などのエネルギー減衰特性について理解している。(教室外学習)これらの音の特性に関する具体的な演習を行う。
14週 騒音および振動の伝搬予測と防止対策 多種類騒音,非定常騒音における騒音レベルの測定,騒音評価について理解し、騒音と振動の差異についても理解している。(教室外学習)これらに関する演習を行う。.
15週 期末試験
16週 後期のまとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野環境環境問題の歴史を理解している。2
地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨を理解している。2
熱帯林の減少、砂漠化・土壌劣化、野生性生物の種の減少、海洋汚染を理解している。2
化学物質の管理、有害物質の越境問題を理解している。1
開発途上国の環境問題を理解している。1
物質循環を理解している。2
地球資源問題を理解している。1
環境容量を説明できる。2
環境と人の健康との関わりを説明できる。2
過去に生じた公害の歴史とその内容(環境要因と疾病の関係)について、説明できる。2
水の物性、水の循環を説明できる。2
水質指標を説明できる。2
水質汚濁の現状を説明できる。2
水質汚濁物の発生源と移動過程を説明でき、原単位、発生負荷を含めた計算ができる。2
水域生態系と水質変換過程(自浄作用、富栄養化、生物濃縮等)について、説明できる。2
水質汚濁の防止対策・水質管理計画(施策、法規等)を説明できる。2
水道の役割、種類を説明できる。2前1
水道計画(基本計画、給水量、水質、水圧等)を理解でき、これに関する計算ができる。2前2
水道施設(取水・導水・浄水・送水・配水・給水等)を理解している。2前3,前4,前5,前6
浄水の単位操作(凝集・沈澱凝集等)を理解している。2前8,前9,前10
浄水の単位操作(濾過・殺菌等)を理解している。2前8,前11,前13
高度処理を理解している。2前14
大気汚染の現状と発生源を理解している。2後8
大気汚染の現状と発生源を説明できる。2後8
大気汚染による人体・動植物への影響を理解している。2後8
大気汚染と気象を理解している。2後9
大気汚染物質の濃度予測を理解している。2後9,後10
大気汚染物質の除去方法を理解している。2後10
大気汚染の防止対策(施策、法規等)を理解している。2後10
悪臭を理解している。2
音の基礎(音波、音圧、波長など)を説明できる。2後5,後11
音の尺度と騒音の評価を説明できる。2後11
騒音の発生源と現状について、説明できる。2後12
騒音による人体への影響を理解している。2後12
騒音の伝搬と予測を説明でき、計算できる。2後13
騒音の測定方法と計算方法を理解し、測定値から騒音評価ができる。2後14
施策、法規などによる騒音の防止対策を理解している。2後14
廃棄物の発生源と現状について、説明できる。1
廃棄物の収集・処理・処分について、説明できる。1
廃棄物の減量化・再資源化について、説明できる。1
廃棄物対策(施策、法規等)を説明できる。1
環境影響評価の目的を説明できる。2後3
環境影響評価の現状(事例など)を説明できる。2後3
環境影響指標を説明できる。2後3
リスクアセスメントを説明できる。2後1,後2
ライフサイクルアセスメントを説明できる。2後3

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合9370000100
基礎的能力203000023
専門的能力734000077
分野横断的能力0000000